■このエントリーは何?
こちらは、FFG社が開発し現在はNSG(Null Signal Games)が運営する LCG「ネットランナー(旧:アンドロイド:ネットランナー)」を遊んだことがあり、更に深く遊んでみたい方向けの記事になります。
興味あるけどよく知らない、昔アンドロイド:ネットランナー遊んだけど今どうなってるの?という方は、前回の記事「2度目のネットランナー(9) NSGって何?ネットランナー5つの疑問(2022/12版)」を読んでみてください。
■こんにちは
ごん太と申します。日々ネット対戦や交流会などでネットランナーを楽しく遊ばせてもらっています!
ネットランナーはNSGから新セットがリリースされ、日本国内でも一部でまた盛り上がりを見せているようにも思えます。
FFGの日本語版リリースから約7年が経過しているこのゲームですが、実は潜在的なファンやプレイヤーは多く、仲間内で楽しんでいる方は案外いるのではないのかと感じています。
元々FFGの言語版はLCG(Living Card Game)と銘打って、毎月環境が変わるTCGの一種として販売されていました。しかしアークライトの日本語版は「ボードゲーム」としてリリースされたため、多くのユーロゲーマーに衝撃的なTCG体験をもたらすことになりました。そしてTCGタイプのゲームで特にボードゲーマーの障害となるのは、枝葉ルールの多さではないかと思っています。
(ちなみによく言われる「専門用語が多い」という難点は数プレイで慣れるので、ノンリプレイ派ゲーマーを除けばさして問題にならないと思っています。日本人はSFに馴染みがないというのも手伝っているかもしれません。)
構築中やプレイ中に公式サイト、ファンサイトなどでカードの効果確認がいちいち発生します。もちろん多くのボードゲーマーの方はルール確認には慣れているかと思いますが、全てのプレイヤーが常にNetrrunner.dbで該当のカードのページを開き、FAQをチェックしているかというとそんな事はないのではないかと思っています。対戦会などで慣れている方にとっては常識でも、仲間内で遊んでいる多くの方は知る機会の無いルールやカードの使い方が多々あるのではないでしょうか。
そこで今回はルールを見ただけでは分からないけど、対戦の場ではよく見かける基本的なテクニックを4つに絞ってご紹介したいと思います。
多少ネットランナー語の並ぶ長文となりますが、ご興味あればお付き合いください。長文が嫌いな方は本文中の太字部分だけ読んで下さい。
ちなみに今回は数回以上プレイ経験がある方を主な対象に、またStartUpやStandardでの構築を視野に入れて説明しています。StartUpやStandardについてよく分からないという方は前回記事をご参照ください。
■よく使うレゾ、消費型能力発動タイミングを覚えよう!
皆さんはカードに書かれている能力をどのタイミングで使えるか、考えたことはありますでしょうか。「クリック:このカードから2金を得る」などの様に、クリックアイコンが書かれているカードは自分のターンのアクションフェイズでしか使用できません。これは何となく感覚的に理解出来ると思います。
ではカード自体のトラッシュで発動する効果や、クリックアイコンではなくお金を払って発動する効果はいつ使えるのでしょうか。例えばアイスブレイカーのお金を払って「強度を上げる」効果は実はラン中以外でも発動出来るし、何ならコーポターン中でも使えるのです。(直後に元に戻るので特定の状況以外ではお金の無駄ですが)
この様に、ネットランナーには「何となく理解しているけどよく考えたらわからん」的な要素が点在しているかと思います。対戦でよく発生するシチュエーション、よく使うカードに関する部分だけで構わないので、ルールや使い方をはっきり知っておくと対戦や構築がよりスムーズに、より面白くなるのではないかと思います。
どの効果がどこで使えるかという細かいルールは、FFG時代には「リファレンスガイド」、現在はNSG制定の「Comprehesive Rule(CR)」という詳細ルールに書かれています。
現在はNSGによるカード及びルールが一般化しているため、確認が必要な場合はNSGのルールを参照すべきです。しかし前述のCRは初心者には細かすぎて分かりにくい(そして英語のみ)のため、今回の記事に限っては、CRと共にアークライトから日本語訳が公開されておりタイミング表も比較的見やすいFFGの「リファレンスガイド」を補助資料として参照することにしました。今回説明する部分に関しては大きな支障はないと思いますので、この点についてはご理解いただければと思います。
それでは重要基本テクニック4選、行ってみたいと思います。
●1[コーポ向け] 「PADキャンペーンは出す時は裏、次の自ターン開始直前にレゾすべし。」
「PADキャンペーン/PAD Campaign」のように「ターン開始時」と書かれたカードは、実はネットランナーにおいては本来の意味でのターン開始時に発動するのではありません。ドローフェーズの最初の方に「ターン開始」という名前のイベントがあるようなものだと思ってください。ターンが始まってあれこれあってから「ターン開始」が来るのです。何を言っているか分からないと思いますが、これはネットランナー語の一種なのであまり深く考えず受け入れてみてください。
そして「ターン開始」の前には「レゾ」と「消費型能力」の発動タイミングがあります。
つまり「ターン開始時」効果発動の前に、そのカードをレゾすることができるのです。これに何のメリットがあるかというと「ターン開始時」効果を持つカードは、インストールするときは裏向きのまま(次の自ターンにレゾ)で良いということです。裏向きなら何のカードか分からないので計画書のブラフとして機能しますし、お金を払ってレゾしたにも関わらず使う前にランナーにトラッシュされてしまうという悲しい事態も回避できます。
返しのターンでランナーにランされたのなら、こちらがレゾ代金を払う前に、ランナーだけがトラッシュコストとクリックというリソースを消費することになります。特に昨今は「御用学者/Spin Doctor」で簡単に捨て札回収が可能なので、トラッシュされること自体はそこまで痛くありません。
ランされなかったのなら「ターン開始」効果発動前にレゾして目論見通りお金を貰うなりしましょう。
(この辺のメリットについては、詳しくはの「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」の「■PADキャンペーン先生 最強説」で解説しています。)
今日からは「PADキャンペーン/PAD Campaign」も「ニコキャンペーン/Nico Campaign」も、その他のターン開始時に何か貰えるカードは全て裏向きでインストールして、次の自分の「ターン開始」前にレゾしましょう。これを対戦の場でやるだけで『キミ、ネットランナー上手いね』に近付くのではないかと思います。
ただし「マリリンキャンペーン/Marilyn Campaign」は裏向きの状態でトラッシュされると「R&Dに戻してシャッフル」が発動しないのでご注意ください。
●2[コーポ向け]「御用学者は裏で裸出し、ランされたらレゾして発動が間に合う。」
「ターン開始」の前に「レゾ」と「消費型能力」の発動タイミングがあると書きましたが、ランナーターンの「ラン成功」の直前にも同様に存在します。
従って、裏向きでインストールした資材や強化にランされた場合、トラッシュされる前にレゾした上で消費型能力も発動可能です。
「御用学者/Spin Doctor」はこのルールを活かして、安全に効果を使用した上でランナーにクリックを無駄遣いさせることができます。
まずは「御用学者/Spin Doctor」をアイスで守らずにインストールして、裏のまま放置しましょう。
もしランナーにランされたら、ラン成功直前のタイミングでレゾして「2ドロー」効果を発動し、続けて消費型能力の「この資材をゲームから除外:アーカイブの2枚をR&Dに戻す」を実行して表記通りゲームから除外します。
するとこのサーバーにはアイスや強化がないため、御用学者が消滅した時点でサーバー自体も無かったことになり、何とこの後のタイミングでランナーが得られるはずの「ラン成功」も発生しません。
つまり御用学者はタダで「2ドロー」+「捨て札2枚回収」を安全に行った上で、ランナーのクリックを無駄遣いさせらる鬼強カードなのです。また発動がランナーターンなので手札上限を超えても次の自ターン終了までは捨て札は発生しません。我々は影響値1のこのカードを全デッキに3枚積まない手はあるでしょうか?(いや、ない。)
尚、スタンダードでは「NGOの最前線/NGO Front」も同様の使い方をします。こちらはアドバンストークンが2個乗るので、もし計画書だった場合を見逃すと3点得点されるリスクもあり、ランナーは半ば無駄と知りつつ万が一を警戒して(そしてあわよくば3点ゲットを期待して)ランせざるを得ないでしょう。
●3[ランナー向け]「ドラゴ・イワノフの奇襲はノー・フリーランチでかわせる」
ミッドナイト・サンに収録されている「ドラゴ・イワノフ/Drago Ivanov」はNBNやウェイランドなどのタグ系デッキにおける最重要カードの1つと言って差し支えないかと思います。多くのタグ付けカードは「前ターンにラン成功」「得点時」などやや厳しめの条件が付いている中、この男はカウンター2個で(クリックを消費せずに!)手軽にタグを飛ばしてきます。
裏向きの「ドラゴ」を見逃すと、『2回アドバンスからの効果発動で1タグ→「End of the Line」使用』でタグ無しの状態から突然4ミートダメージが飛んで来ることは覚えておいてください。タグデッキ相手のランナーが手札を3枚以下にすることは賢明ではありません。更に2タグになると即死のリスクが跳ね上がることは言うまでもないでしょう。
しかしこの奇襲は「ノー・フリーランチ/No Free Lunch」を出しておけば、あっさりと防御出来ます。なぜならば、「消費型能力」の発動タイミングはターンプレイヤー優先で両プレイヤー(コーポターンなら「コーポ」→「ランナー」の順)に回ってくるからです。
コーポの「消費型能力」によってタグが付いた直後、コーポが次のアクションを行う前にランナーはタグ除去の「消費型能力」を使うことが出来ます。
相手コーポがタグを使いそうなIDの時は、「ノー・フリーランチ」を引いたら何も考えずにとりあえず場に出しておきましょう。
ある時コーポが「ドラゴ・イワノフ」でタグを飛ばして来たら、すぐに「ノー・フリーランチ」の使用を宣言してトラッシュし、タグを取ることが出来ます。「ドラゴ・イワノフ」の能力はターン1回なので、このターン中は再発射できません。返しのターンで直接ランするなり「針穴の糸通し/Pinhole Threading」を使うなどでドラゴをトラッシュしましょう。脅威は一旦去ります。
この様に「ノー・フリーランチ」は少なくとも1回のドラゴをガード出来るため、抑止力としても作用します。もちろんラン中の不意のタグにもすぐに対応出来るので、タグの強い環境であれば3枚積んでも良いでしょう。
ちなみに「ドラゴ」の方はユニークですが「ノー・フリーランチ」は何枚でも出しておける上、相手がタグデッキでなくても3金に変換できるので腐りません。あなたが「World Tree」の使い手であれば、他の有用なリソースへの変換にも使えるでしょう。
このケースの様に相手ターンにこちらの「消費型能力」を使う機会は意外と多く、特に殺意の高いコーポ相手の場合は使用タイミングを常に意識しておきましょう。
例えばウェイランド相手に、手札5枚で最後の1クリックでランに成功し3点計画書を盗めたとしましょう。そして返しのターンで「懲罰的反撃/Punitive Counterstrike」を撃たれ3ミートダメージを受けたとします。もう1枚同じカードを使われた場合、フラットラインで敗北してしまいますが、ランナーはあらかじめインストールしておいた「ストーンシップの海図室/StoneShip Chartroom」を相手アクション後の消費型能力の使用タイミングで使えば、2ドローし難を逃れることが出来ます。
●4[ランナー向け]「自己変形コードで、今レゾされたアイスを見てからアイスブレイカーを召喚!」
スタートアップでは既に使用対象外になってしまいましたが「自己変形コード/Self Modifying Code」は、この「消費型能力」の使用タイミングを知っているのと知らないのでは全く別のカードと化します。
ランのタイミング表をよく見ると、アイスのレゾの後エンカウントまでの間にやはり「消費型能力」の使用タイミングがあるのがわかるでしょうか。
自己変形コードの「自分をトラッシュ+2金支払いでアイスブレイカーをサーチ」は「消費型能力」であるため、このタイミングで使用することが出来ます。
つまり自己変形コードはコーポがレゾしたのを見てから、都合よくアイスに対応したアイスブレイカーを呼び出すことが出来るのです。
更に言えば「オーバークロック/Over Clock」でランしている場合、自己変形コードの発動コストもアイスブレイカーのインストール代金も、オーバークロックの上の5金から払うことが出来ます。スタンダードで遊ぶ方は便利で強力なこのコンボ「自己変形コード+オーバークロック」を覚えておきましょう。
というか、自己変形コードの存在意義自体がこの「ラン中、アイスレゾ直後にプログラムを出せる」「ラン中しか使えないクレジットプールから払える」にありますので、特にシェイパーでは使わない手はないかと思います。
ちなみにこのコンボの応用で「デビルチャーム/Devil Charm」をインストールしておき、ランして同様にアイスのレゾ直後に自己変形コードでデッキから「チゼル/Chisel」を呼び出すことで、2つのカードのシナジーでレゾされたアイスをその場でトラッシュすることが出来ます。「トールブース」の様にエンカウント効果を持っている場合はその効果すら発動しません。手軽で強烈なコンボなので、アナークが好きな方はこちらも覚えておきましょう。
■おわりに
意外と知らない重要基本テクニック4選、いかがでしたでしょうか。
ネットランナーをはじめたばかりの方は、枝葉のルールを掴むことよりも「楽しさを知る」ことの方が大事なため、今回の様な内容はあまり意識する必要も無いし、気にしてたら頭がパンクしてしまうかと思います。
しかしカードの中には自分だけでは思いつかない「意外な使い方」が潜んでいて、それを知ることでネットランナーがもっともっと楽しくなることを、これまでの対戦や仲間との交流で体感してきました。
基本のゲームプレイに慣れてきた方や構築を最近はじめた様な方は、余裕があれば是非この「カードの面白い使い方」についても意識してみてください。自然とルールにも詳しくなって構築がより楽しくなってくると思います。
ここまで長文を読んで頂き、ありがとうございます。
ごん太
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■このエントリーは何?
こちらは、FFG社が開発し現在はNull Signal Gamesが運営する LCG「ネットランナー(旧:アンドロイド:ネットランナー)」に興味がある、または昔遊んでたのでまた遊んでみたいという方向けの記事になります。
[過去記事]
※主にFFG「アンドロイド:ネットランナー」時代の記事になります。
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
「2度目のネットランナー(4) 実は知らなかった!?間違えやすい超基本ルール」
「2度目のネットランナー(5) これからはじめる人のための、ネットランナー10の疑問」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [1] 日本語版ダウンフォールが来た!」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [2] SystemCoreを使ってみよう」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [1] さようならオボカタ」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(8) 「Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
■こんにちは
ごん太と申します。1年半ぶりの更新になります。大変ご無沙汰してしまいました。
ネットランナーに手が回らなくなってから幾星霜。新宿で毎月開催される交流会をきかっかけにネットランナーに復帰したのが今年2022年の春ごろでしょうか。(こちらは最近行けてないですが…)それから少しずつネット対戦にも復帰して現在に至る、という感じです。
気付けば、弊ブログで扱っている情報がだいぶ古くなってしまいアップデートしていく必要があるなと思い、少しずつですがまた書いてみようと思った次第です。
手始めに運営がNSG(旧NISEI)に移行してからの基本的な部分を、QA形式でまとめてみようと思います。
■NSGネットランナー5つの疑問
1.FFG(日本語版:アークライト)の「アンドロイド:ネットランナー」はやったことあるけど、NSGの「ネットランナー」は違うゲームなの?
⇒同じゲームです。
FFGが開発終了後、有志団体であるNSG(旧NISEI)が運営をはじめてからの名称が「ネットランナー」です。
細かいルールが微妙に違いますが、カジュアルに遊ぶレベルではほとんど影響ありません。
「アンドロイド:」の冠詞が無くなったのは、権利関係に配慮した(または訴訟回避の)ためと思われます。アンドロイドバースと呼ばれる世界設定は、いまだFFGが権利を有しています。ネットランナー以外のFFGの幾つかのボードゲームでも使用されていますね。
ゲームで使用するカードは、NSGによる基本セット、FFGの一部カードのアートを一新した再録セット、拡張2サイクルなどがリリースされていますが、後述する一部フォーマットではFFG「アンドロイド:ネットランナー」時代のカードも使用します。
ただし少しずつNSGがリリースしたカードに入れ替わって行っているので、いずれは全てがNSG版のカードになるものと思われます。
まとめると「名前と運営団体は変わったが、同じゲーム。拡張カードは随時追加されている」です。
2.興味あるけど、どうしたら遊べるの?
⇒カードをNSGのサイトからダウンロードして印刷して遊びます。
(少々高めですが、カードを通販で買うこともできます。)
ルールはリファレンスカードにサマリーが書かれている程度ですので、BGGなどから入手する必要があります。
もし可能であるならば、ルールは経験者からのインストを受けて下さい。ルールブックの20倍は早く理解できると思います。
またプリントアンドプレイで遊ぶ関係上、カード以外の必要なコンポーネントはパッケージされていません。トークンなどはそれっぽいものを自分で用意する必要があります。ただ必要なのはお金(1金、可能なら5金も)とその他数種のデザインの異なるチップですので、他のボードゲームのトークンやポーカーチップなどで代用すれば問題ないでしょう。
FFG版(アークライトの日本語版)を持っている方は、ルールブックとトークン類はほぼそのまま流用が可能です。
準備の手順については、こちらの方のサイトに大変分かりやすくまとめられています。
http://blog.livedoor.jp/nirva7/archives/52150948.html
ルールブックの説明が煩雑であるため、ルールを読む前に、まずは動画を見てゲームのイメージを掴むことをお勧めします。
FFG時代に制作されたものですが、現在もルールはほとんど変わらないので最初に見る分には問題無いと思います。
尚、ニコニコ動画には上記の和訳字幕付きが上がっています。アカウントのある方はこちらの方が分かりやすいかもですね。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm29462048
以上、準備は少々たいへんですが、対戦ゲームが好きなら絶対に後悔しないと思いますので、是非ともチャレンジしてみてください。
3.ところで、NSGって何?
⇒現在、ネットランナーの運営・開発を行う有志団体です。
NSGは略称でNull Signal Gamesが正式名称です。
NSGのカードの裏に「NISEI」と印刷されているので「NISEI版」などと呼ばれることがありますが、いずれ背面のカードの背面デザインがNSGデザインに変更されることがアナウンスされています。
かつて「NISEI」と名乗っていましたが、ポリコレ的観点から改名した様です。(日本語の「二世」が移民の子供を意味し、歴史的背景を持つ文化グループと同名を名乗ることを避けたいとの事ですが…)
各国語版を含む新規カード制作、禁止カードなどのルール制定、大会運営、大会用キットの販売などを行っていますが、スタッフは基本的には全員ボランティアです。NSGからは日本語版カードもリリースされていますが、これは日本からボランティアで翻訳を行っている方が協力して下さっているためです。多くの方の無償の尽力により、我々は現在もネットランナーを遊べているというわけです。ありがとうございます。
4.フォーマットって何よ?
⇒使用出来るカードの規定のことです。
え、全部のカードが使えるわけじゃないの?と思いますが、ネットランナーは既に大量のカードがリリースされており、このままカードが増え続けていくと、新しく入ってきた方が付いて行けなくなったり、特定のカード同士のシナジーがやたら強力になったりとバランス、運営の両面で崩壊しかねません。
そこでNSGにより、初心者向け、一般・大会向けなどに分けての使えるカードが規定されています。2022/12時点で制定されているフォーマットに関して、少しだけ触れてみます。
■スタンダード(Standard) →やりこみたいネットランナーギークに!
最も普及しているフォーマットで、世界大会をはじめ多くの大会やネット対戦で適用されています。
(※無料のネット対戦ツール「jinteki.net」ついては、「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」をご参照ください)
FFG時代のカード+NSGのカードを使用します。使用可能なカードはNSGのフォーマットページからご確認ください。BanListと呼ばれる禁止カード一覧が設定されており、不定期に更新されています。
尚、2022/12時点ではFFGとNSGのカードを混ぜて使うため、リアルでは背面不透明のスリーブに入れる必要があります。(FFGとNSGのカードの背面デザインが異なるためです!)
良く分からない方、FFGのカードなんて無いし知らんよという方は、まずは後述するシステムゲートウェイまたはスタートアップで遊びましょう。
■システムゲートウェイ(SystemGateway) →はじめてはこちら!
基本セットであるSystemGatewayのみを使用するフォーマットです。
はじめはこれで遊びましょう。というかカードを準備する手間などを考えると、これが精いっぱいです。
むしろこれだけで何十回と遊びつくせるくらいには奥が深いです。
英語のみではありますが、実はSystemGatewayに限って、一人で遊べるすごいツールが存在します。
なんとAIが相手をしてくれるのです!
構築済みのスターターデッキの他、SystemGateway内でのデッキ構築もできちゃいます。
ルールやカードを覚えるまではこちらで練習するのも良いかもしれません。AIの思考が意外としっかりしてます!
■スタートアップ(StartUp) →遊びやすい本格構築!
名前は初心者向けっぽいですが、デッキ構築も対戦で考えることも格段に幅が広がります。
システムゲートウェイでは遊び足りない!という方はこちらに挑戦してみましょう。
何よりNSGのカードのみで遊ぶことができるため、比較的カードを準備しやすいです。Standardの様に不透明スリーブに入れる必要もありません。
SystemGateway+基本拡張であるSystemUpdateに加えて、最新の拡張1サイクル(2022/12時点ではMidniightSun+Perhelion)を使用します。
サイクルというのは拡張の単位で、ややこしいのですが大体拡張2セットで1サイクルとなっています。(FFG時代は違いました)
■エターナル(Eternal) →なんでもあり!
FFG時代を含め全てのカードが使用出来ます。
デッキ構築はポイント制になっており、強いカードほど高いポイントを消費する様なシステムです。
全カードが使えるのが魅力ですが、最近はこのフォーマットで遊ばれている所を全然見てないですね…。
■スナップショット(Snapshot) →あの日を思い出そう!
FFG時代のルールで遊ぶフォーマットです。FFGのカードのみを使用します。NSGはあくまで非公式の団体ですので、本来の意味ではこれが正式フォーマットとも言えるかもしれません。
5.面白いけどやっぱり遊ぶ機会が無いよ! 相手がいないよ!ダウンロードさせてくれ!
⇒ごもっともです。でも交流の場はあるよ!
正直マイナーゲームなので同士を身近に探すのは困難ですし、友人を誘うにしても、日本人にはあまりキャッチーな方ではないかもしれません。
ではDiscordで仲間を探すというのはいかがでしょうか。
日本では現在、ゴブリンさんが立ち上げたこちらの「ABR Grid」というサーバー(⇒こちらから入れます)が、現役プレイヤーが最も多く顔を出す場所の1つになっているかと思います。
毎週1回のペースで「jinteki.net」を使った交流対戦会なども開かれています。初心者の方は常に歓迎、メンバーがツールの使い方やルールなども色々と教えてくれます。
参加者は礼儀正しくユーモアのある方が多い様に思います。自分もたまに見たり書いたり対戦したりしてますので、気軽にお声がけ下さい。
サーバーに来たから対戦しないといけないなどという雰囲気もなく、ちょっとルール等で聞きたい事があるとか、なんとなくのノリで参加されて全く問題無いと思います。実際、常時活動しているメンバーは10人いないくらいで、ほとんどの方は気が向いたときにひょこっと現れる感じでしょうか。
ネットランナーの様なマイナーゲームのコミュニティは常に新規参入者に飢えているので、必ずだれかが親切に相手してくれると思います。
今回はここまでです。少し余裕が出来たら、またもう少し突っ込んだ記事も書いてみたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
ごん太
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■このエントリーは何?
このエントリーは、LCG「アンドロイド:ネットランナー」を、NISEIの制定した構築フォーマット「Standard」で遊んでいる方向けのものです。
今回は2020年6月26日より施行された禁止カード一覧「BAN List 20.06」についての簡単な説明と個人的な感想を書いています。また解禁された2枚のカードの日本語版プロキシを公開しています。
Jinteki.netで遊んでいる方や、大会・対戦会などに参加したい方、当ブログで密かに推している「日本語Standard」で遊んでいる方には何らかの参考になるかもしれません。
逆に「普段は日本語版製品のカードのみで、MWL2.2で遊んでいる」「禁止カードとか関係なく遊んでいる」「基本セットでしか遊ばない」という方はスルーして頂いて問題無いかなと思います。
ネットランナー自体が全くの初心者の方や、遊び始めたばかりでプレイングや構築について知りたいという方は、メニューから過去記事をご参照下さい。
■何が起きたのか?
2020年6月26日より禁止カード一覧「BAN List 20.06」が施行されました。「BAN List 20.06」ではこれまでの禁止制限「Standard MWL」と大きく異なる点があります。それは「制限」のシステムが撤廃された事です。
「制限」システムは旧MWLの特徴の1つで、制限対象のカードをデッキに2種以上投入する事が出来ないというものです。個々のカードを禁止する事無く特定のコンボを封印したり、強力なカードはどれか一枚しか使えないという細かな調整を行って来ました。
しかし一方では、元々難しいネットランナーのデッキ構築を更に複雑化する要因ともなっていました。この複雑さについて、個人的には許容範囲内であると思っていたのですが、プレイヤーの裾野を広げたいNISEIとしては煩雑過ぎるという判断に至ったのでしょう。制限の廃止について、NISEIのリードデザイナーは「新規参入者に分かり易くしたい」という趣旨の説明を行っています。
この変更に伴い、リストの名前も「MWL(Most Wanted List) X.X」(X.Xはバージョン数)ではなく「BAN List YY.MM」(YY.MMは年.月)に改められた様です。
NISEIによる公式の一覧はこちらです。
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■2020年9月14追記
BANList 20.09が公開されました。20.06から更に3枚のカードが禁止リスト入りしています。
適用は2020年9月25日からです。
追加の禁止カードは以下の通りです。NISEIの告知はコチラです。
[BANList 20.09]
・SSL Endoresment(西サハラ同盟の承認)
・Gold Farmer(ゴールドファーマー)
・PADTap(PADコネクタ)
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■具体的な変更点は?
「BAN List 20.06」では、前述の制限システムの廃止の他、環境バランスを考慮して幾つかの変更がなされました。
具体的にどの辺りのカードが変わったのか、個人的な感想と共に見てみたいと思います。
1.「制限」対象だったカードが「制限なし」「禁止」のどちらかに振り分けられた
これまで「制限」対象だったカードについては、何も無しか禁止のどちらかに変更されました。
振り分けの基準について、多くのカードに関してNISEIのブログにて説明されています。理由の是非はともかく、これまでの構築の方針を大幅に変える事にもなるかと思います。
制限対象カードの振り分けの中で、ごん太がまず最初に気になったのは「Film Critic (映画評論家)」の禁止でしょうか。
これまで「Obokata Protocol」「SSL Endorsement」など多くの5/3計画書の完全なメタとして機能していた「Film Critic」。これが撤廃された事で、コーポはほぼ何のリスクも無くこれらの計画書の投入が可能になりました。「Obokata Protocol (オボカタプロトコル)」「Global Food Initiative (世界食糧構想)」の同時使用も解禁され、「Punishive Counter Strike」を使用したKill戦法もやりやすくなる事でしょう。ランナーとしては常に死の恐怖に怯え、より難しい対応を迫られることになると思います。それが本来の姿ですから、心してかかりましょう。
(「Whsitelbrower」?…知らない子ですね。)
ごく個人的な感覚ですが、日本のプレイヤーは世界的な傾向よりもジンテキ、それも「Obokata Protocol」を中心としたネットダメージキルを狙うデッキを好む傾向がある様に思います。従って国内の大会や日本のプレイヤーと対戦する際は、この変更がより重要になってくるのではないかと考えています。
またジンテキについて言えば「Bio-Ethics Association (生体倫理協会)」が解禁されましたが、これは前述のObokata、後述するKakugo、Breached Domeとセットでバランスを取った結果という事の様です。
コーポで制限から禁止に振り分けられたカードは1枚だけです。アーカイブからR&Dに戻すカードは幾つか存在しますが、「Whampoa Reclamation (黄埔開拓)」はランナーターンでも簡単に使えてしまう点が問題視され、禁止行となった様です(アーカイブにランされたタイミングで計画書を戻せるので…)。いまさらと言う気もしますが「危なくなったらすぐ逃げられる」は確かに強力。改めてJackson Howardの強さを思い知る次第です。
「Mumba Temple (ムンバ寺院)」はAssete Spam(資財を横に並べる)タイプのデッキの促進のために生き残ったようです。一般的に嫌われる事も多いこのアーキタイプについて、NISEIはGlacier(アイスを縦に並べる)などと同様にコーポ戦略の大きな要素として認めるという事かと思います。
ごん太自身はGlacierがそれほど性に合わないためAssete Spamをプレイする事も多いのですが、コーポ/ランナー共に攻防の肝がGlacierと全く異なるため、アーキタイプを全て考慮してバランスを取る事は非常に難しい様に思います。が、コーポのプレイの幅を広げる意味で、NISEIのこの辺りのチューニングには期待したいです。
ランナー側の制限からの変更としてまず注目したのは、「Aesop's Pawnshop (イソップ質店)」の解禁です。HayleyなどAesopを収入のキーにしたデッキの底上げに繋がるのではないでしょうか。
「Inversificator (インバーシフィケイター)」「Tech Trader (テック・トレーダー)」「Engolo (エンゴロ)」らと併用出来る様になったので、シェイパーには幾つかのアーキタイプが戻ってくる可能性がある様に思います。
更に「Engolo」は「Paperclip (ペーパークリップ)」とも併用可能になったので、アナークの一部デッキも組みやすくなるかもしれません。
またアナーク人としては「Labor Rights (労働者の権利)」が生き残った点も非常に嬉しいです。デッキをごりごり操作するのが好きなので。たとえ「LevyAR」が無くても「BufferDrive」があるからと、MaxXをまた使いたくなりました。
一方で「あと1点足りない」を解消してくれた「Mad Dash (猛突進)」が禁止されたのはやや痛い所でしょうか。自分ではあまり使わないカードでしたが、これでフィニッシュされた経験は何度かあります。
「Gang Sign (ギャング・サイン)」はクリミナルに特有のコンボをもたらしていた他、FAの対策にもなっていたので、これの禁止も個人的には残念です。NISEIはとんでもないミルデッキ(コーポの山をひたすら削るデッキ)が開発されたためとしていますが、そのデッキを是非見てみたいと思いました。
「Dorm Compter」の禁止については意図がさっぱりわかりません。
以下に「制限」から変更されたカードの一覧を示します。
※日本語版製品、NISEI日本語版、または当ブログ公開の日本語プロキシが含まれる場合、日本語名を()内に併記しています。
----- △制限 → ×禁止に変更されたカード -----
[コーポ]
・Whampoa Reclamation (黄埔開拓)
[ランナー]
・Film Critic (映画評論家)
・Gang Sign (ギャングサイン)
・Mad Dash (猛突進)
・Dorm Computer
----- △制限 → 〇制限なしに変更されたカード -----
[コーポ]
・Bio-Ethics Association (生体倫理協会)
・Global Food Initiative (世界食糧構想)
・Mumba Temple (ムンバ寺院)
・Obokata Protocol (オボカタ・プロトコル)
[ランナー]
・Aesop's Pawnshop (イソップ質店)
・Engolo (エンゴロ)
・Inversificator (インバーシフィケイター)
・Labor Rights (労働者の権利)
・Paperclip (ペーパークリップ)
・Tech Trader (テック・トレーダー)
2.サブタイプ「現状」を持つカードの全面禁止
もう1つの大きな変更点として、サブタイプ「現状 (Current)」を持つカードの全面禁止が挙げられるかと思います。
「現状」は「現状」でしか返せないという、狭いメタが構築に課す足枷。或いは「現状」対策していないデッキに与えるディスアドバンテージの大きさが、かなり前から問題視されていたカード群です。これらはNISEIの判断により全て禁止になりました。
確かに「出すだけでかなり有利になる。しかも超低コスト」「ネットランナー本来のインタラクションとは異なる次元でメタゲームが展開されてしまう」点は自分も疑問を感じていました。
一方、ごく個人的には一部の「現状」カードを利用したシナジー(Media Blitzによる計画書効果コピー、HB系のブレインダメージ中心のキルなど)を好んでもいたので、全面禁止というのは少々残念です。多くのアイデアを捨てる事になりましたし、すべての「現状」カードがそこまでゲームに悪影響を与えていたとは思いません。
ただ「Scarcity of Resource」や「Hacktivist Meeting」をはじめとした、単体で強力過ぎるカードが多数存在したのは事実だと思います。「現状」全体に問題がある旨は以前からNISEIも指摘していました。個々に禁止すると残された「現状」が相対的に強くなり…とキリが無く、全面禁止も致し方なしというところもあるかと思います。
現環境は「現状」に限らずとも多彩なデッキ構築が可能なので、新たな気持ちで楽しくデッキを作るのが吉かと思います。
(「現状」って何があったっけと言う方はNetrunnerDBなどで確認して頂くとよろしいかと思います。数が多いため、一覧は省略します。)
3.その他、新たに禁止行き、復活のカード
制限カードの変更の影響や別途のバランス調整として、新たに幾つかのカードが禁止、或いはランナーのカード数枚が禁止から復活しました。
まずコーポについて、jintekiデッキのバリアの定番であった「Kakugo (カクゴ)」が禁止されました。前述の「Obokata Protocol」「Bio-Ethics Asociation」の解禁とセットでの対応という事ですが、これによりアイス通過時の「確定1ダメージ」が無くなります。Jintekiユーザーにとっては結構痛い変更かもしれません。同じコストのバリアに「Envelope」がありますが、こちらはダメ―ジが通過時ではなくサブルーチンなので、長いスパンで1点ダメージを取る目的での代用は難しいでしょう。
(ちなみに「Kakugo」は大会で頂いたプロモカードのイラストが物凄くカッコよくて気に入っていたのですが、これが使えなくなるのはたいへんたいへん残念です。)
併せてアーカイブでも効果を発動する「Breached Dome (破損したドーム)」が消えたことは、個人的には少々残念です。ランナーにとっての「アーカイブは安全な場所」という意識の裏をかく事は難しくなるのではないでしょうか。
更に「Shipment from Tennin (テンニンからの出荷)」も、上記カード群の調整の一環として禁止された様です。ダメージを与える効果はないので関係ない様に見えますが、全てはジンテキPEを使ったスタックトラッシュ系のデッキ(かつてのジンテキPUの再来)を封じるため行っている対応の様です。その中で「Shipment from Tennin」は恐らく「Philotic Entanglment」「House of Knives」のファストアドバンスに使われるものと想像します。
「Azmari EdTech (アズマリ・エドテック)」は汎用性が高過ぎて他のIDを使わなくなるという趣旨で禁止された様です。特にGlacier型のNBNではほぼ一択と言って良い位に使われていたので、そこは納得は出来ます。ただこれでNBN自体が使われなくなる、または以前の様にCtMだらけになるという事が無ければ良いなと思います。代用される可能性が高いのは「GameNet」でしょうか。タグ関連以外のシナジーが開拓されるならば、NBNの可能性が広がって嬉しい限りです。
「Gagarin DeepSpace」を使ったAssete Spamデッキの脅威は、以前から一部で問題視されていたように思います。これまで「Zealous Judge」「SIU」などを調整する事で細かくケアしていましたが、「制限」の撤廃に伴いID自体の禁止に踏み切ったようです。イラストと名前が気に入っていたので、姿を見なくなるのは少し寂しいですが。
CtMの強化に対してGagarinは禁止となり、同じAssete Spam型でも随分と明暗が分かれたものですね。
「Cayambe Grid (カヤンベグリッド)」はNISEIのテストにおいて「不快なデッキ」のキーカードになっていたため禁止されたとのことです。あまり使われた事が無いので何とも言えないのですが、色々なアイデアを喚起する様なカードだと思っていたので少し残念です。応用範囲の広いカードはその分凶悪なデッキのパーツとして使われる可能性も高いので、仕方なしということろでしょうか。
[2020年9月14日追記:BANList 20.09]
「SSL Endoresment(西サハラ同盟の承認)」は、コーポ資金の底上げに大いに貢献していた便利な中立計画書です。
各派閥でかなり広く使用されていたため、特定のデッキが厳しくなるというより、コーポ全体のパワーダウンに繋がると言って良いかと思います。獲っても盗まれても9金はやはり強力でした。ランナーよりコーポの勝率の方が高いという事で、ターゲットにされた様です。
「Gold Farmer(ゴールドファーマー)」はGameNetデッキの中心となる様なアイスでした。GameNet Glacierデッキが強力だが展開がスロー過ぎて見ていて退屈という意見が多かったため、NISEIとしてはSSLと併せて調整を行うという趣旨の様です。
次にランナーについて「Zer0 (ゼロ)」「Hyperdriver (ハイパードライバー)」「Tapwrm (テープワーム)」は、いずれも単独で強いカードであるため、これらの復活はランナー全体のかなりの強化に繋がると思います。
「Zer0」はそもそも「簡単にお金とドローが稼げてしまう」という理由で、キタラサイクルリリース後にかなり早いタイミングで禁止されました。
これに対し、NISEIは「魅力的なカードだが、「Clan Vengeance」とセットで使うとヤバイから「Clan Vengeance」の方を削除するね。」と、ごん太の好きな「Clan Vengeance (クランの復讐)」を禁止してくれてしまいました。
みんな大好きな強カードの為に、マイナー寄りのカードが犠牲になるのは毎度ながら正直しょんぼりな部分はあります。シナジーのある「Respirocytes」「By any means」らも巻き添えになった格好です。
ただ今だからこそ出来る事も色々あります。「Zer0」はただ強いだけでなく、研究しがいのあるカードと言えるかと思います。
例えば、起動時に1ダメージを受ける点が唯一のデメリットでした。これを相手へのハンデスに変える「Clan Vengeance」が消えた代わりに、今ならばトラッシュされたカードを山へ戻す「BufferDrive」があります。手札をうまく調整する事で「今は手札にいらない」有用なカードを狙ってスタックに戻すようなことも出来るでしょう。手札の「I've had worse」にヒットすれば、「I've had worse」を戻しながらタダで3ドローと夢も広がります。「BufferDrive」で戻したカードはスタックの一番下ですが「Labor Rights」でお手軽シャッフルできるので、アナークはデッキコントロールがやりやすくなったように思います。
すいません、話がだいぶそれました。
「Tapwrm」の復活のおかげで、「とにかく419辺りでTapwrm置いとけば勝てる」みたいな空気は無いでしょうか、大丈夫でしょうか。複数枚置きは難しいのでかつての様なアホな稼ぎにはならないにしても、「Rezeki」あたりより効率が出る場合が結構あります。
NISEIは「盤面のTapwrmを守ったり、トラッシュされた後に呼び戻す方法が少なくなった」として解禁しましたが、他にトラッシュの多いクリミナルなら「Simulchip」が使いやすいですし、なんなら別に守ったり戻したりしなくても十分に強いので、今後は金策の定番として環境に帰ってくるのではないかと思います。というか既に皆使いまくっているのではないでしょうか。またクリミナルはMUが余りやすいので、インストールする余裕も十分あると思います。
「HyperDriver」はファンデッキの相棒でもあったので、自分としてはかなり嬉しいです。
クリックを3つ増やす効果はそれだけでも十分強いのですが、アイデア次第で通常ではあり得ない動きが色々と可能になります。
例えば「Wanton Destruction」のトラッシュ枚数を増やす、「Apocalypse」でがら空きになったサーバーへのランを同ターン内に可能にする、「Fear the Mass」を同ターン中に撃てる回数を増やす等々。
かつては「Dyper」と呼ばれるワンショット型のコンボデッキが流行しましたが、現在はパーツがスタン落ちしており、そこまで悪さは出来ないだろうという判断の様です。
その代わりに「Encore(アンコール)」が禁止されてしまいました。「HyperDriver」「Apocalypse」辺りと組み合わせるととんでもないデッキが出来るので仕方なしというところですが、こういうロマンのあるカードが消えていくのは寂しいですね。
「DDos」は「Apocalypse」デッキのキーカードになっているという判断で禁止されました。アイスを局所的にスルーする方法は色々あるので、そんなに変わらんやろと思いましたが、そもそも「DDos」自体のターン中持続という点がやたら強かったので、「HyperDriver」復活に併せて削除というのはありかなという印象です。
「Faust (ファウスト)」は「wildside」や「Levy AR」がスタン落ちした現在では、そのパワーは限定的かもしれません。うまく使うにはそれなりの労を要するので、マニアックなカードとしてファンに愛される存在になるのではないでしょうか。
しかし今であれば継続的にドロー可能な「The Nihilist」や「Hoshiko Shiro」があり、更に前述の「Buffer Drive」をキーとしたエンジンに「Harmony AR Therapy」「Trope」などのデッキに戻すカードを加える事で、「Aumakua」に代わるAIとして活かすことも出来るかもしれません。また手札を自由に捨てられることを利用して、「Lat」の効果発動のために枚数調整したりという動きも面白いでしょうか。活用する余地は残されているように思います。
下記に新たに禁止または復帰したカードの一覧を示します。
[2020年9月14日追記:BANList 20.09]
「PADTap(PADコネクタ)」はクリミナルの資金源の1つです。クリミナルの勝率が他のランナーよりも高いという事で禁止行きとなりました。インストールがタダでMUを消費しないので、気軽に出せる点が広く使われている主なポイントでしょうか。
影響値が1なので、他派閥でも結構使われているようです。
----- 新たな×禁止カード -----
[コーポ]
・Azmari EdTech (アズマリ・エドテック)
・Breached Dome (破損したドーム)
・Cayambe Grid (カヤンベグリッド)
・Gagarin Deep Space
・Kakugo (カクゴ)
・Shipment from Tennin (テンニンからの出荷)
<BANList 20.09>
・SSL Endoresment(西サハラ同盟の承認)
・Gold Farmer(ゴールドファーマー)
[ランナー]
・Clan Vengeance (クランの復讐)
・DDos (DDos)
・Encore (アンコール)
<BANList 20.09>
・PADTap(PADコネクタ)
----- 復活したカード -----
[コーポ]
なし
[ランナー]
・Faust (ファウスト)
・Hyperdriver (ハイパードライバー)
・Tapwrm (テープワーム)
・Zer0 (ゼロ)
■おまけ:日本語版 Standardへの影響
・おまけ1:日本語版禁止カード一覧
当ブログで密かに推している「日本語版Standard」(日本語版製品カードや一部プロキシなどを使ってStandatd環境に適合)で遊んでいる方向けに、日本語製品版でのBANListの禁止カード一覧をまとめました。
こちらのファイルをお持ち帰りください。
・おまけ2:復活したカードの日本語版プロキシ
今回のBANListで、何枚かのランナーのカードが禁止から復活しました。
その中から、日本語版未翻訳の2枚のプロキシ(PDF)を公開したいと思います。どちらもかなり強力な効果を持つので、是非使い倒してやりましょう。
今回は2枚だけなので3枚ずつ、計6枚としています。下記からダウンロードして、他のプロキシ同様に印刷、裁断して背骨と共にカラースリーブに入れてご利用下さい。
BANList20.06日本語版追加プロキシPDF(3MB)
[公開したプロキシ]
・ハイパードライバー(Hyper Driver)
ターン開始時にトラッシュすると、なんとこのターンのランナーのクリックを3つも増やすヤバイプログラムです。
様々なコンボの鍵となるほか、そのまま使って増えたクリックでドローするだけでも十分お得ですし「プロ流の接触」を置いておけばドローと共にクレジットの加速にも貢献してくれます。
唯一のネックはMUを「3」も消費することでしょうか。前半は無視出来ますが、プログラムが並ぶ中盤以降はしっかり最大MUを確保しておく必要があります。
・テープワーム(tapwrm)
ターン開始時に、コーポの所持金5クレにつきランナーが1クレ貰える丸儲けカードです。
昨今のコーポはかなりお金を稼ぎやすくなっているので、これ1枚で毎ターン4〜5クレ貰えてしまう事態もザラにあるでしょう。
ウィルスパージでトラッシュされてしまいますが、このためにコーポが3クリック消費を強要されるのもなかなか嫌なものでしょう。
トラッシュを妨害するカードはRotationなどにより減ったものの、ヒープから回収する手段もそれなりにあるため、今でも十分有用なカードと言えるのではないでしょうか。
■おわりに
今回の禁止改訂で環境もだいぶ変わってくると思いますが、環境が変わる事でまだまだ遊びがいがあるというのは大変うれしい事です。
ちなみにNISEIから告知されている今後の予定として、12月に「System Gateway」というほぼ新カードで構成された入門用の構築済みセットと、「System Update」という既存カードのアートやテキストをリファインしたものがリリースされるようです。
併せて「SanSan Cycle」と「Honor and Profit (名誉と利潤)」がローテーションするらしいので、その内の何枚かは「System Update」に残るのではないかと思います。
まだ12月までは期間があるので、しばらくは今の環境を楽しみたいと思います。
そして次回こそ、また初心者向けの記事にしたいと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
ごん太
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■このエントリーは何?
この記事は、LCG「アンドロイド:ネットランナー」を遊んだことがあり、Web対戦ツール「jintek.net」に興味がある、または遊んでみたい方向けの簡単な遊び方の解説です。
今回はjinteki.netでのデッキ構築のお話になります。登録方法や遊び方全般などを書いた前回記事を未読の方はこちらからどうぞ。
ルールが分からない方や、プレイングや構築について知りたいという方は、下記の過去記事もご参照下さい。
[過去記事]
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
「2度目のネットランナー(4) 実は知らなかった!?間違えやすい超基本ルール」
「2度目のネットランナー(番外編) 日本語環境の禁止・制限カード一覧」
「2度目のネットランナー(5) これからはじめる人のための、ネットランナー10の疑問」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [1] 日本語版ダウンフォールが来た!」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [2] SystemCoreを使ってみよう」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [1] さようならオボカタ」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太です。
ネットランナー大好き人です。遊んでください。
前回、こんなときだからこそネットランナーをネットで楽しもうぜ、とばかりに対戦ツールである「jinteki.net」をお勧めした次第でありますが、皆さん早速ヘビープレイされていますでしょうか。
まだの方は是非前回の記事を参考に遊んでみてください。リアル対戦の興奮そのままに、手軽で無茶苦茶楽しいです。
むしろリアルはカードの管理が大変なので、対戦だけならこれでええやんという感じもあります。
さて、jinteki.netも一回遊んで操作方法はなんとなくわかったとして、そうするとそろそろデッキでも組んでみようかとなってくるかと思います。
やはりTCGやLCGはプレイ中だけでなくデッキを組んでいる時も楽しい。あれこれ悩んで組み上げたデッキは1つの作品とも言えるでしょう。個人的には楽しさの半分はデッキ構築にあると思っているくらいです。
というわけで今回はjinteki.netで遊ぶためのデッキ構築方法についてご紹介したいと思います。
■jinteki.netでデッキを組もう!
早速jinteki.netにログインしてデッキを組んでみましょう。
ログイン後に左上のメニュー「Deck Builder」をクリックしてデッキ構築画面を開いてください。
こんな感じの画面が表示されると思います。
<デッキリスト>
<禁止カード>
カード名が黄色文字で、横に赤く「×」が書かれている場合、それはMWLの禁止(Banned)カードです。
カード名の横に円形の黄色矢印が書かれている場合、それはRotationによって使用不可になった古いカードです。
いずれにせよ使用出来ないので、編集して削除する必要があります。
<同時使用制限カード>
デッキの横にユニコーンのマークが書かれている場合、それはMWLの制限(Restricted)カードです。
1種なら問題ありませんが、このマークの付いたカードが2種以上デッキに含まれると、フォーマット違反(赤字の「illegal」)になるので注意しましょう。
デッキリストの上の「Delete」ボタンをクリックすると表示中のデッキが削除されます。
画面上の「New Corp Deck」「New Runner Deck」をクリックすると、それぞれの新規デッキの作成フォームを開きます。
また「Edit」ボタンをクリックすると、表示中のデッキを編集します。
<デッキ編集>
デッキの編集画面です。
編集後に「Save」をクリックすると、現在の状態を保存します。
左側が現在のデッキのカード一覧です。カード枚数の左右についている「+」「−」をクリックすると、枚数を増減します。
右側が詳細情報の入力欄です。
「Deck Name」にはデッキ名を入力します。デッキ名は他人には公開されないので、好きな様に付けても大丈夫です。
「Format」はこのデッキのフォーマットです。詳しくは前回記事をご参照下さい。
今回は「Standard」のデッキを組むことにします。
「Identity」はデッキのIDです。フォーマット的に使用できないIDも選択肢に含まれているので注意しましょう。
「Add Cards」に入力して「Add deck」をクリックするか、「DeckList」に名前と枚数を直接入力することでカードのデッキ登録が可能です。
このツール、カード名を手入力しないといけないのです。何文字か入力するとインクリメント検索風に左の一覧に表示されるので全文字を入力する必要はないのですが、カード名やその効果をある程度把握していないとこれは難しいと思います。
そこで、別のツールで作成してjinteki.netに取り込む手段をお勧めしたいと思います。
その手段として一番ポピュラーなのが、NetrunnerDBで作成する方法です。
■NetrunnerDBを活用しよう!
NetrunnerDBとはネットランナーのデッキやカードなどの情報を総合的に扱うファンサイトです。
ネットランナーを公式準拠(現在はNISEI準拠)でプレイしたり、jinteki.netで遊ぶプレイヤーでこのサイトを見ない人はいないだろうという位メジャーかつ有用なサイトです。
今回はデッキ作成部分のみのご紹介に留めますが、是非活用する事をおすすめします。
では、まずは https://netrunnerdb.com/を開いてみましょう。
<トップページ>
トップページには「今週の注目デッキ」などが表示されています。
主に最近の大会で好成績を収めたデッキなど、人気デッキのカードリストが表示されています。
トップページに限らず色々と参考になる事が多いのですが、サイトを見て回るのは後にして、とりあえずはデッキ構築画面を開きましょう。
上部の黒い帯のメニューから「My Decks」をクリックします。
<ログイン画面>
デッキ作成をする場合、アカウント登録が必要です。
「Log in」ボタンの隣の「Registor」をクリックします。既に登録済みの方はユーザー名とパスワードを入力してログインしましょう。
NetrunnerDBもjinteki.net同様に簡単なユーザー登録で使用可能です。メールアドレスはフリーメール等でも問題ないと思います。二段階認証もありません。
登録すると、デッキ構築画面に遷移します。
<デッキ登録画面>
まだ何も登録していないので、左半分は真っ白だと思います。
新しくデッキ構築する時には「+New Corp Deck」「+New Runner Deck」をクリックします。
「Import Deck」は他のツールからデッキを取り込む場合です。jinteki.netから逆に移植する場合もここを使います。
取り込み元を「コピペ」「テキストファイル」「Meteorというデッキ構築サイト」から選べます。今回は使用しないので詳細は省略します。
「With Selection」はデッキ作成後に「タグ」をつけたり比較したりなどの操作時に使用します。
「Compare」は複数のデッキのカード種の使用枚数などを比較出来ます。ごん太はあまり使いませんが…。
「Tags」はデッキに「タグ」を追加します。「タグ」はデッキが増えた時に整理するもので、ゲーム中に登場するタグとは関係ありません。
デッキ登録画面の下の方にある無数のボタンがその「タグ」です。
タグをクリックすると、該当するタグ付きのデッキのみに絞り込んで表示されます。
上記の例では「anarch」というタグの付いたデッキだけが表示されています。
「Sort List」は複数のデッキの表示順を切り替えます。登録デッキ数が増えてきたら使いましょう。
「Download All Decks」は全てのデッキをテキスト形式でzip圧縮してダウンロードします。ダウンロードしたテキストはそのままjinteki.netにコピペ出来るので、まとめて作ってまとめてコピーする場合は便利かもしれません。
「Upload All Decks」はその逆で、テキストファイルをまとめてNetrunnerDBに取り込むのに使用します。
■デッキを組もう
ではデッキ作成に着手しましょう。
今回はコーポのデッキを作ってみるとして「+New Corp Deck」をクリックします。
まずはIDの選択から始まります。
<ID選択>
作成するデッキのIDをクリックします。
Rotated及びBannedのカードにはマークが付いています。これらはフォーマット「Standard」で使えないので注意してください。
<デッキ構築画面>
画面右側がカード選択、左側がデッキのカードリストです。
画面右側のカード名の「Quantity」の枚数をクリックすると、画面左側に選択したカードが表示されます。
表示されたカード名にポイントすると、略式のカード情報が表示されます。
選択対象のカードは画面右上のアイコンをクリックして絞り込みます。複数選択すると選択したもの全てが表示されます。
左からハースバイオロイド、ジンテキ、NBN、ウェイランド、そして一番右がニュートラル(中立)カードです。
こちらはカード種を示します。
左から計画書、資材、アイス、ID、任務、強化です。
選択したカードが他派閥の場合、カード名の右側に使用する影響値が「●」の数で表示されます。
この辺はjinteki.netのデッキ構築画面と同様です。
影響値の最大と現在値はIDカードのイラストの横に表示されています。
XX influence spent (max YY, available ZZ)
XXが使用している影響値、YYが最大値、ZZが残りです。
計画ポイント、デッキのカード枚数も表示されているので確認しながらカードを増減しましょう。
画面左下の「Legality」では「MWL」によるカード制限を選択可能です。
フォーマットごとに沿ったものを選択しておきましょう。
<MWL選択>
初期状態では最新の制限が選択されているので、フォーマット「Standard」「Core Experience」で使用するデッキの場合は変更する必要はありません。
フォーマット「SnapShot」または「SnapShot Plus」の場合は「NAPD MWL2.2」を選んでください。
それ以外のフォーマットのMWLは存在しない、または選べない(Eternal MWLは用意されて無いようです)ので、それらは「Casual Play」を選んでおきましょう。
画面右上のメニューの「Collection」では構築に使用するセットの選択が可能です。
<構築セット選択>
初期状態では最新のRotationに対応しているため、フォーマット「Standard」の場合は変更する必要はありません。
また「Current CardPool」をクリックした場合も、Standardに適した最新の状態に設定されます。
フォーマット「SnapShot」の場合は「SystemCore2019」「Ashes」「Magnum Opus」を外し、「Revised Core Set」「Creation and Control」「Lunar」にチェックを入れましょう。
フォーマット「SnapShot Plus」の場合は上記の「SnapShot」に「Magnum Opus」を追加しましょう。
フォーマット「Core Experience」の場合「SystemCore2019」にチェックし、それ以外のチェックは全て外しましょう。
<Rotationの有無、基本セットの使用数設定>
更にフォーマット「Core Experience」の場合、「Setteing」メニューで「1セットのみ」の制限を加えましょう。
右上メニューの「Setting」をクリックしてください。この中の「Use 1 Core Set」をチェックします。
それ以外のフォーマットでは「Use 3 Core Set」のままで良いと思います。
「Eternal」「Classic」の場合は更に「Check for Rotation Compliance」のチェックを外します。
「SOCR」の場合は「Show Cache Refresh format compliance」にチェックしましょう。
フォーマットごとの設定を行ったら、前述の方法でカードを追加、編集していきます。
「右側のカード選択を絞って枚数選択」→「左側のカード一覧でデッキ内の枚数などをチェックしながら削る」を繰り返し、デッキを組み上げましょう。
左側のカード名をクリックすると、その詳細と共に枚数選択が表示されます。
このウィンドウで枚数の調整が可能です。後からカードを削りたいときなどに便利です。
デッキが完成したら、保存する前に右側上部のメニューの「Notes」で、デッキに「タグ」を付けることが出来ます。
「Tags」欄にタグ名を入力しましょう。初期状態で派閥名(「anarch」「NBN」など)が書かれています。
追加する場合は現在入力されている文字に続けて半角スペースを空け、続きから入力してください。既存に無い名前を入力した場合、自動的に新しいタグとして登録されます。
特にタグを付けて分類したいという事がなければここはそのままでも良いと思います。
「Notes」はメモ欄です。
最後にデッキに名前を付けて保存します。
デッキ名は公開しなければ自分にしか見えないので何でも良いでしょう。
最後に「Save」をクリックして保存します。
■Jinteki.netにコピーしよう
仕上げに、NetrunnerDBで作成したデッキをjinteki.netに取り込みましょう。
先ほど作成したデッキをクリックして、デッキリストを開きます。
下の方にある「Jinteki.net format」というボタンをクリックしましょう。
デッキのカード一覧がテキストで表示されるので、全選択、コピーをしましょう。
(枠内をクリックして「Ctrl+A」→「Ctrl+C」が簡単です。)
続いて、jinteki.netのデッキ編集画面を開いて「Decklist」内に貼り付けをします。
(枠内をクリックして「Ctrl+V」が簡単です。)
IDの横に緑色で「Standard legal」と表示されている事を確認しましょう。
問題無ければ「Save」をクリックします。
これでデッキは完成です。
■デッキサンプル
最後に、ごん太が初心者の方向けに作成した、「Standard」で使えるサンプルデッキをご紹介したいと思います。
と言うのも、jinteki.netに初期状態で登録されているデッキには使い方の難しいカードも含まれており、あまり初プレイには向いていないのではないかと感じています。
そこで「収入」にポイントを絞り、余計な効果を削って「Weyland」と「Chaos Theory」のデッキを改良してみました。
何回か回してみましたが「お金が尽きて詰まる」という事はほとんど無く、比較的スムーズにプレイできるかと思います。
良かったら使ってみて下さい。
以下にjinteki.netにそのまま貼り付けられるフォーマットで置いておきます。
[コーポ]
・Weyland Sample Deck
-----------------------
3 Priority Requisition
2 Hostile Takeover
3 PAD Campaign
3 Ice Wall
3 Spiderweb
3 Enigma
2 IPO
3 Blue Level Clearance
1 Hadrian's Wall
3 Archer
3 Beanstalk Royalties
3 Project Atlas
3 Hortum
1 SSL Endorsement
3 NGO Front
2 Oversight AI
2 Guard
2 Biotic Labor
3 Hedge Fund
1 Digital Rights Management
-----------------------
[ランナー]
・Chaos Theory Sample Deck
-----------------------
3 Armitage Codebusting
3 Rezeki
3 Sure Gamble
3 Liberated Account
1 Tinkering
3 Gordian Blade
3 Corroder
3 Na'Not'K
3 Build Script
3 Dirty Laundry
3 The Maker's Eye
3 Diesel
3 Daredevil
3 Daily Casts
-----------------------
■おわりに
今回はNetrunnerDBでの構築方法をご紹介しましたが、ごん太個人としてはこの他に、iOSアプリの「NetDeck」というものも併用しています。こちらはスマホで移動中などに気軽に作れるという点と、jinteki.netやNetrunnerDBに連携が可能で、ワンクリックで転送できる点が気に入っています。興味のある方はApple Storeで探してみてください。
(ただし、iOSのみでAndoroid用ではリリースされていないようです。)
冒頭で「こんなときだからこそ」と申し上げましたが、ごく個人的には今だけでなく今後はずっとjinteki.netはネットランナーの主流になっていくのではないかと思っています。
むしろ、本来ならネットを利用したアナログゲームの主流の1つになり得るものではないでしょうか。「言葉のいらない駆け引き」が得意なネットランナーは、もともと空間や国境すらも超えるオンラインプレイに適したものだと思います。
これからのボードゲームやカードゲームは「集まって遊ぶもの」から、よりプライベートな遊び方に移行していくのかもしれません。
そんな中で、あんまり深く遊んでこなかった、または今まで興味の無かった方にも是非ネットランナーにチャレンジして欲しいと思い、記事を書き続ける次第です。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
次回予定の内容は未定ですが、また初心者〜初級者向けのものにしたいと思っています。
ごん太
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■このエントリーは何?
この記事は、LCG「アンドロイド:ネットランナー」を遊んだことがあり、Web対戦ツール「jintek.net」に興味がある、または遊んでみたい方向けの簡単な遊び方の解説です。
ルールが分からない方や、プレイングや構築について知りたいという方は、下記の関連記事もご参照下さい。
[関連記事]
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
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「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太と申します。
ネットランナーが大好きなボードゲーマーです。TCGをはじめとしたアナログゲームもいろいろ遊んでます。
某ウイルスによって世の中の有様がすっかり変わってしまった昨今でありますが、如何お過ごしでしょうか。自分はこんな時こそ大好きなインドア趣味で心を癒して行きたいと思う次第です。
とは言えボードゲームは環境的に所謂「3密」を発生させてしまうので、なかなか遊びにくくなってしまいました。
するとオンラインボードゲームの出番と相成る訳ですが、4〜5人を同時間帯にPCの前に呼ぶのもなかなか簡単ではないかもしれません。せめて自分ともう1人くらいだけならなんとかなるでしょうか。
そこで見直されるのが2人用ゲーム。そして2人用ゲームの最高峰と言えばやはり「アンドロイド:ネットランナー」でしょう。
ご存じの方もいるかと思いますが、アンドロイド:ネットランナーには「jinteki.net」というオンラインの対戦ツールが存在します。「jinteki.net」はもちろん無料で遊べますし、実際のカードを所有している必要もありません。
ただ「jinteki.net」は英語表示だし、対戦者は基本的に海外の方。操作方法やカードテキストの理解に加え、コミュニケーションなどに不安があり、ちょっと躊躇してしまうという方も多いかと思います。
ところが実際やってみると、最も壁となるのは英語よりも独特の操作方法。クリックの順番やタイミングなどがいろいろとわかりにくいのです。
英語に関しては意外と遊べてしまうと思います。インターフェースもカードテキストも難しい表現は無いので、中学生程度の理解で大丈夫でしょう。むしろ「ネットランナー語」と呼ばれるカード効果の独特の表現パターンに慣れる事が重要です。
ゲーム中のコミュニケーションも常套句さえ覚えれば大体なんとかなるので、いずれ野良対戦も問題無いと思います。
よって、はじめの頃は「操作ミスをしまくっても大丈夫」な様に、知り合いの方と一緒に遊ぶことをお勧め致します。jinteki.netは鍵部屋が作れるので、落ち着いて遊べるかと思います。お友達がいない方は国内のコミュニティで親切なプレイヤーを探してみてください。その方法は後述します。
そんなわけで、世界一楽しい2人用カードゲームである「アンドロイド:ネットランナー」をこんな時にこそオンラインで遊び倒して楽しく過ごそうというのが今回の趣旨になります。
■登録しよう!
「jinteki.net」は、有志が作成したブラウザ上で動作するWeb対戦ツールです。
FFG社の公式ではありませんが、現在運営を行っている有志団体の「NISEI」はjinteki.netを利用したオンラインの大会なども行っており、NISEI運営下での実質的な公認対戦ツールの様な位置付けになっています。
インターネット回線とブラウザが動作するPCがあれば、簡単な登録だけで世界中誰でも無料で遊ぶことが出来ます。
(PCではなくスマホで試したことがありますが、画面が狭くちょっときつかったです。タブレットは試したことがありません。)
まずはサイトURL「http://jinteki.net」を開いてみましょう。
<トップページ>
トップページにはチャット画面が表示されており、なんだかごちゃごちゃしていますが、やるべき事は大して難しくありません。
画面右上の「Sign up」をクリックしましょう。するとユーザー登録のダイアログが画面の真ん中あたりに出てきます。
既に登録している方は「Login」をクリックしてログインしましょう。
「Create an account」はよくあるユーザー登録です。ユーザー名とメールアドレス、パスワードだけ決めて入力すればオッケーです。メールアドレスはフリーメールなどでも大丈夫だと思います。登録時に2段階認証などはありません。
<ユーザー登録>
登録したら、とりあえず「Login」をクリックしてログインしておきましょう。画面右上にユーザー名が表示されます。
続いて、左上のメニューを順にクリックしてざっと内容を見ておきましょう。[Play]が対戦部屋です。[Deck Builder]ではデッキの構築、編集が可能です。この2つ以外はほとんど使わないので、簡単に概略だけ説明しておきます。
<メインメニュー>
[Chat] … トップ画面として表示される、プレイヤー間のオープンチャットです。地域別のルームも用意されていますが、個人的にはここで何か発言した事は無く、他の人の発言もあまり気に留めていません。
[Cards] … カード図鑑です。ネットランナーの全てのカードを閲覧可能です。絞り込み検索なども可能ですが、カード画像が画面に大量に表示されるので結構重いです。
[Deck Builder] … デッキ構築画面です。詳しくは次回お話ししますが、正直使いにくいです。デッキはNetrunnerDBという別のサイトで作成してコピーするか、NetDeckというiOSのアプリで作成してインポートする方法がお勧めです。
[Play] … jinteki.netのメインコンテンツです。対戦ルームの作成、参加、観戦などが出来ます。詳しくは後述します。
[Help] … jinteki.netの概要説明や関連サイトへのリンク、コマンドリファレンス(巻き戻しなどイレギュラーな操作で使用)などがあります。操作説明等は無く、はじめは読み飛ばしても良いでしょう。プレイ中にコマンドを確認するために時々参照します。
[Setting] … 自分のアイコン画像や効果音の音量、レイアウト、背景画像などの設定を行います。初期設定のままでも全く構いません。ちなみにプレイ中は音楽などありませんが、そこそこデカい音で効果音が鳴ります。
[Stats] … 自分の対戦成績を確認できます。
[About] … このサイトの開発・運営スタッフのクレジットなどがあります。
■対戦ルームを立てよう!
ではさっそく遊びましょう!…と言いたいところですが、jinteki.netは操作方法が独特で多少慣れが必要です。しかしCPU対戦モードやチュートリアルなどは無いため、いきなり対人戦に飛び込んで覚える必要があります。
可能であれば、お相手として初回はお友達を呼んでください。出来れば1回以上ネットランナーを遊んだことのある方が良いと思います。全く経験のない人でも、ルールくらいはさらっと見ておいて頂くのが良いと思います。
(本ブログ内に「2度目のネットランナー(0) はじめてのネットランナー」という記事もあるので、そちらもご活用下さい。)
お友達の都合がつかない方は、Discordで教えてくれる人を探すのも良いと思います。
ネットランナーの様なマイナーゲームのコミュニティは常に新規参入者に飢えているので、必ずだれかが親切に教えてくれると思います。
日本では現在、ゴブリンさんが立ち上げたこちらの「ABR Grid」というサーバー(⇒こちらから入れます)が、現役プレイヤーが多く顔を出す場所の1つになっているかと思います。参加者は礼儀正しくユーモアのある方が多い様に思います。自分もたまに見たり書いたり対戦したりしてますので、気軽にお声がけ下さい。
サーバーに来たから対戦しないといけないなどという雰囲気もなく、ちょっとルール等で聞きたい事があるとか、なんとなくのノリで参加されて全く問題無いと思います。
そんなこんなで、練習プレイに付き合ってくれる方が確保できたと仮定して、さっそく対戦をはじめてみましょう。
左上メニューの[Play]をクリックして、対戦ルーム一覧を開きます。
<対戦ルーム一覧>
お友達など対戦者が部屋を作ってくれている場合、一覧から参加者の名前を探して「join」ボタンをクリックしましょう。部屋は作成時刻の直近順に表示されています。
パスワード入力画面が表示されたら、あらかじめ聞いているパスワードを入れて下さい。分からない場合は別経路で本人に聞きましょう。
<パスワード入力>
あなたが部屋を立てる場合、「New Game」ボタンをクリックします。
以下の様な作成フォームが表示されるので、順に入力して「Create」をクリックしましょう。
<対戦ルーム作成フォーム>
・Title
部屋の名前です。初期状態だと「(プレイヤー名)'s game」となっています。gontaなら「gonta's game」です。
特別付けたい名前が無ければそのままで良いと思います。
・Side
部屋主がコーポを担当するのかランナーを担当するのか選択します。
野良対戦の場合はプレイしたいサイドを選べばよいと思いますが、対戦者が入ってきた後でも変えられるので、待ち合わせしている場合は初期状態の「corp」のままでも良いでしょう。
・Format
対戦部屋のフォーマット(デッキ構築のルール)を決めます。結構種類があります。フォーマットによって構築で使えるカードが変わるので、可能なら対戦者の方と予め示し合わせておきましょう。特に示し合わせが無ければ「Standard」で組むのが一般的ですが、jinteki.net初プレイという想定で、今回は「SnapShot」「SnapShot Plus」「casual」のどれかを選択することにしておきます。選択理由は後述します。
参考までに、以下に各フォーマットの概要を書いておきます。
「Standard」… 大会をはじめ、現在のネットランナーで一般的に用いられる、NISEIのフォーマットです。ほとんどの人はこれで対戦しているので、野良対戦したい方はこのフォーマットで組んでおきましょう。
古いカードが使えないルール「Rotation」と、禁止・同時使用制限などを制定した最新の「MWL」により使用可能カードに縛りがあります。構築時はNISEIのフォーマットページをチェックしましょう。
※冒頭にも書きましたが、「NISEI」とは現在のアンドロイド:ネットランナーの運営を世界的に行っている有志組織です。
「Eternal」… 同じくNISEIのフォーマットですが、「Rotation」が無いので古いカードも使えます。また「MWL」による禁止カードも少なく、自由度がかなり高いです。ただし最近はこれで遊んでいるプレイヤーは少ない様です。
「Core Experience」… SystemCore2019という基本セットを1セットのみ使って構築する、NISEIのフォーマットです。カードが少ないので構築バリエーションの幅が狭い一方、カード知識よりも運やプレイングのセンスが問われるので、経験者と初心者で遊ぶ時にも比較的お勧めです。SystemCore2019のカードについてはNISEIのページでチェックしましょう。
「SnapShot」… FFG社が運営を行っていた時代の公式フォーマットです。NISEIのカードは使えません。お友達と「基本セット第2版」を中心に「日本語版の製品に存在するカードのみ」で遊ぶ場合などにお勧めです。また当ブログ過去記事の「デッキをどう組むか?」の各回も、このフォーマットに沿っています。
「SnapShot Plus」… SnapShotに「Magnum Opus」という大会記念の小拡張を加えたフォーマットです。SnapShotから増えるカードは数枚ですが、どれもなかなか強力です。
「SOCR」… 「Stimhack」というファンサイトのオンライントーナメントで採用されているフォーマットです。FFG公式に存在した「Cache Refresh」というフォーマットをベースとしています。具体的には基本セット、大拡張どれか、最新とその1つ前の拡張パックという様な比較的少ない枠内で構築します。興味ある方はStimhack内のフォーラムを見てみてください。
「Classic」… TheBigBoyという有名プレイヤーがWeb上で提唱するフォーマットです。彼独自の禁止カードを制定しており、本人のサイトで確認できます。
「Casual」 … 禁止・制限無しの事です。
今回はjinteki.netでのはじめてのプレイを想定して、初期状態で用意されているデッキで遊ぶことにします。
初期状態で用意されているデッキは、「Revised Core Set」(日本語版で言う「基本セット 第2版」)を使ったもので、実は「Standard」には対応していません。というわけで、特にデッキを用意していないという場合は「Revised Core Set」に対応した「Snapshot」「Snapshot Plus」「Casual」のどれかを選んでください。
デッキを構築して遊ぶ様になったら「Standard」や「Core Exprience」などもお勧めです。
・Option
対戦部屋の鍵の有無、観戦の可否などを決められます。チェックボックスにチェックを入れると有効化されます。
「Allow spectators」 … チェックすると、ルーム選択画面の自分の部屋に「Watch」というボタンが現れて、第3者の観戦が可能になります。観戦者は名前が表示され、部屋内での発言も可能です。
「Make players' hidden information visible to spectators」 … スミマセン、ごん太はこれをオンにしたことが無いので詳しくは分かりません。チェックすると観戦者に裏向きのサーバーや手札などのオモテが見える様になるのではないかと思います。(違ってたらご指摘ください)
「Password protected」 … チェックするとパスワード入力欄が表示されます。作成した部屋には[Private]と表示され、パスワードによる鍵がかかります。内輪で遊ぶときは必ずチェックを入れましょう。
今回は内輪対戦を想定して「Password protected」にチェックを入れましょう。観戦の可否等はお好きにどうぞ。
入力が終わったら「Create」ボタンをクリックします。一覧に自分の部屋が表示されれば成功です。
部屋を作成すると下記の様な対戦ルーム画面が表示されます。
大きな枠はチャット欄です。テキストボックスに文字を入力し「Send」またはエンターキーで発言します。(日本語表示OK)
対戦者が入室した時は「ペポン♪」という様な低い効果音が鳴ります。
<作成直後>
<対戦者入室後>
対戦者には「初回プレイなので、初期で用意されている基本セットのデッキで遊びたい。」旨を告げておきましょう。
もちろんデッキを組んで用意している場合は、その限りではありません。
画面上の方にある「Swap sides」をクリックすると、部屋主と対戦者のサイド(ランナー/コーポ)が入れ替わります。チャットでどちらがランナー/コーポを担当するか決めるのも良いでしょう。
サイドが決まったら、デッキを選択します。自分の名前の横にある「Select Deck」をクリックするとデッキ選択ウィンドウが表示されます。
<デッキ選択:コーポの例>
各デッキの枠内をクリックするとそのデッキが選択されます。
左寄りにIDカードの画像、デッキ名、派閥が表示されています。
右側に緑色で「Snapshot legal」と表示されているデッキは、この部屋のフォーマット「Snapshot」に適合している事を示します。
赤色で「Snapshot illegal」と書かれているデッキには、何らかのフォーマット違反があります。上記では「2016 World Champion Corp」デッキにSnapshotの禁止カードなどが含まれているため赤く表示されています。(2016年当初は大丈夫だったのですが、その後いくつかのカードが禁止になりました。)
今回は、例として上から4番目の「Revised Core Set: Default Weyland」を選ぶことにしましょう。
選択すると自分の名前の横にデッキ名と「Snapshot legal」が表示されます。
対戦者は「Gabriel Santiago」を選びました。対戦者が選択を終えると、名前の横に「Deck selected」とフォーマット適合の可否が表示されます。派閥とデッキ名はお互い伏せられているので、構築時に恥ずかしい名前を付けていても安心ですね。
2人ともデッキを選択すると部屋主は「Start」をクリック出来るようになります。
デッキは「Start」が押されるまで何度でも選択しなおすことが出来ます。問題無ければ「Start」をクリックして対戦を始めましょう!
■いざ対戦をはじめよう!
<開始直後>
対戦が始まると、画面の中央にパラパラと5枚の初期手札が表示されます。
そのままの場合は「Keep」、一度だけの全引き直しをしたい場合「Mulligun」をクリックしましょう。
中央のボタンでも、左下のボタンでもどちらを押しても同じです。
<マリガン後>
2人ともマリガンが終わると中央に「Start Game」ボタンが表示されるのでクリックしましょう。
・対戦画面の見方
対戦画面の表示内容を見てみましょう。
<チャットウィンドウ>
画面右端にはチャット窓が表示されています。テキストボックスに入力してエンターで発言します。
すぐ下の「indicate action」をクリックすると「ちょっと待ってね!」という様な旨のメッセージが表示されます。相手ターンにこちらが割り込んでレゾや能力起動などしたい時に押しましょう。(例:「コーポが計画書とおぼしきカードをインストールした瞬間に、Clotを起動して得点を防ぐ」等。※よく分からない場合は、今回はとりあえず気にしなくても大丈夫です。)
また、何らかのアクションを行った際にその内容が表示されます。対戦相手の動きはここで確認しましょう。またカード名にマウスポインタ―を当てると、画面右上にカード画像が表示されます。
<カード画像とアクション表示>
また会話とアクション確認が主な用途ですが、ここに特定のコマンドを入力すると、アクションを巻き戻すなどの特殊な操作を行えます。
コマンドについては、今回はとても大事なものを1つだけ覚えておいてください。
「/undo-click」と入力すると、直前に実行したアクションをキャンセルして元に戻すことが出来ます。
これはうっかり操作ミスをした場合の非常時の手段なので、知らない人と対戦するときはもちろん身内と対戦する場合でも、必ず相手に「ミスしたので戻してよいですか?」と聞いて了解を貰ってください。
またミスはミスでも「後から損する事が分かったからやめたい」等の作戦ミスを取り戻すために濫用する事は、マナーとして控えましょう。
ただ、はじめてのプレイの時はルール間違いや操作ミスが多くなると思うので、何回かこのコマンドにはお世話になると思います。臆せずもりもりプレイして操作に失敗したらこのコマンドで戻させて貰う、くらいの気楽さで良いと個人的には思っています。
(自分もいまだに1プレイに1〜2回くらいはミスって戻させてもらってます!)
その他のコマンドを知りたい場合は、メインメニューの「Help」を参照してください。
<対戦時メニュー>
画面右上には、対戦中のメニューが表示されます。
「Concede」 … 投了します。クリックすると即座に敗北し、リザルトが表示されます。
「Leave game」 … 部屋を出ます。通常はゲーム終了後にクリックします。ゲーム中にいきなり退出すると途中で勝負を投げ出したと見なされるので、必ずリザルト表示後に退出しましょう。ちなみに「ちゃんと最後まで勝負した割合」は対戦部屋一覧で他人から見えるようになっています。この率が低いと野良対戦で相手をして貰えない場合があるので注意しましょう。
「Mute spectors」 … 観戦者の発言を禁止します。大会の時や、万が一迷惑な助言者が入ってきたときなどに使うものと思われます。
「Unstack servers」 … コーポが同じ資財を並べた場合、初期状態だとカードが重なって表示されます。この項目をクリックすると同じカードでもバラバラに表示されるようになります。もう一度クリックすると元に戻ります。
「Riglayout」 … ランナーのリグ(盤面カード)の並び順を変更します。
<ステータスと盤面:コーポ>
画面左の自分の名前の下には、現在の自分の持ち金などのステータスが表示されています。
コーポの場合、以下の様に表示されます。
「X Clicks」… このターンの残りのクリック数です。
「X Credits」 … 現在の所持クレジットです。
「X Agenda Points」 … 現在獲得している計画ポイントです。
「X Bad Publicity」 … 「悪名」の所持数です。
「X Max Hand size」 … 現在の手札上限です。
尚、各値の右側をポイントすると「+」「-」ボタンが表示され、ルールと関係なく任意に増減が可能ですが、これも操作ミスした時の復旧用なので、勝手に押さないでください。基本的に押す機会はあまり無いと思います。
計画書を獲得した場合、名前の上の「Scored Area」にカードの画像が表示されます。
茶色いボタンは実行可能なアクションです。現在実行可能なものだけが明るくなっています。
「Purge」… ウィルスカウンターを全て破棄します。(3クリック消費)
「Trash Resource」 … ランナーにタグが付いているとき、「リソース」カードをトラッシュします。(1クリック+2クレジット消費)
「Draw」… カードを1枚引きます。
「Gain Credit」… バンクから1クレジットを得ます。
画面左下に表向きに並んでいるのはHQ(手札)のカードです。対戦相手からは見えません。使用可能なものに茶色い枠が付いています。
カードをクリックすると「任務」カードの場合は即座にコストを消費して実行します。使用したカードはArchivesに置かれます。
「任務」以外のカードはクリックするとインストールを行います。
<資財・計画書のインストール>
「任務」以外のHQのカードをクリックすると、カードの上にインストールするサーバー名が表示されるます。
遠隔サーバーが何もない場合「New Remote」とだけ表示されます。既に何らかのカードがインストール済みの場合、該当するサーバーの名前が表示されます。(遠隔サーバーにはServer1, Server2, …という感じに作成順に連番が振られます。)
間違えてクリックした場合、もう一度同じカードをクリックするとインストール場所の表示が消えます。
サーバー名をクリックすると、インストールが実行されます。
資財や計画書をインストールする時に、うっかり既に資財や計画書がインストールされているサーバー名をクリックすると、上書きされて元々のカードがトラッシュされてしまうので注意して下さい。もちろん強化やアイスなどのサーバーに複数枚インストールできるカードの場合は問題ありません。
<遠隔サーバーがある既に場合>
上記は資財である「Pad Campaign」をクリックしました。うっかり「Server3」をクリックすると元々インストールされているカードがトラッシュされてしまいます。「New Remote」をクリックしましょう。
<アイスをインストール>
アイスは全てのサーバーを選択可能です。「New remote」を選択した場合、新規の空サーバーにアイスだけが配置されます。
<クリックを使い切ったとき>
クリックを使い切ると「End Turn」ボタンが表示されます。クリックすると対戦者のターンに移ります。
<ターン終了時の手札上限オーバー>
ターン終了時、手札が上限をオーバーしている場合は、「End Turn」クリック後に上限値まで捨てる様に指示が出ます。捨てるカードをクリックしてください。通常は手札上限5枚なので、上記の場合は1枚クリックすればOKです。
<ターン開始時のレゾ>
↓
各ターン開始時「Start Turn」の前に、カードのレゾや消費型能力を使えるタイミングが存在します。
使用する場合、必ず「Start Turn」をクリックする前に、カードをクリックしてレゾしてください。
上の例では「Pad Campaign」の「ターン開始時、1金を得る」の効果を使用するため、カードをレゾしています。
尚、「Gain1◇」の表示も出ますが、PAD Campaignの場合は自動発動なので、今回のケースに限ってはこれをクリックする必要はありません。
<計画書などのアドバンス>
アドバンス可能なカードの場合、カードをクリックすると「Advance」のアクションが表示されます。「Advance」をクリックすると「ピ♪」という音と共に青地に白文字でアドバンストークンの数が表示されます。
<計画書を得点できる場合>
↓
計画書を得点可能な場合、アクションに「Score」が表示されます。クリックすると派手な効果音と共に計画書が「Scored Area」に移動します。
尚、各カード上に書かれている数字はカードに置かれているカウンターやトークンの数を示します。
白数字 … クレジットを示します。「Adonis Campaign」の上に白数字で「6」と書かれている場合、残り6クレジット乗っています。
青数字 … アドバンストークンを示します。「Ice Wall」の上に青数字で「2」と書かれている場合、アドバンストークンが2つ乗っています。
黄数字 … トークンの数ではなく、アイスの強度を示します。トークン数がカードの中央に書かれているのに対し、やや下の方に表示されています。「Ice Wall」の上に黄数字で「3」と書かれている場合、強度3である事を示します。
記事が長いので、後編に続きます。
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こちらは、「Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」という記事の後半になります。
まだ前半部分を読んでいない方は、こちらからどうぞ。
<ランナー側から見た全体画面>
次にランナー側の操作の例を見てみましょう。ランナーの画面レイアウトも概ねコーポと同様です。
画面左の自分の名前の下には、現在の自分の持ち金などのステータスが表示されています。
ランナーの場合、以下の様に表示されます。
「X Clicks」… このターンの残りのクリック数です。
「X Credits」 … 現在の所持クレジットです。
「X of Y MU unused」 … 空きMU(メモリユニット)です。Xが残り、Yが最大値を示します。
「X Agenda Points」 … 現在獲得している計画ポイントです。
「X Tags」 … 「悪名」の所持数です。
「X Max Hand size」 … 現在の手札上限です。
茶色いボタンは実行可能なアクションです。現在実行可能なものだけが明るくなっています。
「Remove Tag」… タグを除去します。(1クリック+2クレジット消費)
「Run」 … ランを行います。
「Draw」… カードを1枚引きます。
「Gain Credit」… バンクから1クレジットを得ます。
グリップのカードは使用可能なものに茶色い枠が付いています。
カードをクリックすると「イベント」カードの場合は即座にコストを消費して実行します。使用したカードはHeapに置かれます。
「イベント」以外のカードはクリックすると即座にコストを消費してインストールされます。
各カード上に書かれている数字はカード上に置かれているトークンやカウンターの数を示します。
白数字 … クレジットを示します。「Armitage code busting」の上に白数字で「10」と書かれている場合、残り10クレジット乗っています。
赤数字 … ウイルスカウンターを示します。「Datasucker」の上に赤数字で「2」と書かれている場合、ウィルスカウンターが2つ乗っています。
青数字 … パワーカウンターを示します。「The Turning Wheel」の上に青数字で「4」と書かれている場合、パワーカウンターが4つ乗っています。
黄数字 … トークンの数ではなく、アイスブレイカーの強度を示します。トークン数がカードの中央に書かれているのに対し、やや下の方に表示されています。「Peacock」の上に黄数字で「2」と書かれている場合、強度2である事を示します。ラン中にアイスブレイカーを使用して強度を上げると、この数値も同時に上がります。
<ヒープの確認>
ヒープは通常は一番上のカードのみが見えていますが、クリックするとすべての捨て札を表示します。「Close」を押すと閉じます。
<コーポのアーカイブの確認>
コーポのアーカイブも通常時は一番上のカードのみ見えていますが、クリックする事でヒープ同様に全てのカードを確認可能です。
ただし、表向きでトラッシュされたものに限ります。裏向きでトラッシュされたカードは裏面の絵が表示されます。
「Archives」の数字は表向き、裏向きのそれぞれの枚数を示しています。「↑」が表向き、「↓」が裏向きです。上記の場合、4枚が表、1枚が裏向きである事を意味します。
※コーポからも同様にヒープ、アーカイブの確認が可能です。ただしアーカイブは(自分の捨てたカードなので)裏向きカードの内容も確認できるようになっています。
■ランについて
jinteki.net一番混乱しやすいのが、なんと言ってもラン実行時の操作です。
ランナーだけでなくコーポ側にも操作が発生するのが難点で、ランナーはアイスブレイカー等の能力使用やジャックアウトのタイミング、コーポはアイスやその他カードのレゾ、消費型能力、サブルーチンの発動などかなりたくさんのポイントで操作を要求されます。
たとえリアルでネットランナーのプレイにある程度慣れていたとしても戸惑う部分があると思うので、最初の内は巻き戻し前提で臨み、相手の方とコミュニケーションを取りながら時間をかけて慣れましょう。
では、手順を順に見て行きます。
各見出しに「【ランナー】」と書かれた画面はランナー側操作、「【コーポ】」はコーポ側操作を示します。
<ラン:1.【ランナー】サーバーを選ぶ>
「Run」ボタンをクリックすると、対象サーバーの選択ダイアログが表示されます。いずれかクリックしましょう。
<ラン:2.【ランナー】サーバーへのアプローチ>
サーバーを選択すると、そのサーバーの最外殻のアイスを指す様にでっかく「↑」マークが表示されます。
アイスにエンカウントするか否か聞かれるので「Continue to Encounter ice」をクリックします。
間違えて別のサーバーをクリックしてしまった場合は、ここで「Undo click」を押せばラン実行前に戻れます。
<ラン:3.【コーポ】アイスのレゾ選択>
コーポに操作が回ってきます。
矢印で示されているアイスをレゾする場合は「Rez xxx(xxxはアイスの名前)」を、レゾしない場合は「Continue to Encounter ice」をクリックします(→次のアイスへ矢印が移動します)。
尚、レゾ前にアイスの能力を確認したいときは、カードの上にポインターを乗せると画面右上に対象カードの画像が表示されます。
アイスが既にレゾ済みの場合、「Continue to Encounter ice」をクリックします(→このアイスへのエンカウントが確定します)。当然ながらレゾ済みなので「Rez xxx」はクリック出来ません。
アイスをレゾしたか既にレゾ済みの場合、ボタンをクリックした後はランナーのブレイクを待って下さい。(次の選択ボタンが表示されますが、まだ押さないように。)
アイスをレゾしなかった場合は「↓」が移動し、ランナーは次のアイスにエンカウントします。
この項目「3.【コーポ】アイスのレゾ選択」を再度繰り返します。もうアイスが無い場合は「7.【コーポ】ラン成功直前のアクション確認」を参照してください。
またこのタイミングでアイス以外のカードのレゾや、消費型能力の使用が可能です。使用するカードをクリックして発動してください。「Auto Pass priority」をクリックしておくと、以降のこのタイミングでの能力使用を自動的にパスするモードに変わります。(もう一度クリックする解除されます)
<ラン:4.【ランナー】サブルーチンをブレイク>
アイスがレゾされた、または元々レゾされている場合、アイスへのエンカウントが行われます。ランナーはアイスブレイカーでのブレイクが必要になるでしょう。
尚、このタイミングで消費型能力の使用が可能です。使用する場合はカードをクリックして能力を発動してください。(「Self Modifying Code」や「Paperclip」などはこのタイミングで使用する事になると思います。)
対応するアイスブレイカーがインストールされている場合は使用可能です。ブレイクに使用するアイスブレイカーをクリックして下さい。(茶色枠のボタンではなくアイスブレイカーのカードをクリックします!)
アイスブレイカーをクリックすると能力メニューが開きます。
「Abilitiies」の下に表示されている枠内の項目をクリックして、強度上げ やブレイクを実行しましょう。
アイスブレイカーの「Abilitiies」の一番上に表示されている「Fully break XXX(XXXはアイス名)」をクリックすると、自動的に強度上げと全ブレイクの費用を一括で払ってくれます。全てのサブルーチンをブレイクする場合は、このクリック1回で良いと思います。
特定のサブルーチンだけをブレイクする場合は、「Add X Strength」で強度を上げ、「Breake X subroutine」でブレイクを実行します。各能力をクリックするとクレジットが自動的に消費されます。
「Add X Strength」で強度を上げる際は、過不足に注意しましょう。アイスとアイスブレイカーの上のオレンジ色の数値が強度なので、アイスブレイカー上の数字の増加を確認しながら、同値以上になるまで1回ずつクリックすると良いでしょう。
間違えてクリックし過ぎたら正直に申告して下さい。相手の許可を貰ったら、左下の自分のステータス表示の「Credits」にポインタを当てて「+」「-」をクリックすれば、お金を手動で増減出来ます。
「Breake X subroutine」をクリックすると、ブレイクするサブルーチンの選択ボタンが茶色枠内に表示されます。ブレイク対象のサブルーチンだけをクリックして、その後「Done」をクリックします。
上記で「End the run」だけをブレイクする場合、「End the Run」→「Done」とクリックします。
ブレイクに使える(サブタイプが対応した)アイスブレイカーが盤面に無い場合、サブルーチンの効果を全て受ける事になります。「Let all subroutines fire」をクリックしましょう。クリックしてもサブルーチンが勝手に発動するわけではなく、チャットウィンドウに「all subroutines fire」と表示されるだけです。「喰らうよ」とコーポに明示するのです。サブルーチンはこの後にコーポが手動で発動します。
<ラン:5.【コーポ】ブレイクされなかったサブルーチンを発動>
ランナーがブレイクを行なったか、ブレイクできなかったかをチャットウィンドウで確認しましょう。
ブレイクされなかったサブルーチンがある場合、コーポは手動で発動します。
「Fire unbroken subs」ボタンをクリックすると、ブレイクされなかった全てのサブルーチンを上から順に自動的に解決してくれます。通常はこのクリック1回で良いと思います。
あえて効果を見ながら1つずつ発動する場合は、アイスのカードをクリックします。
ブレイクされなかったアイスのサブルーチン一覧が表示されるので、「Subroutines:」の下の効果を上から順にクリックして解決します。
尚、ルール上特定のサブルーチンだけを選んで発動する事は出来ませんし、発動順は上からと決まっています。個々に発動したからと言って「Fire unbroken subs」を1回クリックした場合と結果は変わらない事に注意して下さい。
サブルーチンの中に「End the Run」の効果が含まれる場合、ここでランは強制終了されます。
サブルーチンの解決後に、まだランが継続しているなら「Continue to Pass ice」ボタンをクリックします。
ランナーによって全てのサブルーチンがブレイクされている場合、「Fire unborken subs」が押せなくなっています。アイスの解決は無く「Continue to Pass ice」をクリックするだけになります。
<ラン:6.【ランナー】アイスを通過>
コーポがサブルーチン発動後にまだランが継続している場合、ランナーはアイスを通過します。「Pass ice and continue」をクリックして先へ進みましょう。
全てのサブルーチンをブレイクしている場合、自動的に「Pass ice and continue」が実行された状態になるのでクリックは不要です。
この後、次のアイスが存在する場合は矢印が移動して、また「3.【コーポ】アイスのレゾ選択」からの手順を繰り返します。
もし想定外のダメージを受けるなどして、もうランをやめたい場合は通過後にジャックアウトが可能です。「Pass ice and jackout」をクリックしてランを終了しましょう。
<ラン:7.【コーポ】ラン成功直前のアクション有無選択>
もうアイスが無い場合、ランナーは「ラン成功」となります。が、その前にレゾや消費型能力を発動する最後のタイミングがあります。「NGO Front」「Ash 2X3ZB9XY」など資材や強化のレゾ、発動はこのタイミングで行う事が多いと思います。
使いたいカードがある(インストールされている)場合、「Action before access」をクリックしましょう。
何も使うつもりが無い、または使えるカードがインストールされていない場合、「No further actions」をクリックします。
ここでは選択だけです。ランナーのラン成功選択後に、コーポに実際のアクションのタイミングが回ってきます。どちらかをクリックするとランナーの選択に移ります。
<ラン:8.【ランナー】ラン成功 or ジャックアウトの選択>
コーポの「ラン成功直前のアクション有無」の選択後、ランナーがこのままラン成功するかどうかの選択肢が表示されます。ラン成功する場合は「Successful Run」を、いやな予感がするのでここで諦めてジャックアウトする場合「Jack Out」をクリックしましょう。
また、ランナーはここが消費型能力発動の最後のタイミングです。(「The Turning Wheel」などの効果は基本ここで使用します。)
使う能力がある場合、「Successful Run」をクリックする前に対象のカード画像をクリックして発動しておきましょう。
<ラン:9.【コーポ】ラン成功直前のアクション実行>
コーポが「<ラン:7.【コーポ】ラン成功直前のアクション実行有無選択>」で「Action before access」を選択している場合のみ、アイス以外のカードのレゾと消費型能力発動の機会が回ってきます。
対象のカードをクリックして、レゾや発動を行ってください。
すべてのカードの使用が終わったら「Done」をクリックします。
<ラン:10【ランナー】カードへのアクセス>
ラン成功すると、各サーバーのカードにアクセスします。
アクセスしたカード名をポイントすると、画面右上にカード画像が表示されます。ここで内容を確認しておきましょう。
アクセスしたカードが計画書の場合「Steal」が表示されます。クリックして盗みましょう。
計画書のStealは基本的には強制ですが「obokata protocol」の様な、盗むためのコストを要求されるカードの場合のみ「盗む」以外に「コストの支払いを拒否して盗まない」の選択肢が表示されます。
アクセスしたカードが計画書以外でトラッシュコストが無い場合「No action」だけが表示されます。
カードの内容を確認したら、クリックしてランを終了しましょう。
トラッシュコスト付きのカードにアクセスした場合、お金を払ってトラッシュするか、何もしないかの選択肢が表示されます。
お金が足りる場合は、いずれかをクリックしましょう。
R&DやHQに対して複数枚アクセスした場合は自動的に2枚目のカードが選ばれて、続けて表示されます。
また、各サーバーに強化が1枚以上インストールされている場合、どのカードからアクセスするかの順序の指示を求められます。順に対象のカードをクリックしてアクセスを行ってください。
■ゲームの終了
どちらかの勝利条件が満たされると、「ジャアアアアン♪」という音と共に、画面中央に対戦リザルトが表示されます。
<リザルト表示>
勝利者やその方法、経過時間などが表示されます。
また、ドローした枚数や使用したクレジットなどの詳細な情報も書かれています。
次回の対戦のプレイングや、デッキ構築などに活かしましょう。ごん太はたまにこの画面のスクリーンショットを撮って、保存しておくことがあります。
その前に対戦が終わったら、まずは勝敗に関わらず「gg」(Good Gameの意味)などと発言して、お互いの健闘を称えあいましょう。
対戦者へのリスペクトと遊んでくれた事への感謝は、対戦ゲームで一番大切なことだと思います。
挨拶を終え、リザルトを一通り確認したら「Leave the Game」をクリックして退出します。
時間がある場合、または操作方法やカード効果などで聞きたいことがある場合、そのままチャットウィンドウで会話するのも良いでしょう。ただし、ゲーム終了後一定時間(10分くらい?)で自動的に部屋が閉じてしまいます。会話は手短に。
お友達とゆっくり話したい場合は他のツールに移動する事をおすすめします。
■おわりに
jinteki.netのご紹介、如何でしたでしょうか。
元々ややこしいツールではありますが、説明が稚拙な点はご容赦頂ければと思います。
このゲームでは、しばらく遊んで結構分かって来たなと思って別のデッキを使ってみると、新たな操作に戸惑うという事はよくあります。ゲームの性質上カードによって処理が全く異なるため、慣れるまではそこそこ時間が掛かるでしょう。
しかし、このツールはアンドロイド:ネットランナーの面白さをほぼ完全に再現出来ていると思いますので、是非皆さんにも遊んでいただきたいと思い、ご紹介してみた次第です。
次回はまたjinteki.netの説明続き、「Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」の予定です。
自宅にいる時間も増えたので、なるべく早く上げたいと思っています。
ではでは、また。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
Allways be running (at home) !
ごん太
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■このエントリーは何?
この記事は、LCG「アンドロイド:ネットランナー」日本語版を何度か遊んでおり、かつ拡張を大体揃えていて、日本語版未翻訳の拡張に興味がある、または遊んでみたい方向けのエントリーです。
主にFFGリリースの3つのデータパックの、一部カードの日本語版プロキシの公開、および簡単な説明を行っています。
全くの初心者の方や、遊び始めたばかりでプレイングや構築について知りたいという方は、下記の過去記事をご参照下さい。
[過去記事]
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
「2度目のネットランナー(4) 実は知らなかった!?間違えやすい超基本ルール」
「2度目のネットランナー(番外編) 日本語環境の禁止・制限カード一覧」
「2度目のネットランナー(5) これからはじめる人のための、ネットランナー10の疑問」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [1] 日本語版ダウンフォールが来た!」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [2] SystemCoreを使ってみよう」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [1] さようならオボカタ」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太と申します。ボードゲーマー兼カードゲーマーです。
昨今は一部の拡張を中心に品薄となっており徐々に入手が難しくなってきたネットランナーですが、最近になって拡張を揃え始めたという方もおられて、ファンとしてはうれしい限りです。
さて前回より、日本語版未翻訳カードから「よく使われるもの」を中心にピックアップして、私家訳のプロキシ(代用カード)用のPDFファイルを公開しています。
前回は「Sansan Cycle」「Mumbad Cycle」「Flashpoint Cycle」から「シェイパー」「ランナー中立」「ハース=バイオロイド」「コーポ中立」の4派閥を9枚ずつ、計36枚を公開しました。
今回はその続きとして「アナーク」「クリミナル」「ジンテキ」「NBN」「ウェイランド」の5派閥から9枚ずつ、計45枚を公開ししています。
選考基準は変わらず、"Know the Meta"という分析サイトをソースとした大会使用率の高さと、現行日本語版とのマッチング、及びごん太の趣味です。
デッキ構築の幅を広げる1つの選択肢として、ネットランナーを愛する日本のプレイヤーの皆さんに使って頂ければ幸いです。
■データパック抜粋日本語カードPDF2
データパック抜粋日本語カードPDF2(アナーク、クリミナル、ジンテキ、NBN、ウェイランド)
(圧縮ファイル名:DP_4JP_02.zip)
上記のリンクからPDFファイルをダウンロードして下さい(合計5ファイル)。
※Zipファイルのためプレビューがエラーとなる場合や、ファイルが大き過ぎてウィルススキャンが出来ないと表示される場合がありますが、そのままダウンロードして下さい。
印刷、裁断、スリーブ詰めなどが必要なのは前回と同様です。各カード1枚ずつの構成となっていますので、各ページ3枚ずつ印刷が必要になります。
使用に際しては以下の点にご注意ください。
・ごん太による私家訳です。お問い合わせやミス等のご指摘等がある場合は、このエントリーのコメントまたはTwitterにて必ずごん太あてに連絡をお願いします。
・PDFファイルは予告無く変更または削除する場合があります。
・訳出の方針、特にカード名については製品等の日本語版に比べてカタカナ語を多用しています。これには原語版との呼称の乖離をあまり大きくしたくないという意図があります。
・[更新:2020/07/06] BanList 20.06の変更点(禁止等)を追記しました。
■BANList 20.06での変更点について
2020年6月26日に、これまでの禁止制限カードの一覧「Standard MWL」が禁止のみを定義した「BANList」に変更になりました。
これにより、本エントリーでご紹介しているカードの幾つかが使用不可となっています。詳しくは下記をご参照下さい。
[PDFに含まれる禁止カード]
・DDoS(DDoS) アナーク
・ハクティビスト・ミーティング(Hacktivist Meeting) アナーク
・ギャング・サイン(Gang Sign) クリミナル
■各カードの紹介
では今回PDFに含めたカードから、個人的に特に説明したいものを中心に、幾つかご紹介したいと思います。
・ブラック・オーケストラ(Black Orchestra)/ MKウルトラ(MK Ultra)
2016チャンピョンデッキにも採用されている強力なアイスブレイカー「ペーパークリップ」は、アナークでデッキ構築をした事のある皆さんにはお馴染みかと思います。
その「ペーパークリップ」の兄弟分に当たるのが、今回のPDFに収録した「ブラック・オーケストラ」と「MKウルトラ」です。それぞれ「ブラック・オーケストラ」がデコーダー「MKウルトラ」がキラーとなります。これらは今回の記事のサブタイトルにするほど、アナークにとっては重要なカードと言えるかと思います。今でこそ選択肢は増えましたが、一時期のアナークでは特殊な構築のものを除き、ほとんどのデッキで採用されていたと言っても過言ではないでしょう。
この2枚は、エンカウント時にヒープから直接盤面に召喚出来る強力な能力が「ペーパークリップ」と一緒です。また1回の支払いで強度上げ→ブレイクをいっぺんに行う点も同様です。燃費では劣るものの、その盤面復帰能力だけでも十分にデッキに採用する価値はあるかと思います。またペーパークリップとは異なり、MWLの同時使用制限には指定されていません。
同じく今回のPDFに含めた「陰謀ジジイ」ことアナークのID「オマー・ケウン」の持ち物という設定から"conspiracy"(陰謀)ブレイカーと呼ばれることがあるようです。その名前の由来を調べてみると、戦中、戦後の「陰謀」めいた歴史が浮かび上がってくるかと思います。
・DDoS(DDoS)[Standard(BANList20.06):Banned(禁止) ]
「ディードス」と読むそうです。ググれば分かるかと思いますが、現実でも用いられるサーバー攻撃の一種で、複数のマシン(または仮想ホスト)から、大量のアクセスを行う事でサーバーを一部機能停止に陥れる事を指します。
このゲームでは、トラッシュ起動により全てのサーバーの最外殻のアイスをレゾ不可に陥れます。
「起動コストがトラッシュ(クリックを消費しない)」で「このターン中、すべてのサーバー」というのがポイントです。従って「クエストコンプリート(SystemCore2019)」「アンコール(前回のPDF収録)」「Apocalypse (未翻訳)」などの1ターン内に複数のサーバーへのラン成功を要求されるカードと相性が良く、併用されることが多い様です。
どちらかと言うとコンボデッキに採用されやすいですが、ランをゴリゴリ行う速攻タイプのデッキに刺しても活躍できるパワーカードでは無いでしょうか。
・ハクティビスト・ミーティング(Hacktivist Meeting) [Standard(BANList20.06):Banned(禁止) ]
ハクティビストと言うのは、政治的・社会的背景を持つハッカーの事だそうです。つまりアナークですね。
それはさておき、このカードはコーポがアイス以外の何らかのカードをレゾする時に、1枚ランダムにハンデスを行うかなりヤバイ効果を持っています。特にコーポのデッキがアセットスパム(資財を横に並べる)タイプの場合、そのプランを根本から崩壊させる可能性があります。
アセットスパムでなくとも、大抵のコーポのデッキは金策などのために何らかの資財をレゾするでしょうから、序盤で引ければ腐ることもあまり無いでしょう。手札から捨てるカードが任意では無く「ランダム」というところが、コーポからすると本当に厳しいのです。
コストも「1」とかなり安く、他のサブタイプ「現状」のご多分に漏れず、安価で強力な効果を持ったパワーカードと言えるでしょう。使うなら序盤ターンから出したいので早めに引きたいですが、問題はこのカードを入れるだけの枠がデッキにあるかというところでしょうか。
ちなみに「得点」と「レゾ」は異なるため、コーポの計画書の得点時には特に何も発生しません。
・クロット(Clot)
コーポが1ターン以内に「計画書のインストール」→「複数回アドバンス」→「得点」までを行う、所謂「ファストアドバンス(FA)」に対するメタカードです。
ウィルスパージによりトラッシュされてしまいますが、FAを得点プランに組み込んだデッキはどちらかと言うと速攻タイプ(ラッシュ)でしょうから、パージのために1ターンまるっと消費するのはそこそこ痛いはずです。
また盤面に「自己変形コード(創造と支配/アップライジング)」を出しておくことで、コーポがFAしようとアドバンスした瞬間に「自己変形コード」の効果で「クロット」を盤面に呼び、不意打ちで「待った!」をかける事が出来ます。同様に「クローンチップ(創造と支配)」などでFAする直前に捨て札から回収して再発動も可能です。
速攻相手が苦手で、FAデッキにどうしても競り勝てないという方は対策として1、2枚刺しておくと効果的でしょう。
・アルマンド・"ガイスト"・ウォーカー(Armand "Geist" Walker)
トラッシュ能力を使用するたびに1ドローする能力を持ったIDです。
皆さんもうお気付きかと思いますが、1ターンに1回では無く何度でも発動する点がとても強力です。トラッシュ能力使用1回につき1金を得る、後述の「テック・トレーダー」とも非常に相性が良いです。
例えば「テック・トレーダー」に加えて「自己変形コード(創造と支配/アップライジング)」「サイマルチップ(アップライジング)」「コンガマトー(キタラサイクル)」がインストールされた状態だとしましょう。
そしてランを行い「自己変形コード」でデッキから「グラップリング・フック」を呼び出して使用し、その後「サイマルチップ」でヒープから「グラップリング・フック」を戻して再度使用、最後に「コンガマトー」を使ったとします。
この時トラッシュ能力は計5回使用しているため、ラン中にも関わらず5ドロー+5金を得ることになります。
インストールに手数がかかるものの、その分カードやお金が勝手に補充されていくので、かなり手数を圧縮できるでしょう。また「グラップリング・フック」を攻めのメインに使えば、アイスの強度など関係なく突破出来てしまう点も「強い」という他ありません。
同じ様に、トラッシュにより強度無視でアイスをブレイクする「ブーメラン(アップライジング)」とも相性が良く、「419」らに並ぶクリミナルのトップメタの一角になり得るのではないかと思います。
・情報選別(Information Sifting)
今回のごん太趣味枠の1つです。
HQにラン成功すると、コーポの手札で2つの束を作らせ、どちらかの束のカード全部にアクセスする豪快なカードです。
仮にコーポの手札が5枚で計画書を1枚握っているとすると、通常のアクセスでは1/5の確率ですが、これなら平均1/2の確率で盗める事になります。(ただし、よく考えると「地道な作業(名誉と利潤)」なら3/5の確率なので、情報選別が必ずしも強いカードという訳ではないかもしれません。)
このカードの面白いところは、ランダムではなくコーポがカードの束を分けるので、心理的な読み合いが発生する点でしょう。
例えば5枚の手札は「4枚」と「1枚」の手札に分けたらなら、どちらに行くか迷うと思います。互いの性格や癖が現れる効果です。
また通常はコーポの手札は最大5枚ですが、今回のPDFに含めた「ララミー・フィスク」や「フィスク投資セミナー」と併用することで無理やりコーポの手札を6〜9枚に増やし、計画書の可能性を高める事が出来ます。コーポのコントロール外にあるR&Dのカードを強制ドローさせてこそ、駆け引きのし甲斐があるものと勝手に思っております。
・ギャング・サイン(Gang Sign)[Snapshot(MWL2.2):Restricted,Standard(BANList20.06):Banned(禁止) ]
コーポの得点をトリガーにHQに直接アクセスする変わったリソースです。
「得点後に、しかもたった1枚のアクセスでなんの意味があるんだ」と考える方もいるかと思いますが、例えば計画書が複数枚HQに溜まっている状況ではどうでしょうか。
HQに計画書がたくさん来てしまっている、所謂「事故」の状態は皆さん経験あるかと思いますが、そんな時はどうしますか?
大抵はまずHQの守りを厚くし、なるべく早く得点してHQ内の計画書を減らそうとするのではないでしょうか。
そんな状況にランナーが最も付け入る事が出来るのがこのカードです。コーポが慌てて得点しようものなら、アイスなど関係なく勝手にHQの計画書に襲い掛かってくれます。それにしても1回じゃ当たらんだろというときは、3枚出しておきましょう。ユニークカードでは無いので複数置きして試行回数を増やす事が可能です。
更にHQインターフェースと組み合わせると凄い事になります。例えば、「ギャング・サイン」「HQインターフェース」が共に2枚インストールされている状態でコーポが得点したとすると、「3枚アクセス」を2回(ギャング・サインの枚数分)行う事になります。さすがに結構な確率で当たるのではないでしょうか。
コーポの手札事故を誘発させる「ララミー・フィスク」や「フィスク投資セミナー」「エクィヴォケーション」との相性が良く、ほぼ遠隔サーバーを作らずに得点する「ファストアドバンス」タイプのデッキに強いのではないかと考えています。
「リーラ・パテル」のID効果と併せ、盤面の資財や強化をHQに戻してからトラッシュ、なんて使い方も出来るかと思います。
その強力さ故、Snapshotでは同時使用制限対象(Restricted)、Standardでは禁止(Banned)に指定されています。
・テック・トレーダー(Tech Trader)
トラッシュ能力を使用すると収入が自動で得られるリソースです。自動収入の中でもランナーが能動的に発動でき、かつシナジーの幅が広いという点で使いでのある1枚です。特に前述の「ガイスト」と相性が良く、「グラップリング・フック(名誉と利潤)」や「クローンチップ(創造と支配)」または「サイマルチップ(アップライジング)」などでハードウェアやリソースをトラッシュしながらゴリゴリ回すデッキの場合、自身のドロー能力と併せて「ランしてて気づいたら勝手にお金もカードも増えていた」ような強力なエンジンを構築可能です。
一度回りだしたら後は何とでもなるので、如何にこのカードを早く引けるかの勝負になるでしょう。
・遺伝学パビリオン(Genetics Pavilion)
ランナーの1ターンの最大ドロー枚数を2枚までに制限する資財です。
例えばこのカードが場にある状態で「ディーゼル」を使うと、2枚しかドロー出来ません。
「ディーゼルで引く枚数が減るのは嫌だけど、MAX2枚ならそれ以外あんまり影響ないよね?」と思われる方もいるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか?
例えば、3点計画書を盗みに1クリック目にランして「コマイヌ(名誉と利潤)」に引っかかり手札がすべて消えた時、残り3クリックをすべて使ってドローしまくれば、すぐに死が見えるという事は少ないでしょう。ところが「遺伝学パビリオン」が置いてあれば2枚までしかドローできないため「懲罰的反撃」で即死が狙えます。オボカタ獲得後のケアでも似たような状況が発生するでしょう。
この様に、ジンテキでジワジワとグリップを削るタイプのデッキととても相性が良いのではないかと思います。
またドローパワーや「レヴィ」をあてにして手札を捨てまくる様なランナーには、大きな足枷を課せられるのではないかと思います。
渋い効果ではありますが、使い方次第で大きな力を発揮するカードだと思います。トラッシュコストが非常に高いので、なかなか盤面から消されないのもポイントです。
・生体倫理協会(Bio-Ethics Association)
コーポのターン開始時に、アイスで守られていなければ1ネットダメージを与える資財です。
このカード1枚だけではターン開始時にレゾして1ダメージ与えるだけでですが、3枚揃うと大きな災厄となってランナーに襲い掛かります。「トラッシュしないとダメージ」という点を活かし、ランナーにトラッシュを強要する使い方が強力です。
「チーム・スポンサーシップ(前回のPDF)」などで何度も盤面に呼び戻し、ランナーが処理に手間取ってる間に得点するのも良いでしょうし、「ジンテキ:完全の複製(SystemCore2019)」で使えば、更に中央サーバーへのランで1クリック無駄遣いさせられます。トラッシュコストを上げたり、トラッシュ時にランナーにペナルティを与える効果とのシナジーも非常に嫌らしいですね。
どちらかというと、アセットスパム(資財を横に並べるタイプのデッキ)向きではないかと思います。
・マーカス・バッティ(Marcus Batty)
Psiゲームに勝つと、アイスのサブルーチン1つを能動的に解決できる強力な強化カードです。
分かりやすいところではラン成功直前に発動して「ランの終了」を解決する使い方ですが、例えばフラットライン狙いのデッキで、コストと強度の低いアイスの「ブレインダメージ」のサブルーチンなどを使う手もあります。
通常、アイスはランナーがアイスブレイカーを出してお金を積まれればそれまでですが、このカードではPsiゲームにさえ勝てば必ず発動できるのがポイントです。
アイスの分だけ使い方が広がるため、ジンテキの強化の中でも特に汎用性が広く、人気の高いカードです。他派閥でもそこそこ採用されています。
デロリアンを作ってタイムトラベルしたりはしないみたいです。
・DNAトラッカー
ランナーの手札とお金を同時に奪う攻撃的なアイスです。使い方としては「アナンシ(キタラサイクル)」などと似ていますが、こちらはコードゲートである事が最大のポイントではないでしょうか。
通常、ランナーはジンテキが相手と知るや、優先的に「キラー」をインストールしたいところでしょう。出会い頭事故で怖いアイスがセントリーに集中しているからです。ところがこのアイスの存在があるがためにコードゲートもまた怖いサブタイプとなり、ランをし辛くなることでしょう。またはその存在を忘れ「キラーだけありゃ死にはしない」と思い込んでいるランナーに手痛い一撃を与えてくれます。
高い強度とランナーの攻めを遅らせるのに十分な効果を持っているので、ダメ―ジに特化したデッキでなくとも、ジンテキの「コードゲート」枠で筆頭に挙がる一枚です。
アナークの「ブラック・オーケストラ」ですべてブレイクするのに9金かかるのもポイントの1つです。
・ナヴィ・ムンバイ・シティーグリッド
ラン中にアイスブレイカー以外の消費型能力を使わせないカードです。
「消費型能力」はお金やトラッシュなど何らかのコストを払って発動する効果を指します。つまりこの強化をあちこちのサーバーに置いておけば、ラン中に「自己変形コード(創造と支配/アップライジング)」等によるアイスブレイカーの呼び出しを禁止し、「グラップリングフック(名誉と利潤)」「ブーメラン(アップライジング)」などの理不尽なアイス突破を阻止する事が出来ます。「ヒッポ(キタラサイクル)」や「デビルチャーム(アップライジング)」も使えないため、アイストラッシュにも強くなるでしょう。
特に前述の「ガイスト」はラン中にトラッシュ能力を使いまくるため、手も足も出なくなるかもしれません。
一方で「自己変形コード」を使わず、搦手にも頼らず正面からアイスブレイカーでの勝負を挑むランナーには、あまり効果がありません。
メタカード故に腐るゲームがあるのは仕方がない事ですが、今後の環境では活躍する機会が増えるのではないかと期待しています。
・ブラックリスト
この資財が場に存在する間、ヒープのカードは一切その場を離れなくなります。
アナークの「労働者の権利(マグヌムオプス)」などを採用した回転力重視のデッキや、「ペーパークリップ」をはじめとするヒープから場に出せるタイプのアイスブレイカーを積んだデッキに絶大な効果を発揮します。「ゴミあさり(創造と支配)」なども、捨てるだけ捨ててヒープからの回収が発生しなくなります。トラッシュから回収までを一連のエンジンとする「ガイスト」の動きも封じることが出来るでしょう。
効果はピンポイントだが、刺さるとランナーに非常に嫌がられる典型的なメタカードです。
アナーク各種IDや「ガイスト」が幅を利かせる様な環境では、忍ばせておくのはありだと思います。またアップライジングで登場する「ブーメラン」の対策としても一役買ってくれるかもしれません。
・セイラムの歓待
名前当てに正解するとそれをトラッシュ出来るカードです。
単体で使うと1ダメージにも劣る(ダメージではないのでフラットラインしない)効果ですが、重要なのは名前を宣言した後にランナーの手札をすべて見る点です。このカンニングにより、他の名前当て能力の正答率を実用レベルまで上げることが出来ます。
特に「ダウンフォール」の幾つかのジンテキカードと組み合わせた時に真価を発揮するでしょう。強力なところでは「完全なイメージ」でしょうか。仮にランナーの手札が3枚の状態であったとします。まずはこのカードを使って適当なカード名を宣言し、ランナーの手札をすべて確認します。次に「完全なイメージ」を使用して、今見たカードの中からどれかを宣言し、ネットダメージを与えます。3分の1の確率で正解するでしょう。正解した場合はもう一度チャレンジ出来、残り2枚のなので今度は2分の1の確率で正解です。最後は確定なのでフラットラインです。
この様に突然超能力ゲームが始まって勝敗が決してしまう事の是非はともかくとして、このカードの様な大量カンニング方法でも無ければ「完全なイメージ」や「サイセンタン」辺りはなかなかデッキに入れにくいのではないかと思います。
影響値が厳しい場合は「デイリー・ビジネス・ショウ」などの影響値1のNBNカードを積んで、頑張って影響値免除の条件を満たしましょう。
ちなみに「セイラム」というのはNBNに別のカードとして存在するイブラヒム・セイラムという人物の事だと思いますが、イラストの手前の黒い塊の様なものは、彼に「おもてなし」された水死体では無いでしょうか。
・IPブロック
NBNのアイスでも1、2を争う人気の高性能カードです。費用対効果が高く、AIのアイスブレイカーに対するメタになる点がポイントでしょうか。
2コストで「4」という破格の強度を持ち、AIに対してはエンカウント時に問答無用でタグを与えます。
2つ目のサブルーチンの「ランの終了」はタグ付きの場合と言う条件付きですが、1つ目のサブルーチンの「タグ付与」効果がトレース「3」と無視出来ないベース値であるため、ブレイク出来るにせよ出来ないにせよランナーはそれなりの出費を強いられる事になるでしょう。
安価なアイスの中ではトップクラスのコストパフォーマンスである事は間違いないかと思います。
特に「アウマクア」が跋扈する環境では力を発揮してくれると思います。
・ハリウッド・リノベーション(Hollywood Renovation)
「都市労働計画(キタラサイクル)」「オークタウン・リノベーション(Systemcore2019)」と同様の、表向きにインストールする計画書です。それらと同じように「SSOインダストリー(キタラサイクル)」のID効果発動の条件となり得ます。
更にこの計画書をアドバンスした時、別の(アドバンス出来る)カードにアドバンストークンを置くという効果を持ちます。
分かりやすい使い方としては、この計画書をインストールして2回アドバンスし、次のターンで「人造労働者(基本セット第2版)」などでクリックを増やし「アトラス計画(基本セット第2版)」インストール→この計画書をアドバンス3回→2枚とも得点するという速攻戦略でしょうか。
「アイスウォール(基本セット第2版)」などのアドバンス出来るアイスにトークンを盛って固くするのも悪くないです。
同じ5アドバンス3点の「都市労働計画」とは、デッキによって使い分ける(または両方採用する)のが良いのではないでしょうか。
・コンサルタントの来訪(Consulting Visit)
任務をR&Dからサーチするカードです。
このカード自体2クリック消費しますが、任務を使用するところまで効果に含まれているので、損した感はありません。(ただしコストまでは踏み倒せません)
サーチ効果が弱い筈も無く、任務をパーツとするコンボやシナジーを主体としたデッキでは特に活躍してくれるでしょう。
よく使われるパターンとしては「強烈なニュース(2016チャンピョンデッキ)」を打ち、タグを剥がしきれないランナーに対して次のターンでこのカードを使い「地位ある標的(キタラサイクル)」をサーチして即死を狙う流れです。
素早い得点やフラットラインを狙うデッキに組み込まれることが多いですが、今後任務が増えればその応用の幅も広がっていく事でしょう。
影響値が「3」と他派閥ではやや使いですが、ウェイランドのカード6枚で影響値が0になるので「サーベイヤー」「クリシウム・グリッド」「経済戦争」辺りを積むなどで構築を工夫しましょう。
・竣工式(Dedication Ceremony)
表向きのカードにアドバンストークンを3つ乗せるカードです。
表向きにインストールする計画書「都市労働計画(キタラサイクル)」や「オークタウン・リノベーション(Systemcore2019)」、前述の「ハリウッド・リノベーション」などに使うのが一般的です。ただし使用した対象の計画書はこのターン得点出来なくなるので、そのままではファストアドバンスのためには使えません。
ファストアドバンスに使う場合、資財の「再建設計画(キタラサイクル)」をインストールしてレゾし、そこにこのカードを使って3つ乗せた後、「再建設計画」の効果を使用して計画書の上にトークンを移動させるというひと手間が必要です。
またこのカードを使う行動は「アドバンスする」ことにはならないので注意してください。具体的には「オークタウン・リノベーション」「ハリウッド・リノベーション」などの効果をトリガーしません。これを逆に利用して「アドバンスできる」の表記の無いカードにトークンを乗せることは可能です。
効果の対象は計画書に限らないため、例えば「ローニン」に使用して素早く大ダメージを与えたり、トークンがたくさん乗ると効果の変化するアイスに使うのも有効でしょう。「レッドプラネット配送(レッドサンドサイクル)」の布石としても活用できます。色々と応用の効くカードで、ごん太のお気に入りの1枚です。
・ツアーガイド(Tour Guide)
資財のレゾ数に応じて「ランの終了」のサブルーチンが増えるアイスです。
その特性ゆえ、主にアセットスパム(資財を横に並べるタイプのデッキ)で使われることになります。
アセットスパムでは、展開次第で資財が10枚以上レゾされる事も珍しくなく、そうするとコスト2のアイスとしては破格のパフォーマンスを発揮することになります。いくら強度が0とは言えランナーのブレイク料金は馬鹿にならないでしょう。
セントリーで「ランの終了」をメインにしたアイスというのもなかなか珍しい点です。
影響値が2なので、ウェイランド以外の派閥でも比較的気軽に投入できると思います。
■おわりに
いかがでしたでしょうか。
本当にまだまだご紹介したいカードたくさんありすぎて、作業が遅いのが悔しいのですが、また少しずつでも遊び方の幅が広がれば幸いです。
この「日本語未翻訳カードPDF」シリーズは今後継続していく計画で、次は大拡張のいずれかを公開するつもりです。
次回の記事は「NISEIの新拡張で遊ぼう [3] 日本語版アップライジングが来た!」の予定です。
ではでは、ここまで読んで頂きありがとうございました。
Always Be Running !!!
ごん太
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■このエントリーは何?
このエントリーは、アークライト社から好評発売中のLCG「アンドロイド:ネットランナー」日本語版を既に拡張込みで何度か遊んでいて、「NISEI」という有志組織が作成した新拡張に興味がある、または遊んでみたい方向けのエントリーです。
主に新カードの入手方法や、既存の日本語版に混ぜて遊ぶ方法などをご紹介しています。
全くの初心者の方や、遊び始めたばかりでプレイングや構築について知りたいという方は、下記の過去記事をご参照下さい。
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「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
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「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太と申します。
元TRPGプレイヤー、現ボードゲーマーでTCGも少し遊んでいます。KeyForgeもやってます。もちろんネットランナーが大好きです。
なかなか街に繰り出しにくくなった昨今、皆さんはご自宅でネットランナーを遊びまくっていることと思いますが、如何お過ごしでしょうか。そろそろ「デッキも1万個は作ったし、さすがにカードを使いつくしてもう飽きそうだよ」という方もたくさんいるかもしれません。
そんな日本語版プレイヤーの皆さんに朗報です。
「ダウンフォール」に続いて、NISEIから日本語版の新拡張「アップライジング」がリリースされました!
(もちろん無料ダウンロード出来ます)
今回の日本語版も「ダウンフォール」「マグヌムオプス(リプリント)」に続き、お2人のご尽力によるものです。ありがとうございます。
ダウンフォール同様に本当に素晴らしいものだと思うので、みんなも是非遊び倒しましょう!
尚、今回のエントリーはその事を自分からも広めたいと思っただけなので、内容的にはこれでほぼおしまいです。
ついでなので、注意点だとか付随する情報みたいなものを自分なりに少し補足しておきたいと思います。
■早速遊んでみよう!
「アップライジング」はNISEIが制作、リリースした「Ashes Cycle」の第二拡張です(第一拡張は「ダウンフォール」です)。
各国語版の通信販売が行われており、日本語版はこちらのリンク先から購入、または無料PDFのダウンロードが可能です。
使用する際の主な注意点は「ダウンフォール」の時と同様です。下記及び詳しくは「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [1] 日本語版ダウンフォールが来た!」をご参照下さい。
[購入した場合]
カード裏面のデザインがFFG社リリースのネットランナーと違います。従って、既存カードと混ぜて使用するのに必ず裏面が不透明(しかも透けない濃い色)のスリーブに入れる必要があります。
[PDFダウンロードした場合]
こちらも裏面不透明のスリーブに入れる必要があります。
また普通に印刷するとペラペラの紙なので「背骨」として、ほぼ同じ大きさのいらないカードを一緒にスリーブに入れておくのが良いでしょう。
■レギュレーションも確認しておこう!
さて、印刷して準備が出来たらさっそく自分のデッキに入れてみましょう。
「アップライジング」は「ダウンフォール」同様にNISEIの拡張ですので、基本的にはNISEIのレギュレーション「Standard」(または「Eternal」)で遊ぶことが前提となっています。
ところが我々日本語版プレイヤーは「限られた拡張」「FFGの公式ルールが周知されない」という特殊な環境の中で、必ずしも製作側の意図に沿った形でプレイしているわけでは無いと思います。従って今までも独自ルール、または制限を設けずに遊んでいるという方は特に気にする必要は無いでしょう。
また「Standard」は「SystemCore2019」という日本語製品に含まれない基本セットを使用します。その点が枷となって遊びにくいという場合は、FFGの公式ルール「SnapShot」で遊ぶ手もあるかと思います。こちらであれば「基本セット第2版」を使うことが出来ます。
(「SnapShot」については「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」で「FFG公式ルール」として解説しています。)
ただし、(オンライン含む)大会に出たいとか、無料の対戦ツールである「jinteki.net」で遊びたいという方は、NISEIのレギュレーションをある程度知っておく必要があるかと思います。大会では「Standard」を中心とした何らかのフォーマットが指定されているでしょうし、「jinteki.net」は対戦部屋ごとにフォーマットが指定されており、ツール的に禁止カードが使えないからです。
また本ブログでも、ゲームバランス、今後の拡張リリースへの備え、デファクトスタンダード準拠などの観点から、NISEIの拡張を含めて遊ぶ場合は「Standard」での構築を推奨しています。
そこで、現在(「アップライジング」リリース当初)の段階で、日本語版リリースの製品ではどのカードが使え、どのカードが使えないのか触れてみたいと思います。
<Standardのレギュレーション>
・使用する基本セット
「SystemCore2019」を使用します。「SystemCore2019」は「基本セット1版」「基本セット2版」「幾つかの拡張」「日本語製品未リリースのカード」から選ばれたカードで構成されています。
「日本語製品未リリースのカード」については、本ブログで日本語PDFを公開していますので、よければご活用下さい。詳しくは「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [2] SystemCoreを使ってみよう」をご参照下さい。
・禁止・制限カード
「細かい話はいいからどれが禁止カードか教えてくれ」と言う方は手っ取り早くこちらのファイルをお持ち帰りください。
(2020年3月時点の、日本語版製品全カードに対する禁止・制限一覧です。)
以下は細かい話になります。
1.ローテーション済みの拡張
「Standard」では、旧FFGの公式レギュレーション「SnapShot」同様、「ローテーション」が行われています。
「ローテーション」とは、拡張がリリースされるたびに古い拡張を使用禁止にする事を指します。このため新しい拡張には、古い拡張の代替となるカードや、同じカードがそのまま収録されていることがあります。
日本語環境のローテーション済みの拡張(基本含む)は以下の通りです。
[ローテーションにより使用不可のセット]
1.基本セット第1版(ただし「SystemCore2019」に再録されているカードを除く)
2.基本セット第2版(ただし「SystemCore2019」「アップライジング」に再録されているカードを除く)
3.「チャンピョンデッキ2015、2016」の一部のカード(「Spinサイクル」「Genesisサイクル」に該当するもの)
(NEW) 4.大拡張「創造と支配」(「SystemCore2019」「アップライジング」に再録されているカード以外)
(NEW) 5.「チャンピョンデッキ2015、2016」の一部のカード(「Lunaサイクル」に該当するもの)
「アップライジング」のリリースに伴い、「創造と支配」と「チャンピョンデッキの一部カード」がローテーション対象に追加されたのご注意ください。
特に「創造と支配」のローテーションは結構痛いですが、代替となるカードが「アップライジング」に収録されていたり、「SystemCore2019」に再録されていたるするので、そこまでもの凄い影響は無いかと思います。
2.MWLによるカードごとの禁止・使用制限
2020年3月時点では「Standard MWL3.4b」で運用されています。
「MWL3.4」→「MWL3.4b」で追加されたのは「LIZA」というカード1枚だけ(しかも日本語版未収録)なので、「ダウンフォール」時点と比べた場合の日本語環境への影響はありません。
「Standard MWL3.4b」はこちらから確認できます(英語)。
<Eternalのレギュレーション>
NISEIの「過去の全カードを使う事」をベースとしたフォーマットです。
こちらは廃れてしまっているのか、はたまた環境が安定しているのか、しばらく更新がありません。
「ダウンフォール」時点と同じで、日本語版では以下のみが禁止となります。同時使用制限はありません。
「ファウスト」(2015チャンピョンデッキ)
「テムジンとの契約」(2016チャンピョンデッキ)
「回収済みヴァナディス武器庫」(レッドサンドサイクル)
「ブルームース」(レッドサンドサイクル)
<TheBigBoy Classicのレギュレーション>
TheBigBoyという有名プレイヤーがWEB上で提唱するハウスルールです。単に「Classic」と呼ばれる事もあります。
Eternalと同様に「全てのカードが使える」事をベースに、独自の基準によりに数十枚の禁止カードを指定しています。
禁止カードは時々改訂されているので、このフォーマットで遊ぶ方はTheBigBoy氏の個人サイトをチェックしましょう。
■おわりに
ごん太
こちらは『2度目のネットランナー(0) はじめてのネットランナー』という記事の後編になります。
前編(ルール編)を未読の方は、こちらから先に読まれることをお勧め致します。
ここからはごん太なりのプレイのコツと、入門デッキの対戦サンプルのご紹介になります。(「ルール編」でも最低限のコツみたいなものは書いてしまっていましたが…)
※もし「ルールが分かれば良い。戦略は自分で模索するので見ない」という方は、ここで閉じて頂いて良いかと思います。
■プレイのコツ
まずは入門デッキにおける共通のコツ、ランナーのコツ、コーポのコツ、それぞれのポイントをお話します。参考になれば幸いです。
あくまでごん太が個人的に思っている事に過ぎませんので、異論も多々あろうと思います。間違いのご指摘やその他ご意見等ありましたら、このエントリーのコメントまたはTwitterアカウント(@takabomb)までお願い致します。
・ランナー、コーポ共通のコツ
1.なんでもかんでもカードを出さない
ネットランナーは条件を早く達成したほうが勝ち、ひとことで言えばレースゲームです。この手のゲームではなるべく手数を圧縮する事が勝利に繋がります。ランナーならゲーム開始と同時にランを3回行って計画書を3枚盗るのがベストですし、コーポなら開始と同時に計画書を置いて得点したいところです。
それが出来ないから、いろいろなカードを使ってなるべく早く得点しようとするのです。従って、貴重なクリックを割いたのに結果的に手数圧縮にならない、または相手の遅延につながらないのであれば、それは実行しないほうが良いことになります。
勿論、アイスを置かれたらランナーはアイスブレイカーを出さざるを得ないという様な「理由」が発生します。なのでカードを全く出さないという事はほぼあり得ないのですが、逆に考えれば使う「理由」のないカードは使わなければ良いのです。
例えば、お金が潤沢なのに「メランジュ採掘社」を出して守る価値は無いでしょうし、HQががら空きなのに「スニークドアβ」を出す必要は無いでしょう。カード1枚を使うのに、「クリック」「お金」「手札」の3つのリソースを消費する事になるので、カード使用前に「今使うべきか」タイミングを一瞬考える癖をつけると良いでしょう。
少なくとも「ドローして来たカードをとりあえず出す」という「手なりプレイ」はあまりお勧めできません。
勝利から遠のくだけでなく、個人的にはあまり面白くないのではと思います。ネットランナーはハンドマネジメントも楽しい要素の1つですから。
はじめはどのカードを使えば良いのか分からないという方も多いと思いますが、お金が出るカードは使って困るという事は少ないかと思います。特にランナーはいずれお金が大量に必要になります。
2.相手の盤面と持ち金をよく見る
ネットランナーは多くのボードゲームのご多分に漏れず、お金がとても大事なゲームです。
カード使用や得点行動などあらゆる場面でお金が必要となります。特にランナーが顕著ですが、コーポも序盤〜中盤においてはお金が生命線となることが多くあります。所持金次第で、ランの実行やアイスのレゾ、カードの使用などが大きく制約されるのです。これは当然、自分だけでなく相手にも言える事です。
従って、ゲーム中は現在の状況で「相手は何ができないか」を見定めることがとても重要です。
例えば自分がランナーでこれからランをしようとする時に、コーポが2金しか持っていなかったら「アイスはせいぜい1枚しかレゾ出来ないな」と見当をつけることが出来ますし、自分がコーポで計画書を置くときにランナーが「バリア」用のアイスブレイカーしか出しておらず、所持金が3金しかなければ「コードゲートのアイスを置けば突破される事はなかろう」という算段がつきます。
ネットランナーは「駆け引き」のゲームと言われることもしばしばですが、それは対戦相手の盤面や経済状況を鑑みた上での駆け引きである事は覚えておきましょう。
3.ランダム性のある行動を先に解決する
(デジタル)TCGをプレイされている方なら「先ドロー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。カードを使用する順序として、他のどのカードよりも先にドロー効果のあるものを使った方が良いという意味だったかと思います。
ぼくは「先ドロー」の本質は「先ランダム」にあると考えています。ランダムの結果によってその後の行動が変わることがあるため、結果が確定している行動よりも先にランダムを解決するのです。
ドローを後回しにすると、カードを引いた時に「ならやめときゃよかった」とか「こっちを使えば行けた」のような後悔が発生する事があります。
これはネットランナーにおいても同じことが言えるかと思います。むしろネットランナーは通常アクションで手軽に「ドロー」が可能であり、ドロー以外にも「ラン」にランダム性があるため、この事はより重要になってくるのではないでしょうか。
従ってドローする時はターンの最初に、ランナーの場合はランも出来るだけターン内の早いタイミングで実行するのが得策と言えるかと思います。
4.ターンの最初に指針を決める
アクションフェイズでは、行き当たりばったりに「1アクションやって考える」⇒「次のアクションやって考える」⇒・・・ではなく、ターンの最初に「このターンの方針」を概ね決めておき、既定のアクション数を優先順位に従って一気に解決する方が効率的ではないかと考えています。
「ターンの方針」を、例えば「このターン中にR&Dにランする」ケースで考えてみましょう。
このとき、アイスブレイカーと「確実なギャンブル」が手元に、ランとアイスブレイカーを出す資金がもう少し欲しいものとします。
そうすると「確実なギャンブルでお金を得る」「アイスブレイカーを1つ置く」「ランをする」という3アクションが考えられます。1クリック余ることが分かったので「ドローする」ことにしました。前述の「2.」によればドローは先に実行した方が良いため、順番的に最初に持ってきます。そして1クリック目にドローしたところ「造物主の目」を引きました。そうすると最後に実行する「ランをする」を「造物主の目(R&Dにランをして3枚アクセスする)」の使用に置き換え、結果的にR&Dへのアクセス枚数を増やせます。ドローを最後にしていたらランの後にカードを引くことになるので、「造物主の目」の選択肢に辿り着きません。
つまり「何をするか」「そのために何クリックかかるか」を最初にカウントしてアクションの順番を整理するのです。
目的意識の強いプレイングはゲームの面白さを高める事にもつながり、また手番にかける時間も短縮される為、この考え方は是非お勧めしたいところです。
とは言え慣れるまではルールを見直したり、カードの効果を必死に読んだりでそれどころでは無いでしょうから、最初は頭の片隅にでも留めておいて頂ければと思います。
・ランナーのコツ
1.ランのタイミングを逃さない
ランはランナーのメインとなる行動です。このアクション抜きにランナーが計画書カードを盗む(=勝利点を得る)ことはあり得ません。しかし慣れないうちはいつ、どこにランしたら良いか、他の行動とのバランスなどが難しいと思います。
各サーバーごとにランするメリットと優先度を見てみましょう。
R&Dへのランは、まず計画書を盗める可能性があり、仮にそれが資財だった場合でも、トラッシュすればもう一枚めくるチャンスが生まれます。またハズレでも次にコーポが引くカードが分かる点は有利に働くでしょう。
R&Dはコーポが自身で見る事が出来ない唯一の領域なので、コーポのコントロール外で運ゲーを仕掛けられるという大きなメリットを持ちます。出来れば毎ターン1回はランしたいです。もしもアイスが何も無いのであれば、絶対に行きましょう。
HQへのランは成功すれば「ガブリエル・サンチャゴ」の能力で2クレジットもらえます。アイスが無いならならこれだけでランする価値があります。手札を覗き、もちろん計画書を盗める可能性もあります。「HQインターフェース」でアクセスできる枚数を増やせるのも利点です。そういったメリットの多さから、入門デッキではR&D以上に積極的に仕掛けたいサーバーです。
ですがその分コーポに警戒され、アイスを厚くされるのが常です。無理に攻めてお金をすり減らさない様に注意しましょう。
アーカイブへのランは、普段は必要ありませんが「コーポが計画書を捨てている」気配を感じたら行っておきましょう。具体的には、R&DやHQにアイスをなかなか置けていない、ドローしてばかり、アーカイブになぜかアイスを置いた、などです。
また「スニークドアβ」の効果を使用すればアーカイブは2つ目のHQとなるので、その際は頻繁にランすることになるでしょう。
遠隔サーバーへのランは、最もランナーの腕が試されます。まずサーバー内のカードにアドバンストークンが乗っているか乗っていないかで状況が変わります。
アドバンストークンが乗っている場合、それは計画書に確定します。特に2つ乗っていたら3点の計画書の可能性が非常に高く、是非とも盗みたいところです。ですが、よく考えてください。ランナーが盗めるような状況でコーポが得点行動に出るでしょうか?
コーポは自身の裏向きカードの内容を知っているので、ランナーの持ち金とアイスブレイカーを見れば、この状況で突破されるかどうかはある程度計算できます。
そういった状況では多くの場合、コーポに「勝算」があるはずです。例えば必要なアイスブレイカーが場に出ていない、ランナーのお金が足りていないなどです。
ただしコーポの裏向きカードについてランナーが知る由は無く、またランナーの手札までは計算に入れられないので、あえてコーポが「賭け」で得点行動に出る場合もある事は覚えておきましょう。コーポが必ず安全な状況で計画書を置くとは限らず、ランナーの弱気に付け込むことが「勝算」であるかもしれないのです。
この「勝算」の見極めが1つの駆け引きのポイントになります。
あなたが場にマッチするアイスブレイカーやお金を産むカードを手札に抱えているなら、こちらにも打つ手があります。コーポの仕掛けに対してランナー側も「勝算」を隠し持っておくことが勝利に繋がるでしょう。ですが「勝算」がない事がほぼ分かり切っているなら、無謀な勝負を避ける事も大事です。
そういった場合はあえて見過ごして、その間に別のサーバーにランする準備を整えましょう。コーポが得点に費やすターンは他の事が出来ずにお金も減るので、ランナーにとってチャンスであるとも言えます。
アドバンストークンが乗っていない場合、サーバー内に置かれたカードが計画書「アトラス計画」か「資財」か分からないので、非常に難しいです。
もし「アトラス計画」であるなら、放置すると次ターンに(3アドバンスして)得点されてしまいます。ランを行って相手の得点を阻止しつつ自分は得点したいところです。
もし資財であるなら、ランナーがランのために払った金額が結果に見合わない可能性があります。アイスブレイカーに使った額が丸損という事はままあります。ランナーが最も迷う場面の1つです。
この場合、お互いの持ち金や盤面の充実度で判断すると良いでしょう。こちらにアイスブレイカーが揃っていて、お金が潤沢なら得点の前にブラフで資財を置いて無駄ランを誘ってくる可能性があります。こちらが出遅れていると判断したならさっさと得点するでしょう。コーポがただ資財を置いてお金を得たいだけの時もあるので、コーポの持ち金も良く見ましょう。
ですが、これについても裏をかいてくる可能性がありますので、一概に「こうすればOK」みたいな判断基準はありません。遠隔サーバーへのランの実施可否の判断は難しいので、何度も遊んで勘所をつかんで下さい。
2.カードを出す優先順位を考える
共通のコツでも書きましたが、「何となく来たカードを出す」は勝利から遠ざかるプレイです。
特に入門デッキでは「現在の状況」で必要なカードのみを盤面に出し、それ以外のアクションは「ラン」と「ドロー」に費やすプレイングがお勧めです。
では「現在の状況」とは何か。ゲームのおおまかな流れ(序盤、中盤、終盤)だけで考えた場合、以下の様な感じです。
序盤:お金です。「確実なギャンブル」「解放済み口座」「アーミテージ式コード破壊」などが必要なカードです。ランとドローの合間にしっかり稼ぎましょう。アイスブレイカーはまだ出さずに手札に隠しましょう。ハードウェアもほぼ要りません。お金に余程の余裕が出来たらにしてください。
中盤:コーポの出したアイスに応じたアイスブレイカーを出しましょう。あらかじめどのサブタイプ(バリア、コードゲート、セントリー)かランして確認しておき、出来れば「本命のランをする直前」にアイスブレイカーを出した方が効果的です。あとお金は切らさない様に。
終盤:お好きにどうぞ。というかもうカードを出す必要は無いでしょう。残るお金はラン資金です。
…え、じゃあハードウェアの「HQインターフェース」とかいつ出すの?イベントの「修繕」はいつ使えばいいの?となりますが、使わなくても良いです。最低限必要なカードは上記の「お金」と「アイスブレイカー」が全てです。
出すとしたら、それは「使い時」に合致するケースです。例えば「HQインターフェース」はコーポのHQが手薄な時、あるいは「スニークドアβ」とセットで出せるような時です。HQにアイス3枚置かれた状況で、「スニークドアβ」も無いのに「HQインターフェース」を置くのは、手数とお金の無駄です。(ただし、コーポが手札に計画書を2、3枚握っている事が確実なら話は別です!)
「修繕」は主に前半〜中盤に使うのが良いでしょう。コーポが「しめしめ、バリア用アイスブレイカーが出てないぞ」などと高を括っている時に「修繕」を打ち、「ははは、そのようなアイスブレイカーなどなくともミミックで十分」と裏をかいてやるのです。
使い時を逃した「修繕」はクリックを消費してまで無理に使う理由がありません。使う理由の無いカードはどうするかというと、手札上限をオーバーした時に優先的に捨てましょう。
どうしてもカードが勿体なくて使いたくなりますが、この断捨離こそが上達のコツの1つだと思います。
・コーポのコツ
1.盤面を横に広げ過ぎない
ルール編でも少し触れましたが、入門デッキで盤面を横に広げすぎる事は得策ではありません。
基本的にはアイスで守る遠隔サーバーは、計画書を置くサーバー1つ+(「メランジュ採掘社」を使うのであれば1つ)の1〜2箇所で十分です。
計画書を同時に複数盤面に出すのはお勧め出来ません。また「PADキャンペーン」は概ねアイス無しの裸でも良いでしょう。
従って、まともに守るサーバーは「HQ」「R&D」「計画書のある遠隔サーバー」の3箇所です。それ以外に何枚もアイスを割くと、手数とカードとお金の無駄になる事がままあります。
アイスを厚くする、または強力なアイスを置く基本的な優先順位は、入門デッキの場合「計画書を置く遠隔サーバー>HQ>=R&D>その他の遠隔サーバー」という感じかなと思います。
2.バランス感覚を大事にする
コーポは「防御」「得点」「資金調達」の3つを同時に行う必要があり、これがどれかに偏重するとたちまちランナーに付け込まれてしまいます。
「防御(アイスを厚くする)」に重きを置きすぎると、万年貧乏かつ得点が遅れます。これは最も苦しいケースです。やってしまいがちですが、早めのターンでの過度なアイス置きは自分の首を絞める事に繋がるのを覚えておきましょう。
「得点」を焦り過ぎると、防御の手薄な中央サーバーを狙われて先に7点盗られてしまう事がままあります。また序盤に得点する事に固執し過ぎて資金枯れを気にしないと、2枚目の得点が大幅に遅れる事もあります。常にアイスのレゾやアドバンスできる資金的余裕と、R&D、HQ、(得点前には遠隔サーバー)の最低限のアイスには気を配りましょう。
「資金調達」をやり過ぎると、得点が遅れ、守りも薄いためランナーのやりたい放題になってしいます。またコーポは置いたアイスの数と内容で必要な金額の上限が決まるので、あまりにお金を稼ぎすぎても使いどころに困ることがあるのでご注意を。
これらの3つのバランスが大事です。個人的に入門デッキでお勧めなのが序盤(1〜3ターンくらい)は「資金調達」と「防御」に、それより後は「得点」にやや重きを置いたプレイです。
開始直後はR&DとHQを守らずを得ません。が、一旦アイスを置けばしばらくはコーポが有利となり、時間が経つにつれてランナーの盤面にアイスブレイカーが揃って行きます。アイスブレイカーが揃うまでの中盤がコーポの一番のチャンスです。
うまいタイミングで得点するにはランナーの盤面をよく見ておくことも重要です。ランナーのお金がガクッと減った時、または出ているアイスブレイカーでは突破されないアイスがあるときは、得点の好機と心得ておきましょう。
■ゲーム中に考えていることの例(プレイサンプル)
続いては入門デッキでのプレイサンプルをご紹介します。プレイ中「何を考えているか」を盤面の例と共に、疑似リプレイの様な形でお見せしたいと思います。
尚、「はじめてのプレイヤーのプレイ」というよりは「ルールやカード内容をある程度覚えた人間のプレイ」という前提で書いています。「はじめてでそんな事まで考える余裕ないわ」という節もあるかと思いますが、ただのルール確認というよりは戦略の参考になればと思いその様に書いてみました。
・マリガンの選択基準
ゲーム開始時に1度だけ実行可能なマリガン(引き直し)では、なるべくお金の出るカードを確保するのがオススメです。
お金が揃っていれば、息切れせずに中盤〜後半までテンポよく進められるでしょう。お金の出るカードが5枚中2枚以上ある場合は、キープが良いと思います。
コーポの場合は最低1枚はアイスがあった方が良いでしょう。お金に乏しく計画書が2枚以上の場合は引き直しが良いと思います。
ただしコーポは引き直すことで計画書が手札に集中する「事故」が発生することがよくあります。欲張らずにある程度で妥協する事も大事です。
<引き直したい例:ランナー>
<良い感じの例:ランナー>
<引き直したい例:コーポ>
<良い感じの例:コーポ>
・コーポの1ターン目 (コーポ5金、ランナー5金)
コーポの初手は「R&Dにアイス」「HQにアイス」「お金の出るカードをプレイ」がベストと考えています。
出来ればアイスはレゾコストの安いものが良いです。
今回は少々微妙な想定で、マリガン後に下記のような手札だったとします。ターン開始時の強制ドローで「トールブース」を引きました。
アイスは2枚。1枚が持ち金的にレゾ出来る「エニグマ」、もう1枚はすぐにはレゾ出来ない「トールブース」です。「コードゲート」が被ってしまったのは痛いですね。しかもお金が出るカードは「グリーンレベル・クリアランス」だけです。使えば所持金は8金になりますが「トールブース」をレゾすれば0になります。コーポが持ち金を0にするのは余程のことが無い限り避けたいです。
まずはアイスを置く場所を考えましょう。手札に計画書がある事に加えて、「ガブリエル・サンチャゴ」の効果(HQにラン成功で2金)を発動させないためにも、HQを優先的に守りましょう。HQにレゾできる「エニグマ」を置くことにします。
R&Dの方は良い感じのアイスが来るまで待つという手もありますが、個人的にはそれは悠長です。R&Dガラ空きは良くありません。そこでレゾする事はできませんが「トールブース」を置くことにしました。ブラフです。ランナーはアイスが置かれたのを見てランを躊躇してくれるかもしれません。
ここまで考えたので、実際にアクションを実行します。ドロー効果のある「グリーンレベル・クリアランス」を最初に使います。
コストと報酬の差し引きで3金を得て、カードを1枚引きました。カードは「人造労働者」2枚目でした。後々使いたいけれど今は欲しくないカードです。お金が欲しかったですが、まあ良いでしょう。
予定通り、R&DとHQにアイスを置いてターンエンドを宣言します。
・ランナーの1ターン目(コーポ8金、ランナー5金)
開始時手札は下記の通りです。お金の出るカードが2枚、まずまずです。ついでに3枚ドロー出来る「ディーゼル」があるのは吉報です。HQのアイス次第で「HQインターフェース」を置く手もあるかもしれません。
5金以上持ってる内に使うべき「確実なギャンブル」はまあ確定として、あとはランをしてアイスが何なのか見たいところですが、相手は8金、R&DとHQの両方にアイスを置いています。どちらかはレゾ出来るでしょうが、両方は資金的に難しいかもしれません。コーポがより優先して守るとしたらHQなので、R&Dの方がランの通る可能性が高いと思われます。何故かと言うと、HQに本命のアイスを置いているなら、そのレゾ資金をR&Dで使うわけにはいかないからです。
念のためR&Dにランをしてアイスがレゾされるというケースに備え、2回ランをすると想定します。(R&D→HQの順にラン)
3クリック分のアクションが確定しました。残り1クリック余るので、資金源となる「アーミテージ式コード破壊」を置くのが良いでしょうか。ドローか「ディーゼル」でも良いですが、それは次のターンでも良いでしょう。資金源の確保を優先します。
そしてここまで考えたので、実際にアクションを実行します。
まず1クリック目に「確実なギャンブル」でコストとの差し引きで4金を得ます。続いて2クリック目にR&Dにランを仕掛けました。コーポはアイスをレゾしません。どうやら予想が的中した様です。
R&Dの1番上のカードをコーポがこちらに見せます。アクセスしたカードは「メランジュ採掘社」でした。コーポの資金源は断っておくのが吉でしょう。トラッシュ4金の「PADキャンペーン」なら放置でも良いですが、1金なら安いものです。コストを払って「メランジュ採掘社」をトラッシュしました。
3クリック目はもう一度R&Dにランすることにしました。1枚トラッシュしたことで、もう一度R&Dの「坊主めくり」のチャンスが訪れたからです。サーバーの守りが薄い内にランを仕掛けることを優先しましょう。
R&Dへのランを実行します。やはりコーポはアイスをレゾせず、ラン成功です。コーポがこちらにR&Dのカードを見せます。アクセスしたカードは「優先請求」!いきなり計画書を盗めました。
素晴らしい。とは言えゲーム開始直後にR&Dから盗める確率は2割程度あります。回数を重ねれば盗めるのは必然とも言えます。
盗んだ計画書を自身の得点エリアに置いて、最後のクリックをどうするか考えます。HQにランするのも良いですが、次のターンで「ディーゼル」で3枚ドローする事を考えて(手札超過しないように)、当初の予定通り「アーミテージ式コード破壊」を置いておくことしました。コストの1金を払いカードを出して、ターンエンドです。
・コーポの2ターン目(コーポ8金、ランナー7金)
強制ドローで「ヘッジファンド」を引きました。これはすぐに使って良いでしょう。というか欲しかったカードです。
R&Dのアイスをレゾできない事がバレてしまったので、早急にレゾ資金を稼ぎたいところです。が、「ヘッジファンド」を使っても全財産は13金。「エニグマ」と「トールブース」のレゾ代金は合計で11金。両方レゾした場合はお金がほぼゼロになってしまうので、あまり良くありません。このゲームはお金がゼロの状態から稼ぐのにとても時間がかかるからです。お金が潤沢な時の方がずっと稼ぎやすいです。
従ってもう少しお金を貯めたいです。お金を求めてドローする事にしましょう。目ぼしいものが来なければ、3クリック目は更にもう1ドローでも良いかもしれません。
ではアクションに移ります。まずはドローが最初です。ここで「PADキャンペーン」を引きました。これは悪くないです。残り2クリックは「ヘッジファンド」と今引いた「PADキャンペーン」で良いでしょう。
「ヘッジファンド」で差し引き5金を得て、遠隔サーバーに「PADキャンペーン」を裏向きにインストールします。まだレゾはしません。
クリックを使い果たしたのでターンエンドを宣言します。
・ランナーの2ターン目(コーポ13金、ランナー7金)
コーポがアイスを置かずに、裸で何かのカードを裏向きにインストールしました。入門デッキの構成上「メランジュ採掘社」「PADキャンペーン」もしくはいずれかの計画書の可能性があります。
もし計画書「アトラス計画」だった場合、次のターンに3回アドバンスして得点されてしまいます。しかしこの状況でそこまでの賭けに出る事は考えにくいでしょう。「メランジュ採掘社」は先ほど1枚トラッシュしたので、これも裸で置いてくるとは考えにくいです。8割方「PADキャンペーン」と考えて良いでしょう。
正体がほぼ分かっていてトラッシュする気が無いなら、ランしてもメリットはありません。ここは放置することにしました。
どちらかと言うとそろそろアイスブレイカーを抱えておきたいので、ドローして行こうかと思います。「ディーゼル」はとても有用です。ここで使ってしまいましょう。
またR&Dはまだレゾして来ない可能性があるので、ランする余地はありそうです。HQのサーバーも気になるので、こちらの正体も明かしておきたいです。正体を明かしたいのは必要なアイスブレイカーやブレイクに必要なコストを知るためです。
「ディーゼル」と「R&Dへのラン」「HQへのラン」を実行するところまで決めました。残りのアクションはドローの結果を見てからでも良いでしょう。アクションを実行します。
まずは「ディーゼル」を最初に使用して3枚ドローしました。結果「オーロラ」「ミミック」「ミミック」でした。アイスブレイカーを引けたのは良いですが、被ったのはイマイチです。お金カードが無いのもイマイチです。正直残念ドローになりました。次回に期待です。
お金が十分で無い、尚且つここで手の内を晒す必要は無いのでまだアイスブレイカーは置きません。
予定通りR&Dへのランを行います。コーポはアイスをレゾしません。高価なアイスなのでしょうか?アクセスしたカードは「アイスウォール」でした。このアイスは「オーロラ」でブレイク出来るので、「オーロラ」は隠し持っておき、次に遠隔サーバーにアイスを置いたのを見てから「オーロラ」を出して突破にかかるのが良さそうです。重要な情報を得ました。
続いて3クリック目はHQにランです。やはりコーポはアイスをレゾしました。アイスは「エニグマ」です。ブレイク出来ないので「クリックを失う」と「ランの終了」を受けます。「クリックを失う」を受けてクリックが無くなってしまったのでターンエンドです。しかし、HQが「コードゲート」のアイスであるという情報を掴みました。こちらは「ピーコック」を引いたらチャンスです。
・コーポの3ターン目(コーポ10金、ランナー7金)
強制ドローの前に「PADキャンペーン」をレゾします。(※ドロー前にレゾできます)
レゾコストとして2金を払い、続いて「PADキャンペーン」の「ターン開始時」の効果で1金を得ます。そのあとで強制ドローです。
引いたのは「アイスウォール」です。低コストで使いやすい「バリア」のアイスです。このアイスを使って得点に出る手はあるでしょう。しかし注意すべきはこの情報はランナーに知られているという事です。アイスブレイカーを抱えていればたちまち2枚目を盗まれてしまうでしょう。ここは一旦ドローをして様子を見ます。
「PADキャンペーン」の2枚目を引きました。これは悪くないです。計画書の代わりに「PADキャンペーン」を置いて、先ほどの「アイスウォール」で守れば、ランナーが計画書だと思ってアイスブレイカーを出してくるかもしれません。
新しい遠隔サーバーとして手札から「PADキャンペーン」をインストールし、「アイスウォール」で守ってターンエンドです。
・ランナーの3ターン目(コーポ9金、ランナー7金)
コーポが新しい遠隔サーバーに何かインストールし、そこをアイスで守りました。先ほどの「アイスウォール」を使った可能性が高そうです。アイスで守ったという事は今度こそ計画書でしょうか?ここはアイスブレイカーの出し時かもしれません。
「アイスブレイカー」「遠隔サーバーにラン」の2アクションを決めました。残りは毎度R&Dへのランと、「アーミテージ式コード破壊」から資金を補充するのが良さそうです。
ではアクション実行です。「オーロラ」をコストを支払ってインストールし、次のクリックで遠隔サーバーにランをします。
コーポはアイスをレゾしました。予想通り「アイスウォール」です!「オーロラ」でアイスをブレイクしましょう。強度は足りているので、1回ブレイクの2クレジットだけで事足ります。ブレイクする旨を宣言し、バンクに2金を支払います。
そして、待望のカードへのアクセスです。コーポが遠隔サーバーのカードをめくります。…が、残念ながら計画書では無く「PADキャンペーン」でした。これをトラッシュしている資金的猶予はありません。大人しく何もせずに帰ります。やられました。
気を取り直して次にR&Dへランします。コーポはアイスをレゾしません。アクセスしたカードは「エニグマ」だったので、「何もしない」事を告げます。最後に「アーミテージ式コード破壊」から2金を得てターンエンドを宣言します。
・コーポの4ターン目(コーポ9金、ランナー4金)
ターン開始前に2金を払って2枚目の「PADキャンペーン」をレゾしました。続いて1枚目と2枚目の「PADキャンペーン」から2金を得ます。次の次のターンからようやく黒字になりますが、ランナーに無駄ランをさせる仕事はしたので十分でしょう。
さて、強制ドローでは「エニグマ」を引きました。
…ここで相手の盤面を見て一瞬考えます。ランナーの持ち金は4金、たとえば今引いたエニグマを遠隔サーバーに置いたら突破出来るでしょうか?
仮にランナーが、対エニグマのアイスブレーカー「ピーコック」を手札に抱えているとしたら、「インストール3金+ブレイク(最低)2金」なので5金必要です。「アーミテージ式コード破壊」を1回使えば4金+2金=6金になるので足ります。
が、待ってください。コーポのこれまでの動きから判断するに、アイスが何かわからないので一旦裸でランしてこちらにアイスのレゾを強要してくる可能性もあります。ランナーは一度その行動を取っているので十分あり得ます。
裸でランしてきた場合、ランで1クリック、「エニグマ」の「可能ならランナーは[クリック]を失う」のサブルーチンで計2クリック消えます。更に「ピーコック」インストールでもう1クリック使い、ランで1クリックです。「アーミテージ式コード破壊」を使う余裕は無いので、お金は足りません。
計算を終えたコーポはここは勝負所と見ました。入門デッキでは5ターン以内に1枚目の計画書を獲得出来れば、ぐっと勝利が近くなります。それに1枚目を既にランナーに持っていかれているのでモタモタ出来ません。
ついでに欲張って「アトラス計画」を4アドバンスする事にします。通常3アドバンスで得点出来ますが、4アドバンスすれば「アトラス計画」の効果「好きなカードを1枚デッキから探して手札に入れる」が使えるからです。もし得点出来ればかなり有利になるでしょう。4アドバンスするためには、このターンで最低1アドバンス、次のターンで3アドバンスする必要があります。
1クリック目で新しい遠隔サーバーに「アトラス計画」をインストールし、2クリック目で1アドバンスします。3クリック目でそのサーバーを守るように「エニグマ」をインストールしました。
アドバンストークンを置いたことで事実上「このカードは計画書だ。かかってきやがれ」と宣言したことになります。覚悟を決めましょう。
・ランナーの4ターン目(コーポ8金、ランナー4金)
コーポが計画書をインストールして来ました。アドバンストークンを置いたので確定です。またその上にアイスを1枚貼っており、これが「突破されない自信がある」という事です。アイスの内容はもちろんわかりませんが、少なくとも「バリア」では無いのでしょう。
「コードゲート」なら突破出来ませんが、「セントリー」なら手持ちの「ミミック」でブレイク出来そうです。ドローして「ピーコック」を探すべきか、「ミミック」で賭けに出るべきか、はたまた一旦何も置かずにランしてアイスをレゾさせて様子を見るか、です。
ここで一番丸いのは「ミミック」をインストールしてのランです。何故なら、もし置かれたアイスが「ロトターレット」だった場合、ミミック無しだと「プログラムを1つトラッシュする」のサブルーチンに引っかかって、ランに失敗するだけでなく既に場にあるアイスブレイカーをも捨てられてしまうからです。これは最悪の結果です。
「ミミック」なら「ロトターレット」をブレイク出来るので「オーロラ」トラッシュを免れ、2枚目の計画書を盗んで一気に勝利に近づきます。
先ほどデッキトップの「エニグマ」を見ているので、コーポがそのまま出してくる可能性もありますが…、ここまでのターンで「ミミック」を手札につかんでいるそぶりは見せていないので、裏をかこうとして「ロトターレット」で構えている可能性は十分にありそうです。決めました。
1、2クリック目で「アーミテージ式コード破壊」から2金ずつ得て計4金プラス。3クリック目で「ミミック」をインストール。4クリック目で計画書のある遠隔サーバーにランです。行きましょう。
コーポは当然アイスをレゾします。アイスは「エニグマ」! …やられました。ブレイク出来ずにターンエンドです。最悪のシナリオを回避した結果なので仕方なしでしょう。
・コーポの5ターン目(コーポ5金、ランナー4金)
してやりました!ランナーが「ミミック」を持っていたのは想定外でしたが、結果オーライです。
ターン開始時に「PADキャンペーン」2枚から2金を得て、強制ドローは「セレブの贈り物」でした。このターンは得点するだけなので、3クリック全てを使って「アトラス計画」を3アドバンスし、表にして得点します。計4アドバンスなので、アドバンストークンの内1つを「計画トークン」としてカードの上に置いたままにして得点エリアへ加えます。(後でアトラス計画の効果を使えます。)
クリックを使い果たしたのでターンエンドです。
・ランナーの5ターン目(コーポ4金、ランナー4金)
お金もカード(アイスブレイカー)も欲しいです。ですがコーポが得点のためにお金をすり減らしているので、攻め時でもあります。ゲーム開始からずっとレゾ出来ていないR&Dを攻めましょう。
ドロー、ドロー、R&Dへのランというところでしょうか。残ったクリックは「アーミテージ式コード破壊」でお金を得ましょう。
ドロー結果は「解放済み口座」「ザナドゥ」でした。「解放済み口座」は重要な資金源なのでとても良いですね。「ザナドゥ」はアイスのレゾコストを値上げするカードですが、既に3枚アイスをレゾしているので今からではやや遅いかもしれません。
R&Dにランを行います。コーポはレゾしません。この期に及んでレゾしないのはおそらく「出来ない」からでしょう。レゾコスト8金の「トールブース」の可能性が高いです。R&Dの1番上は「ハイヴ」でした。「何もしない」旨を告げます。まあそう簡単に何度も当たってはくれないでしょうが。
最後に「アーミテージ式コード破壊」から2金を取ってターンエンドします。
・コーポの6ターン目(コーポ4金、ランナー6金)
ランナーが2枚ドローをしました。そろそろコードゲートをブレイク出来る「ピーコック」を引いたかもしれません。
ここで得点行動も危険かもしれませんが、ランナーがアイスブレイカーを3種とも揃えてしまったら、あとはお金勝負になります。
その前にぜひ2枚目を得点しておきたいです。遠隔サーバーを固めて得点行動に出ましょう。
ターン開始時に「PADキャンペーン」2枚から2金を得て、強制ドローは「ハイヴ」でした。これはアイスブレイカー「オーロラ」でブレイクされますが、強度上げ1回+「ランの終了」が3回分で計8金かかります。これは心強いですね。遠隔サーバーに追加投入しますか。いや、中央サーバー(R&D)を守るか。
遠隔サーバーを厚くして、今のうちにHQの「私設保安部隊」を得点してしまうのはアリでしょう。間もなくHQも危うくなるでしょうから。
得点には4アドバンス+ハイヴのレゾコストを考えると9金。追加の資金が欲しいです。ドローを1回、ないし2回します。
ハイヴは出すとして、まずは1枚ドローします。「ヘッジファンド」を引きました。丁度良いです。使いましょう。
2クリック目で今引いた「ヘッジファンド」を使用し、5金を得ます。3クリック目で1金を払い「ハイヴ」を遠隔サーバーに追加してターンエンドです。
・ランナーの6ターン目(コーポ10金、ランナー6金)
コーポがお金を貯めて遠隔サーバーの守りを厚くしてきました。また得点する気でしょうか。早急に「ピーコック」を引いて、かつその運用資金を稼がねばなりません。資金は「解放済み口座」を使うとして、まずはドローしましょう。
ドローする事で手札上限をオーバーしますが、その後「解放済み口座」を使い「ミミック」を捨てる事を考えると2ドローは行けます。
1ドロー目で「ディーゼル」を引きました。ナイスです!すぐに使いましょう、「ディーゼル」で更に3ドローします。
「カモ」「造物主の目」「修繕」を引きました。「ピーコック」ではなく「修繕」でも「コードゲート」を1回はブレイク出来るので、コーポが得点しに来た時の対策の1つとして悪くないです。
残り2クリックなので「カモ」を使って3金を得て、最後に6金を払って「解放済み口座」を出しました。お金はこれでしばらくは工面できそうです。
手札上限を1枚超えたので、「ミミック」を手札から捨てます。
・コーポの7ターン目(コーポ10金、ランナー3金)
ランナーのお金が減ったように見えて、1回叩けば4金出る「解放済み口座」を出しました。時間をかければ懐が潤沢になりそうです。
既に「ピーコック」を引いていると考えると「解放済み口座使用」「解放済み口座使用」「ピーコック出す」で残金は8。しかしランに10金かかる筈なので今なら行けそうです!再び勝負をかけるならココでしょう。
「PADキャンペーン」2枚から計2金を得て、強制ドローは「洗浄屋」。…計画書引きすぎです。ただ、前ターンにR&Dにランされなかったので「盗まれるのを免れた」と前向きにも捉えられます。
気を取り直してさあ行きましょう。「私設保安部隊」をアイスのある遠隔サーバーにインストールして1回アドバンス。最後の1クリックは迷いましたが、バンクから1金を取りました。ターンエンドです。
・ランナーの7ターン目(コーポ11金、ランナー3金)
コーポが思ったより早く仕掛けてきました。遠隔サーバーを突破出来るでしょうか?落ち着いて考えましょう。見極めるのです。
「修繕」を使うなら、「解放済み口座使用」「解放済み口座使用」「(エニグマに)修繕」、「遠隔サーバーにラン」となり、11金持った状態でランが仕掛けられます。問題は遠隔サーバーに伏せられたアイスが「コードゲート」だった場合です。「修繕」の効果対象はアイス1つだけなので、それだと伏せアイスをブレイクできません。得点しに来たという事は自信があるのでその可能性は高そうです。そうすると「修繕」が無駄撃ちになってしまいます。
が、ここで躊躇する手はありません。勝負所です。「コードゲート」でない事を信じて行くしかないでしょう。
予定通り「解放済み口座使用」を2回使用し8金を得て、「修繕」を使い「エニグマ」に「バリア」と「セントリー」を付与します。ここでコーポの顔色が変わりました。やったのか?!ランを宣言して遠隔サーバーを手で示します。裏向きアイスがレゾされました。
アイスは「ハイヴ」。やりました!ハイヴはすでに出している「オーロラ」でブレイク出来るので、強度上げ+ブレイク3回で計8金を支払い通過します。そして続く「エニグマ」は修繕のおかげで「セントリー」を持っているので、「ミミック」で僅か1金でブレイク出来ます。1金を払って通過しました。サーバー内の計画書は「私設保安部隊」でした。これで2枚目、計5点目です!
・コーポーの8ターン目(コーポ6金、ランナー2金)
「修繕」が想定外だったので、してやられました。が、ここで気を取り直します。相手の得点直後はチャンスとなることが多いからです。「修繕」を使ってきたという事は、「ピーコック」を引けていない可能性が高そうです。そうなればもうランナーに突破する手立てはありません。「ピーコック」を求めてドローしまくろうものなら、今度は「解放済み口座」からお金を補充するクリックが足りなくなるからです。なのでもう一度得点トライです。
「PADキャンペーン」2枚から計2金を得て、強制ドローは「"豆の木"使用料」でした。
前のターンで引いた5アドバンスの計画書「洗浄屋」を前ターンと同じサーバーにインストール。2回アドバンスしてターンエンドです。
・ランナーの8ターン目(コーポ6金、ランナー2金)
コーポがもう一度得点行動に出ました。しかしこちらにはもう一度ランしてアイスを通過する手立てがありません。
こちらはあと計画書1枚盗めば勝ち、対してコーポは盤面に置いたものを含め2枚得点する必要があります。それにこちらにはR&Dに3枚目アクセスする必殺の「造物主の目」が手札に来ています。これをR&Dに打ち込んで何らかの計画書を取れれば勝ちです。既に5点取っていて次はどの計画書を盗んでも7点に達するので、そこまで分の悪い勝負ではないでしょう。
遠隔サーバーの突破用に加え、R&Dも恐らくは「コードゲート」の「トールブース」の可能性が大です。必要なのは「ピーコック」か「修繕」のどちらかです。今は遠隔サーバーへのランは潔くあきらめて、引くまでドローして行きましょう。
ドロー、1枚目は「改良済み」ハズレです。2枚目は「ドッペルゲンガー」ちょっと遅いです。3枚目も「改良済み」。あるある。4枚目でようやく「ピーコック」を引きました!
クリックをすべてドローに費やしたのでターンエンドです。手札が3枚超過したので「改良済み」「ザナドゥ」「ドッペルゲンガー」の3枚をバサっと捨てます。目的が決まっているならひたすらドローし続けるのも有効な手です。今更来ても使う意味の薄いカードは気にせず捨てましょう。
・コーポーの9ターン目(コーポ6金、ランナー2金)
案の定ランナーがカードを引きまくりました。まだ「ピーコック」を引けていないようで助かります。
「PADキャンペーン」2枚から計2金を得て、強制ドローは「グリーンレベル・クリアランス」でした。
「洗浄屋」を3アドバンスして得点です。これで2枚目、5点でランナーと並びました。
そして、実は次の自分のターンで勝てる「算段」があります。あとは次のランナーターンで何も起きない事を祈るのみです。ターンエンドです。
手札上限をオーバーしたので、「ポップアップ・ウィンドウ」を裏向きにアーカイブに捨てます。
・ランナーの9ターン目(コーポ5金、ランナー2金)
「ピーコック」を出してすぐにでもランしたいところですが、まだお金が足りません。このターンはしゃがんで次のターンで勝負を決めてやりましょう。
「解放済み口座」2回で8金、「アーミテージコード破壊」2回で4金、計12金を手に入れてターンエンドです。使い切った「解放済み口座」と「アーミテージコード破壊」はトラッシュします。
・コーポーの10ターン目(コーポ5金、ランナー14金)
「算段」はこうです。手札に「人造労働者」があるので、4金支払えばこのターンのクリックを実質1つ増やせます。
計画書「アトラス計画」が手元にあれば3アドバンスで得点出来るので、「インストール」「アドバンス3回」の計4クリックで得点して勝利できます。
「アトラス計画」はどこから湧いてくるかと言うと、既に得点している1枚目の「アトラス計画」を思い出してください。カードの上に計画トークンが1つ乗っているので「好きなカードを1枚デッキから探して手札に入れる」をクリックを消費せずに実行できます。
従ってこのターンのアクションはこうなります。「「アトラス計画」の効果発動(0クリック)でアトラス計画をR&Dから探して手札に入れる。」「人造労働者(クリック増)」「インストール」「アドバンス3回」。かかるお金は人造労働者の4金+アドバンス3回で3金で計7金、ターン開始時に「PADキャンペーン」から2金を得るので、持ち金は7金。足ります。なので得点して勝利です。
呆気ない幕切れではありますが、入門デッキのコーポにはこの必殺技がある事を、ランナーもコーポ自身も忘れてはいけません。
入門デッキでの対戦は「攻め時」と「しゃがみ時」を見極める事、そして「相手が何をしようとしているか」を推測する事が重要になってきます。分かれば分かるほど面白くなって来ると思うので、是非何度も遊んでみてください!
■おわりに
「実践編」如何でしたでしょうか。説明が細かい部分もあるので「はじめてのネットランナー」の趣旨からは多少外れるかもしれませんが、駆け引きの面白さを含めてお伝えしたいと思った結果、このような内容になりました。
また今回は入門デッキに限定してのお話をしましたが、それらは構築戦等で役立つ事も多いのではないかと思っています。プレイングは経験で磨かれていくものと思いますが、その中で当記事をどこかで思い出して頂けたら幸いです。
記事を読んで戦略により興味がわいた方は、良かったら「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」、「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」あたりも目を通してみてください。
ここまで長文を読んでくださってありがとうございました。
ごん太
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■このエントリーは何?
この記事は、LCG「アンドロイド:ネットランナー」日本語版を何度か遊んでおり、かつ拡張を大体揃えていて、日本語版未翻訳の拡張に興味がある、または遊んでみたい方向けのエントリーです。
主にFFGリリースの3つのデータパックの、一部カードの日本語版プロキシの公開、および簡単な説明を行っています。
全くの初心者の方や、遊び始めたばかりでプレイングや構築について知りたいという方は、下記の過去記事をご参照下さい。
[過去記事]
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
「2度目のネットランナー(4) 実は知らなかった!?間違えやすい超基本ルール」
「2度目のネットランナー(番外編) 日本語環境の禁止・制限カード一覧」
「2度目のネットランナー(5) これからはじめる人のための、ネットランナー10の疑問」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [1] 日本語版ダウンフォールが来た!」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [2] SystemCoreを使ってみよう」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太と申します。ボードゲーマー兼カードゲーマーです。
アンドロイド:ネットランナーは2016年の日本語版初版からはじめ、英語版に手を出して現在に至ります。
世間的には品薄になりつつある日本語版ネットランナーですが、最近また興味を持たれる方や久しぶりに遊んでみたという方が増え(たような気がして)ファンとしてはとてもうれしい事です。
またNISEIの新カードは関係者の方々の努力のお陰で日本語版がリリースされており、まだまだ全く遊び尽くせていない状況です。これからも楽しみです。
一方で原語版の公式展開終了からは久しく、今後FFGの既存拡張が日本語版で製品リリースされる見通しはかなり厳しいと感じています。そして「日本語版では出ていないあのカードがあれば…」みたいな事は現状で多々発生します。
そこで今後も末永くネットランナーを遊んでいく個人的施策の一環として、FFGの日本語版未翻訳のカードから「よく使われるもの」を中心にピックアップし、プロキシを公開してみる事にしました。
まずはStandard(現行NISEIルール)、Snapshot(旧FFGルール)のどちらのフォーマットでも使用できるカードの内、日本語版未リリースのデータパック「Sansan Cycle」「Mumbad Cycle」「Flashpoint Cycle」からセレクトしました。
ごん太の能力的に一気に全ての公開は難しいので、その第一弾として本エントリーでは「シェイパー」「ランナー中立」「ハース=バイオロイド」「コーポ中立」の4派閥から9枚ずつ、計36枚をPDFとして用意しました。
主な選考基準は"Know the Meta"という分析サイトをソースとした大会使用率の高さと、現行日本語版とのマッチング、及びごん太の趣味です。
デッキ構築の幅を広げる1つの選択肢として、ネットランナーを愛する日本のプレイヤーの皆さんに使って頂ければ幸いです。
■データパック抜粋日本語カードPDF1
データパック抜粋日本語カードPDF1(シェイパー、ランナー中立、ハース=バイオロイド、コーポ中立)
(圧縮ファイル名:DP_4JP_01.zip)
上記のリンクからPDFファイルをダウンロードして下さい(合計4ファイル)。
※Zipファイルのためプレビューがエラーとなる場合や、ファイルが大き過ぎてウィルススキャンが出来ないと表示される場合がありますが、そのままダウンロードして下さい。
印刷、裁断、スリーブ詰めなどが必要なのは以前にご紹介した「ダウンフォール」「Systemcore2019」と同様です。各カード1枚ずつの構成となっていますので、各ページ3枚ずつ印刷が必要になります。
使用に際しては以下の点にご注意ください。
・ごん太による私家訳です。お問い合わせやミス等のご指摘等がある場合は、このエントリーのコメントまたはTwitterにて必ずごん太あてに連絡をお願いします。
・PDFファイルは予告無く変更または削除する場合があります。
・訳出の方針、特にカード名については製品等の日本語版に比べてカタカナ語を多用しています。これには原語版との呼称の乖離をあまり大きくしたくないという意図があります。
・[更新:2020/07/06] BanList 20.06の変更点(禁止等)を追記しました。
■BANList 20.06での変更点について
2020年6月26日に、これまでの禁止制限カードの一覧「Standard MWL」が禁止のみを定義した「BANList」に変更になりました。
これにより、本エントリーでご紹介しているカードの幾つかが使用不可となっています。詳しくは下記をご参照下さい。
[PDFに含まれる禁止カード]
・映画評論家 (Film Critic) シェイパー
・アンコール (Encore) シェイパー
・阻止攻撃(Interdiction) ランナー中立
・"平等ゆえの自由" ("Freedom Through Equality") ランナー中立
・夜間外出禁止令 (Enforced Curfew) コーポ中立
■各カードの紹介
では今回PDFに含めたカードから、個人的に特に説明したいものを中心に、幾つかご紹介したいと思います。
<シェイパーのカード>
・映画評論家(Film Critic) [Snapshot(MWL2.2):Restricted , Standard(BANList20.06):Banned(禁止) ]
何をおいてもまずはこのカードを紹介すべきでしょう。今回のサブタイトル(「さようならオボカタ」)とはこのカードの効果を指しています。
テキストを読んだだけでは分かりにくいですが、要はコーポに有利となる「盗んだ時」の効果や「盗むための追加コスト」を発生させない、一部の計画書等に対する強力なメタカードです。また「アクセスした時」の効果が発生する前に乗っけてしまうので、同記述を持つ計画書にも有効です。
具体的には、日本語環境での厄介な計画書の代表格「オボカタ・プロトコル」をはじめ、キタラサイクルの便利すぎる中立計画書「南サハラ同盟の承認」、同キタラサイクルの「イカワー計画」「マスブロ大学」等、ダウンフォールの「SDS無人偵察機配備」などなど、強化では「ベン・ムサシ」等にも及びます。
また「盗む」という現象が発生しないので、「懲罰的反撃」で手痛いダメージを受ける事も無くなります。
ただし、Snapshotでは同時使用制限(Restricted)対象に指定されています、またStandardでは禁止(BAN)対象なのでご注意ください。
安直すぎるメタ効果ではあるものの、「オボカタ置いておけば大丈夫」「金は南サハラが勝手に稼ぐ」のようなパワーカードの上にあぐらをかいているコーポに一撃をお見舞いすることが出来るでしょう。
・ミスディレクション(Misdirection)
構築戦を遊び始めて少し経ったランナーがぶち当たる壁と言えば何でしょうか。
その1つが「強烈なニュース」を喰らって、タグを剥がし切れずに「地位ある標的」で即死するという負けパターンでは無いでしょうか。
タグは勿論プレイングで対処することが可能ですし、タグそれ自体は非常に面白いシステムだと思います。
ですが対応にはそれなりの経験を要し、「強烈なニュース」などの一部のパワーカードは、特に構築初心者にとって捌き切れない理不尽なストレス源となることもあると思います。
そんな極端なタグ攻めをメタることが出来るのがこのカードです。これ1枚出しておけば剥がす費用は半分に、消費クリックも2つなので、「タグ剥がしだけで1ターン使った上、財産を使い果たしちゃった」様な事態を防げるでしょう。
タグ自体を否定するカードなので、NBNやウェイランドなどのコーポからすれば出されるだけでションボリですが、ピンポイントでどうしてもタグが対処できずこのゲームが嫌いになりそうという方は、1〜2枚刺しておくのも手かもしれません。
・ヘイリー・カプラン(Hayley Kaplan)
原語環境のシェイパーでは1、2を争う人気で、2017年の世界チャンピョンも使用していました。
あるカードをインストールした時、同じタイプのカードを手札からもう1枚インストールできる強力な効果を持ちます。リソースやプログラムなど特定のタイプに寄せた構築を行えば、魔法の様に一気に盤面が広がっていくことでしょう。効果のトリガーはインストール時なので、ラン中に「自己変形コード」などを使用した際も発動可能です。
構築が少し難しいものの、派手な効果で気持ち良くプレイ出来るオススメIDです。
尚、併せて収録したID「スモーク」さんもとても強力な人気ランナーです。是非遊んでみてください。
・アンコール(Encore)[Standard BANList20.06:Banned(禁止) ]
すみません、カード使用率や日本語環境との相性と関係なく、個人的趣味枠で入れました。
トレーディングカードゲームのロマンと言えばやはりエクストラターンでしょう。ネットランナーにおいてそれを実現してくれるのがこの1枚です。いわゆる「ずっと俺のターン」というやつです。
R&D、HQ、アーカイブにラン成功し、最後の1クリックでこのカードを使用すると、直後にもう一度自分のターンが来ます!
ただし、そのまま使うと1ターン増やすためにまるっと1ターン使うことになるので、あまりうれしくないです。
そこでクリック(ラン回数)をもう1つ増やして、このカードを1ターンに2枚使いましょう。使った回数分だけエクストラタ―ンが累積します。無限にこそなりませんが、ずっと俺のターンぽくなります。
クリックを稼ぐには、クリミナルのコンソールを使いましょう。snapshotなら「ドッペルゲンガー」、standardなら「スウィフト」で1クリック分増えます。
正直あまり実用性は高くありませんが、日本語環境のランナーにもロマンを求めるカードがあって良いのではと思い、入れさせて頂きました。
<ランナー中立のカード>
・再誕(Rebirth)
ランナーのIDを入れ替えるという、かなり特殊な効果のカードです。
IDが変わった瞬間に、当然ながら入れ替え前のID能力は消えてしまうのですが、ゲーム開始時に既に発動した効果を「無かったこと」にしたり、デッキの枚数が突然変わったりという事はありません。
これを利用して、例えばデッキ40枚の「ケイオス・セオリー」で開始して、途中からデッキの45枚の強力なIDに変更したり、ゲーム開始時にコーポに悪名を与える「バレンシア・エステヴェス」で開始して、途中から「アリス・マーチャント」に入れ替えるなどのIDの「良いとこどり」作戦が可能です。
ただし、デッキに1枚制限なので前半で引ける確率は低めです。ドロー手段を豊富に用意しておくか、転生後のIDはオマケ程度に考えておくなど、このカード用にデッキを調整する必要はあるでしょう。
・我らが時代の平和(Peace in Our Time)
ランナーの金策イベントで貰える額と言えば「確実なギャンブル」でもせいぜい4クレジットです。
ところが、このカードはちょっとしたデメリットや条件と引き換えに、一気に9クレジットも貰えていしまいます。ランナーのイベントとしては破格も破格です。
コーポに5クレジット渡してしまう上にランも出来なくなりますが、コーポの経済状況やプレッシャーよりも「とにかく素早く準備を整え必殺の一撃を放ちたい」という様な、コンボ重視のデッキ等にとっては渡りに船と言えましょう。
ただし、中立カードですが影響値を1消費する点に注意して下さい。3枚入れると意外と枠を使ってしまいます。
・阻止攻撃(Interdiction)[Standard(BANList20.06):Banned(禁止) ]
コーポの「強化」カードの多くは、裏のまま罠のようにサーバーに仕掛けておき、ランナーがランしてきた際にレゾして使用すると強力なものが多々あります。その使い方を封じるのがこのカードです。
相手がサーバー内に裏向きに「強化」を仕掛けるまで待って、こちらにターンが回ってきたらこのカードを出してからランするというのが主な使い方です。コーポのターンには何の効果も持たないので、必ずコーポが仕掛けるのを待ってから奇襲的に使いましょう。
コストの安い「現状」イベントなので、相手の「現状」を打ち消す目的も兼ねられる点は高評価のポイントです。
正直言うと、イラストがカッコイイというのが一番の高評価ポイントです。
・輪廻の車(The Turning Wheel)
誰でも中央サーバーへのマルチアクセスを可能にする、便利すぎる中立リソースです。
このカードの強力な点は3つ。「中立かつMUを使わない汎用性」「R&D、HQのどちらでも効果が使えること」そして「ランに成功しなくてもパワーカウンターが乗ること」です。特に強力なのが3つ目の点で、パワーカウンターが乗る条件が「ラン成功時」ではなく「ランが終了するたび」なので、例えばアイスの「→ランの終了」を受けた場合であってもカウンターが追加されます。
このため、最外殻アイスの一番上のサブルーチンが「ランの終了」であるサーバーにあえて何度も突っ込み、カウンターをひたすら稼ぐというインチキじみた作戦も可能です。
「カウンター2つ消費につき+1枚アクセス(2つずつなら何個消費しても良い)」であること、カウンターが乗るのは中央サーバーのみであることには注意して下さい。
またハッキリ書かれていないので分かりにくいですが、カウンター消費のタイミングは「アクセス時」ではなく、「ラン中」である事も気をつけるべき点です。大抵はラン成功の直前(ランナーのアクセス前最後の消費型能力ウィンドウのタイミング)に使います。
中立カードながら影響値を1使用しますが、それ以上の働きをしてくれる事は間違い無いでしょう。
・ファインド・ザ・トゥルース(Find the Truth)
サブタイプ「指令」のリソースは、大拡張「Data and Destiny」で登場する独自派閥ランナー「アダム」のためのカードです。
彼はID特性として3つの「指令」のカードをインストールした状態でゲームを開始出来ます。「Data and Destiny」では「指令」自体が3枚のため選択の余地が無かったのですが、選択肢を作る目的でこの「指令」が追加されました。よってこのカードを翻訳対象に含めたのは「Data and Destiny」の訳公開を見込んでの事です。
勿論他派閥で使用しても全く問題はありません。「RNGキー(キタラサイクル)」と並べられればクレジット確保兼ドローソースとして大いに役立ってくれるでしょう。(「RNGキー」と発動が同タイミングのため、「ラン成功→ファインド・ザ・トゥルースで見る→RNGキーの効果で直前に見たカードのコストを宣言して報酬ゲット」というカンニングが可能です。)
カード名の訳を「真実を見つけよ」などではなくカタカナにしたのは、その方がなんとなくコマンドっぽいのと、同じ「指令」のカード「Always Be Running」もいずれ和訳する想定で、ならば英語の響きは残したいという個人的なこだわりによるものです。
<ハース=バイオロイドのカード>
・ヴァイオレットレベル・クリアランス(Violet Level Clearance)[Snapshot(MWL2.2): Restricted]
1クリックで3金+4ドローというとんでもないアドバンテージを運んできてくれる任務です。
ただし即座にアクションフェイズが終了するため、何も考えないで使用すると大抵は手札上限をオーバーし、計画書で溢れかえってしまうなんてことになると思います。
使いこなすためには「ジンジャ・シティーグリッド(キタラサイクル)」で引いたアイスをすぐに出したり、今回の翻訳カードに含めた「サイバネティクス展示場」を使って手札上限を増やすなどの工夫が必要です。
とは言えハース=バイオロイドの優位性を高める1枚であることは間違いないと思います。任務でありながら「トラッシュコスト1」が付いている点がその証拠です。いつまでも手札に抱えておくと、僅か1金で捨てられてしまうので注意しましょう。
またこのカードと、今回のPDFに含めたコーポ中立の「ムンバ寺院」はSnapshot(MWL2.2)では同時使用制限対象です。Standard(MWL3.4b)では特に制限はありません。
・ジーブズモデル・バイオロイド(Jeeves Model Bioroid)
1ターン中に3回同じアクションにクリックを消費すると、1クリック増える面白い効果の資財です。
「3回同じアクション」とは具体的には「ドロー」「バンクから1金」「インストール(アイスと資財・計画書・強化が混ざっていても可)」「任務使用」をそれぞれ3回実行した場合や、一気に3クリック消費するアクションを使用した場合(ウィルスカウンターの破棄など)、2クリック消費する任務使用後に普通の任務を使った場合も該当します。
ただし、あるカードの効果で別のカードを使用した場合は、元のカードにクリックを消費したものとしてカウントされます。また例えば同じ資財や強化を3枚並べてそれらの効果を1回ずつ使った場合、別々のカードなので同じアクションとは見なされません。
使ってみると分かりますが、効果の発動機会は意外と多いです。特に「人造労働者」や「レッドレベルクリアランス(ダウンフォール)」など、他のクリックを増やすカードと併用するとかなり幅が広がります。分かりやすいところでは「人造労働者(クリック増)」→「計画書インストール」→「アドバンス3回」→(ジーブズの効果でクリック増)→「アドバンス1回」で4アドバンス要求のカードを即座に得点するパターンですが、他にも面白い使い道があると思いますので、是非色々試してみてください。
後述の「チーム・スポンサーシップ」もそうですが、インストールコストに対してトラッシュコストがとても高いことが、この資財の使いやすさを格段に高めています。
尚、カード名に「バイオロイド」を含むにも関わらず、サブタイプ「バイオロイド」は持っていません。
・チーム・スポンサーシップ(Team Sponsorship)
アーカイブからカードを回収する効果は、FFG時代も現在もその強力さ故に運営に注視されてきました。禁止対象に指定されているカードも複数存在します。
この資財はその効果を比較的確実に実行してくる1枚です。強みはなんと言ってもレゾコストの安さとトラッシュコストの高さです。またユニークカードでは無いので、3枚インストールしておけば3枚回収可という点も強力です。
発動のトリガーはコーポの得点であるため、軽めの計画書をテンポよく得点するデッキに向いています。特にアセットスパム(資財を横に並べるタイプのデッキ)では、必須級のカードと言っても良いでしょう。
またはそんなに構えなくとも、適当にインストールしておいて得点する直前にレゾし、アーカイブの「ラシーダ・ジャヒーム(キタラサイクル)」辺りを盤面に戻すだけでも十分元が取れますし、回収はアイスでも良いので「ヒッポ」などを積んだアイストラッシュ系のデッキのメタにもなり得ます。「ボーダーコントロール(マグヌムオプス)」を戻すのも嫌らしいですね。
特定のデッキタイプでは強力なエンジンとして機能し汎用性もそこそこ高く、尚且つ低コストでトラッシュされにくいという、随分とコーポに都合の良いカードに仕上がっています。
・フェアチャイルド3.0(Fairchild 3.0)
「バイオロイド系アイスで一番役立つのは?」という質問に対して、最も多くのハース愛好家が挙げるのがこのアイスではないでしょうか。
6コストながら強度が5あり、サブルーチンが3つ。その内容もカードトラッシュ(またはお金を払う)×2、ランの終了(またはブレインダメージ)と申し分の無いものです。
バイオロイドアイスだと「でも結局クリックで突破出来るんでしょ?」となりますが、このアイスに限っては「3クリック払うと3つブレイク」なので、1クリックずつ選んでブレイクできません。必ず3クリックまとめての支払いなので、ランナーからすると非常に嫌らしい。結局普通にアイスブレイカーを使ってお金で突破となると、コスト以上の働きをしてくれる事になります。
コードゲートで特別他に使いたいアイスが無ければ、3積みしてしまって問題ないレベルの1枚です。
尚、サブルーチンの上2つの効果はランナーに選択権がありますが、3つ目の効果の選択はコーポが行います。
<コーポの中立カード>
・先制行動(Preemptive Action)
かつてのコーポ最強資財「ジャクソン・ハワード」からアーカイブ3枚のデッキへの復帰効果だけを抜き出して、任務化したようなカードです。
アーカイブからカードを回収する効果が強いというお話は前述のとおりですが、このカードはそれを最も手軽に実現する1枚と言えましょう。
「ジャクソン・ハワード」と比べると「資財では無いのでランナーターンに使えない」「サブタイプ「最終」が付いているので戻した直後にサーチやドローなど出来ない」という点が劣りますが、それでも3枚戻せるだけでコーポの戦術の幅が広がり、R&Dの盗まれにくさはかなり上がるため、十分強力なカードと言えると思います。
キーカードを再利用する目的でも、手札事故で溢れた計画書を逃がす目的でも活躍してくれるでしょう。
使用後はゲームから除外となる点は忘れないようにしましょう。
・テック・スタートアップ(Tech Startup)
アーカイブから再利用する効果は強力ですが、デッキからサーチする効果もまたとても強力です。
このカードはターン開始時に自身を犠牲にし、特定の「資財」をサーチ、即座にインストールします。これにより素早く目的の盤面を作れるだけでなく、実質デッキを圧縮して回転効率を高める事が可能です。
他の資財との相性も良く、例えば前述の「チーム・スポンサーシップ」と組み合わせた場合、このカードで「チーム・スポンサーシップ」をサーチ+インストール。軽い計画書を得点してこのカードをアーカイブから盤面に戻し、次のターン開始時にトラッシュしてまた「チーム・スポンサーシップ」や別の資財をサーチ+インストールするといった具合です。
思い通りにデッキを操作する感覚は、カードゲームの醍醐味の1つと言えるのではないでしょうか。
・サンドバーグ(Sandburg)
所持金5クレジットごとに全てのアイスの強度が+1されるカードです。このサーバーだけではありません。すべてのサーバーのアイスです。またお金は支払う必要はありません。持っているだけで良いです。
ランナーはお金があればある程勝利に近付くのに対し、コーポはトレースやPsiゲームが絡まなければ一定額以上のお金はあまり意味がありません。ところがこのカードを出している間は、持ち金がそのままアイスの強度に反映されるので、お金でねじ伏せる事が出来ます。フレーバーテキストの通りです。
大会使用率はあまり高くありませんが、日本語環境ではアイスを厚く貼る「Glacier」タイプのデッキが比較的人気がある事、また知人でこのカードを使うのがとても上手い方が居てかなり可能性を感じたので、個人的にセレクトさせて貰いました。
・プリセック(Prisec)
アクセスするとランナーにダメージとタグを与える「待ち伏せ」系のカードです。
パッと見だと「罠!」に効果が劣る上、発動時に2金払う必要があるのでイマイチかなと見受けられますが、「強化」である上ユニークカードで無く、かつトラッシュコストが0では無いという点がこのカードを相当厄介な存在にしています。
主に得点サーバーに計画書と一緒に複数枚置くことで、タグとダメージと支払い(トラッシュコスト)というランナーにとっての3重苦を一気に強制するという役割を担います。
絶対に行かなきゃいけないけど、行ったらボコられる事は分かっている。支払いしないといつまでもその状態が続く。そんな悪夢のような状況を作り出す恐ろしい1枚です。
「Order and Chaos」収録のウェイランドのID「Argus Security」の相棒としてよく使われているようです。
・マクロファージ(Macrophage)
パージ、トラッシュ、リムーブと3段階でウィルスを徹底的にやっつける、アンチウィルスカードの中でも最も過激な効果のサブルーチンを持ちます。
アイスであるためブレイクされてしまえばそれまでですが、レゾコスト3にして強度7はなかなかの脅威となるでしょう。クマーロ戦は勿論、対「アウマクア(レッドサンドサイクル)」のリーサルウェポンとして潜ませておくと一泡吹かせられるかもしれません。
とは言え、まともに役立つのはランナーのデッキにウイルスが採用されている場合だけなので、あくまでメタカードの域は出ません。一応気休め程度にトレース1の「ランの終了」も付いていますが、対面デッキが噛み合わない(明らかなノーウィルスの)時は「出さない」という選択肢もあるやもしれません。
尚「アップライジング」で登場する、とあるカードとのシナジーがなかなかエグいのですが、そこはいずれのお楽しみという事で。
■おわりに
いかがでしたでしょうか。
まだまだご紹介したいカードたくさんありすぎて選びきれないのですが、少しずつでも遊び方の幅が広がれば幸いです。
次回はFFGの同データパックから、アナーク、クリミナル、ジンテキ、NBN、ウェイランドの予定です。
また「はじめてのネットランナー」の後編も並行して書いていますので、ご興味のある方はまたそちらもよろしくお願いいたします。
ではでは、ここまで読んで頂きありがとうございました。
Always Be Running !!!
ごん太
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トレーディングカードゲームの様な多彩なカード効果と、ドキドキの読み合いが合体した唯一無二のカードゲーム。ようこそ「アンドロイド:ネットランナー」の世界へ。
このエントリーは「アンドロイド:ネットランナー 第2版」をはじめて遊ぶ方のために一部ルールを抜粋し、自分なりの解説を加えたガイド的な読み物です。
内容物の説明や用語集、詳細なルールなどの多くは省略しています。この記事を読んで疑問が生じた場合は改めて付属のルールブック「ビギナーズガイド」を参照してください。
尚、既に何度かプレイされているという方はメニューのcategoriesから「アンドロイド:ネットランナー」をクリックし、よかったら他の記事ものぞいて行ってみてください。戦略やデッキ構築について書いています。
ネットランナーは30〜60分を想定した2人専用のゲームですが、プレイ感が独特なため、一般のボードゲームに比べ慣れるまではプレイ時間を要します。初回はインスト時間などを除き、1〜2時間程度は見ておいて下さい。
今回の記事では日本語版の「アンドロイド:ネットランナー 第2版」の使用を前提としています。「第1版」用としても使えなくはないと思いますが、収録カードの内容や一部コンポーネントに関して異なりますのでご了承ください。
■みんな大好きサイバーパンクだよ
ルール説明の前に少しだけゲームの世界観を説明しましょう。
ネットランナーはアメリカンゲームらしく、とてもフレーバーが大事にされています。設定が素晴らしいだけでなく、世界観を理解する事でルールやカードの効果をスムーズに理解出来るようになると思います。
アンドロイドネットランナーは「サイバーパンク」と呼ばれる近未来のディストピア社会を描いたSFがテーマとなっています。
情報の多くは電子化され、街には人間の代替労働力としてクローン体や「バイオロイド」と呼ばれるアンドロイドが溢れています。空はビルとネオンサインとに囲まれ、その間を縫うようにホバーカーが行き交うでしょう。
舞台となるのは「ニューアンゼルス」という南アメリカに築かれた都市です。街の中心地には「豆の木」と呼ばれる軌道エレベーターがそびえたち、それを建設した「ウェイランド・コンソーシアム」という巨大企業が、他の数社と共に都市運営の実権を握っています。彼らは人々に快適な暮らしと発展を約束しつつも、裏では黒い噂が絶えません。
それら巨大企業は俗に「メガコーポ」と呼ばれています。そうです。このゲームで一方のプレイヤーが担当するのが、この「メガコーポ(略して「コーポ」)」なのです。
対してもう一方のプレイヤーが担当する「ランナー」は、コーポから「計画書」と呼ばれる重要情報を盗み出す事を目的とするハッカーです。
彼らは様々な理由でコーポから「計画書」を盗もうとしています。それはコーポに対する告発やテロの意味であったり、己の技術の誇示や腕試しであったり、はたまた単なる金目当ての犯罪であるかもしれません。
巨大企業「コーポ」と凄腕ハッカー「ランナー」のネットワーク上での、或いは現実世界に及ぶ戦いを描いたのが「アンドロイド:ネットランナー」なのです。
■セットアップしよう
まずはコンポーネントを確認してみましょう。
ネットランナーは「ランナー」と「コーポ」という2陣営に分かれて対戦する2人用ゲームです。
ランナーとコーポはそれぞれ40枚以上のデッキを用意し、トレーディングカードゲームの様に手札を引いてカードを出しゲームを進めます。
「アンドロイド:ネットランナー 第2版」には初回プレイに向いたおすすめデッキが用意されています。
今回はそのおすすめデッキを使用しましょう。「ビギナーズガイド」の4Pを参照し、箱からカードを抜き出して下さい。裏面赤がランナー、青がコーポのカードです。
このとき1点誤植があるので気を付けて下さい。「HQインターフェース」というカードは2枚ではなく1枚が正です。
カードを抜きだしたら、コーポ/ランナーそれぞれIDカード(コーポ「ウェイランドコンソーシアム『W』、ランナー「ガブリエル・サンチャゴ」)を除いて束ね「デッキ」として利き手側に配置します。IDカードだけは別にして、そのやや内側に置いておきましょう。
続いて「コーポ/ランナーのアクション」一覧のカードと、6角形のマスが書かれたクリックカウンターの台紙カード(コーポ3マス、ランナー4マス)も箱から出して自分のプレイエリアの脇に置きます。
クレジットトークン(1金、5金)は共通の「バンク」として、互いの手の届く位置にまとめておいて下さい。
両者、ゲーム開始時の所持金1クレジット×5枚をバンクから受け取り、金額が分かるように並べます。「1」と書かれている面を上にしましょう。
6角形の「クリックカウンター」をコーポは3つ、ランナーは4つ受け取り、明るい色の面を上にして先程出した台紙カードの上に並べます。
それ以外のトークン類とカードは今回のゲームでは使わないので箱に戻しましょう。
下図の様な感じにセット出来ていればパーフェクトです。
<ランナー>
<コーポ>
ゲームをはじめるための下準備はできました。まずは盤面の見方から確認しましょう。
■盤面の見方
このゲームの主な舞台はコーポ側の盤面です。コーポがカードを置いて盤面が徐々に構築されていきますが、ランナーもコーポ側の盤面に注目することになります。
そして盤面上のカードの置き場所には、それぞれ特徴的な名前が付けられています。
それらはある程度覚えて慣れた方がゲームがスムーズに進むかもしれません。カードやルールブックをはじめとしたあらゆる箇所にそれらの名前が使われているからです。
「用語を覚えて下さい」と書くと「出た!噂どおりの専門用語のオンパレードか」と思う方もいるでしょうが、そんなに構えないで下さい。こわくないです。
これから登場する幾つかのゲーム内の用語は、他のゲームで言う「生産施設」や「労働者」と変わりありません。
例えば「生産施設」が建物の描かれた紙のタイルを指し、「労働者」がカラフルな木のコマを指すのだとすぐにピンと来るのなら、それはあなたが似たようなゲームを何度かプレイした事があるからです。
対してネットランナーは独自性の強いゲームなので、あなたは似たようなゲームをプレイした事がないと思います。はじめての体験、はじめての言葉、はじめての世界に出会うのではないでしょうか。
しかし(システムやフレーバーの好みは別として)、そもそもゲームではじめての体験やはじめての言葉に出会うのが嫌な人はボードゲームやカードゲームを好んでプレイしないと思うので、僕はネットランナーの用語やシステムは大した壁にはならないと信じています。
従って、このゲームを数回プレイした後であるならきっと、カードを表にする行為は「レゾ」としか呼べなくなるし、山札は「R&D」にしか見えなくなるのではないでしょうか。
尚、実際にゲーム中で使われる頻出語は10個程度です。具体的には「クリック」「インストール」「レゾ」「アイス」「アイスブレイカー」「ラン」「アドバンス」、後述のサーバー名4つくらいでしょうか。それらはプレイしている内に世界観と共に勝手に覚えますので、はじめからマスターする必要はありません。ルールブックの情報洪水に飲み込まれないようにしましょう。
ちなみにどちらかのプレイヤーがルールに精通しているなら、全く覚えなくても初回は遊ぶことが出来ると思います。
余談が過ぎました。では、盤面の説明に戻ります。
コーポの盤面は、大企業のネットワーク図のようなものだと思ってください。簡単に言うと、情報を貯めておくデカいパソコンみたいなものが複数あって、それらが表からは分からないケーブルのようなもので繋がっていると思っていただければと思います。
コーポはここで電子データである「計画書」を守って育て、ランナーはネットワークを介して外部から盗みに入ります。計画書を含むカードが置かれている場所はデカいパソコンで「サーバー」と呼びます。サーバーは大きく中央サーバー(本社)と、遠隔サーバー(支社)に分かれます。
<コーポの盤面>
図のようにIDカード、山札、捨て札が中央サーバー、それ以外が遠隔サーバーにあたります。それぞれの上部に横向きに置かれているのは「アイス」と呼ばれる防護壁です。
中央サーバーはさらにそれぞれ名前がついています。ここでそれぞれの名前をご紹介しますが、少しフレーバー的な補足をさせて下さい。
「ウェイランド・コンソーシアム」のIDカードの置かれた場所がありますね。ここは本社ビルの、特に会議室を指します。会社のCEOはここでプロジェクト推進やセキュリティに関する決定を下します。
その様な場所は一般的に「HQ(ヘッドクォーター)」とよばれる事があります。会社のCEOは様々な「手札」を握っています。企業の顔であり、CEOが手札とその扱いを決定する場所です。
従って「HQ」は会社の司令塔であり、ゲーム的にはコーポの手札につながっている、と覚えておいてください。
<HQ>
そしてコーポにとって一番重要なのは、プロジェクトの元でありゲーム内では得点となる「計画書」です。GOの下った計画書は支社に移され、そこで計画が推進されます。本社では進めません。支社で計画書などを保管し開発を進める場所は「遠隔サーバー」と呼ばれます。「遠隔サーバー」は計画書を置く場所、と覚えて下さい。また計画の進み具合は「アドバンストークン」と呼ばれる無地のトークン(1クレジットの裏面)で示されます。
<遠隔サーバー>
話は少し戻りますが「計画書」には立案者が必要です。社長が一人でプロジェクトを生み出すわけではありません。会社規模ともなると、それを部署として有しているのが一般的でしょう。
研究・企画を行うを部署を「R&D(リサーチ&デベロップ)」と呼ぶことがあります。ゲームでは山札に相当します。ここから様々な計画書などのアイデアがHQに送り込まれるのです。
「R&D」は計画書等を立案しているところでゲーム的には山札を示す、と覚えておいてください。
<R&D>
最後に、実行し終わった資財やボツになった書類などを保管しておく場所があります。いわゆる資料室です。英語で言うなら「アーカイブ」です。会社資産はたとえ破棄されたものでもその辺に放置しておくわけにはいかないので、必ずこの「アーカイブ」に保管されます。「アーカイブ」は過去の資料の保管場所でゲーム的には捨て札を示す、と覚えておいて下さい。
<アーカイブ>
各サーバーは機密書類の保管場所なので、ちゃんとした企業であるコーポはセキュリティもちゃんとしています。厄介なランナーへの対策として「アイス」と呼ばれる、侵入者を阻む電子的な防護壁をネットワーク上に敷いています。ゲーム的には前述のとおり各サーバーの上に横向きに配置されているカードがそれです。
コーポについてはひとまずこれくらい分かっていれば大丈夫でしょう。
一方、ランナー側の盤面には特筆すべきことはありません。
場は「山札」「捨て札」「場に出したカード」くらいの区別しかありません。ルールブックでは「プログラム」「ハードウェア」「リソース」の置き場が指定されていますが、置き方はゲームに影響しません。なんとなく同じ種類をまとめて置くくらいで良いでしょう。またそれぞれが何を示しどんな効果を持つかは、プレイしながら知れば十分です。
ランナーの場合、コンピュータのメモリ管理領域の名前から取って山札を「スタック」、捨て札を「ヒープ」と呼びます。手札は「グリップ」盤面は「リグ」です。
これらの名前はコーポ側に比べて重要度が低いです。それよりランナーもコーポの盤面を先に覚えましょう。
<ランナーの盤面>
コーポの盤面の見方が分かれば、このゲームの半分を理解したことになるでしょう。
ネットランナーはランナーだけがコーポのカードのオモテ面を見るという事態がたびたび発生します。先に挙げた10個程度の単語はどちらかというと覚えた方が良いものですが、初回プレイではルールブックを開いたままにしておいたり、「R&D」「HQ」「アーカイブ」と書かれた紙を置いておくなどでフォローするのも良いと思います。
■勝利条件
ランナーとコーポ、両陣営の勝利条件は共通して「計画ポイントを7点以上獲得する」事です。
「計画ポイント」とは一般的なボードゲームの勝利点に相当します。「計画書」という種類のカードを獲得する事で計画ポイントを得ます。
入門デッキには計画ポイント「2点」の計画書と「3点」の計画書が存在します。得点はカードの真ん中左に書かれています。枚数は2点のカードの方が多いという認識で今は十分でしょう。
「7点」以上で勝利で、得点カードが「2点」または「3点」という事は、3枚ないし4枚獲得すれば勝ちという事になりますね。
<7点分の計画書の例>
ところでランナーとコーポ、どちらも計画書を7点分集める事が目的ですが、獲得に至るプロセスが少し異なります。
まずはそれぞれの得点方法=勝ち方を覚えてください。
・コーポの得点方法
実は勝利点である「計画書」カードはコーポのデッキの中に含まれています。コーポの事業計画なので当たり前といえば当たり前なのですが、ランナーのデッキには存在しません。場にはじめから出ているわけでもありません。
コーポは計画書カードを遠隔サーバーに「インストール」し、一定数「アドバンス」することで得点出来ます。
具体的には、盤面にカードを裏向きに置いて(インストール)、手持ちのお金トークンを白い面を上にして乗せます(アドバンス)。
「アドバンス」で乗せたトークンの数が、計画書カードの右上の数字に達したら表にして得点出来ます。
<コーポの得点方法>
「計画書」とは文字通り、コーポの事業計画の設計図のようなものです。設計図はそのままでは売り物にはならないので、コストを投じて実行に移し製品化します。
計画書がインストールされる場所が前述の「遠隔サーバー」であり、コストを投じて製品化することが「アドバンス」なのです。
尚、遠隔サーバーは並行していくつでも作ることが出来ます。どちらかというと計画書などのカードを置いた場所が「遠隔サーバー」になる。と言うのが正しいでしょうか。アイスしか置かれていない空のサーバーも遠隔サーバーと見なされます。
繰り返します。遠隔サーバーに「計画書」を裏向きにインストールし、何回か「アドバンス」して得点してください。
本来コーポがやるべき行動はこれだけです。それ以外のアクションは全て得点行動の補助に過ぎません。覚えておいてください。
・ランナーの得点方法
ランナーはコーポのような回りくどい事をする必要はありません。
非合法なルートを使って、計画書をそのままお金に換える方法を知っているからです。もしくは計画書を盗んでコーポに損害を出す事や、コーポのセキュリティを突破すること自体を目的としているのかもしれません。
いずれにせよ、各サーバーに存在する計画書を「盗む」だけで点になります。上に何か乗せるという事はしません。
計画書を盗むために行うのが「ラン」と呼ばれるハッキング行為です。
「ラン」を行う際は、盗みに入るサーバーを手で指し示してください。「盗む」とはサーバーのカードを1枚表にして、計画書だったら獲得する事を指します。そして盗んだ計画書に書かれている点数がそのまま得点となります。
ランの手順については後述します。
<ランナーの得点方法>
もちろん、コーポがランナーの盗みをやすやすと見過ごすとは思えません。そのために「アイス」と呼ばれるネットワーク上の防護壁を敷いて対抗してきます。コーポのサーバーの上の横向きカードがそれです。アイスによってランナーのランは中断される事があります。
このように「ラン」を行って計画書を盗むことがランナーの本分です。それ以外のアクションは全て得点行動の補助に過ぎません。覚えておいてください。
※ランについてはあとで詳しく書いています。
■ゲームの進め方
得点する方法が何となくわかったところで、ゲームの流れを見ていきましょう。
このゲームは「ターン制」および「アクションポイント制」を採用しています。片方のプレイヤーが規定のアクション数(ランナー4回、コーポ3回)を実行したらターンがもう一方に移り…を繰り返し、先に勝利条件を満たした方が勝ちです。
勝利条件は前述のとおり「計画ポイントを7点獲得する」ことです。
アクション数(このゲームではクリックと呼びます)は「クリックカウンター」と呼ばれる6角形のトークンで示され、裏返す事で使用したクリックをカウントします。(クリックを消費しない行動も存在します。)
コーポ、ランナーはそれぞれ独自のデッキを持ちます。そしてデッキからアクションなどによってカードを引いてゲームを進めます。コーポのデッキには「計画書」と呼ばれる勝利点カードが含まれ、これを両者が取り合うことになります。
デッキにはその「計画書」のほかに、取り合いの手助けとなるカードがたくさん含まれています。
コーポはカードを盤面に裏向きに配置し、秘密裏に計画を進めます。自身の裏向きカードの内容はいつでも確認することが出来ます。ランナーは手札と山札以外に秘匿する情報は無いので、場には常に表向きにカードを出します。
1つのターンは各フェイズに分かれています。フェイズごとにやるべきことを見てみましょう。
※注:「ビギナーズ・ガイド」と表記内容に多少の差異があります。初回ゲームのための簡易的な表記とお考えください。
1.ドローフェイズ(ターン開始時処理)
クリックカウンターを全て表向きにします。
続いて、もしも盤面のカードに「ターン開始時、〜」と書かれているものがある場合、その処理をここで行います。(「PADキャンペーン」など)
その後で、コーポのターンの場合は1枚カードを引きます。このドローは強制です。
「強制ドロー」と言いながらカードを引くと、引き忘れが減ると思います。(「俺のターン、ドロー!」でも構いません)
滅多にない状況ですが、山札が0枚でカードを引けなければ即座にコーポは敗北となります。
ランナーのターンの場合はここでの自動ドローはありません。次のアクションフェイズ中にクリックを支払ってドローしてください。
<クリックカウンターを全て表にする。コーポのターンのみ強制1ドロー>
2.アクションフェイズ
このゲームのメインのフェイズです。
ランナーは4回、コーポは3回のアクションを実行します。同じアクションを複数回実行しても構いません。順番も任意です。アクション実行時にクリックカウンターを1つ裏返して下さい。
アクションの内容については後述します。アクションのパスは出来ません。必ず使い切ってください。
また、資財の「レゾ」などクリックを必要としないアクションを実行する場合、このフェイズ中に好きな順で(可能ならば)何度でも実行できます。
<クリックカウンターを裏返して、アクションを実行>
3.ディスカードフェイズ(ターン終了時処理)
アクションを全て実行し終わったら、「ターン終了」を宣言します。
手札の枚数が上限である5枚を超過している場合は、ここで5枚になるまで捨て札します。
ランナーの場合は表向きに捨てます。コーポの場合は、捨てるカードを裏向きかつ横向きの状態で捨てましょう。ランナーに公開していないカードはたとえ捨て札であっても裏向きなのです。捨て札である「アーカイブ」にもランが可能だからです。
尚、この上限超過時の捨て札処理は自身のディスカードフェイズでしか発生しません。それ以外(アクションフェイズ中など)では手札は何枚持っていようと構いません。
<手札が5枚を超える場合は捨てる。コーポのみ裏向き>
■コーポのアクションについて
では、アクションフェイズ内にコーポが実行できるアクションについて1つずつ説明します。カッコ内は裏返すクリックカウンターの数です。
1.インストールする(1クリック)
インストールとは手札からカードを1枚を選び、盤面に置くことを指します。アイス以外のカードは各遠隔サーバー内に縦向きに、アイスはサーバーの上に守るように横向きに置きます。いずれも裏向きです。下の説明と図も参考にしてください。
・サーバー内(アイス以外のカード)の場合
コストは発生しません。(あとでレゾするときにコストがかかります。)
各遠隔サーバー内には1枚しかカードをインストールできません。2枚目をインストールすると1枚目が強制トラッシュされます。
ただし、「強化」という種類のカードに限り、他のカードと横に並べて1つの遠隔サーバー内に何枚でもインストールできます。(※「強化」は今回のゲームでは登場しません。)
<アイス以外の場合:置くだけなら無料>
・サーバーを守る位置(アイス)の場合
アイスの場合、1枚目はノーコストですが、2枚目は1クレジット、3枚目は2クレジット…という様に、「アイスを置くサーバーに既に配置されている枚数」分のコストを支払う必要があります。下図のような状況だと2クレジットかかります。
尚、複数アイスを置くときは下から上に向かって順に置いていきます。途中に差し込んだり、一番下に入れたりという事は出来ません。あまり行いませんが、今あるアイスを好きな枚数捨てた上で一番上に置く事は出来ます(インストールコストはアイスが減った状態でカウント)。元の場所にあったアイスはトラッシュされます。トラッシュされたアイスは裏表を変えずにアーカイブに置きます。
<アイスの場合:そのサーバーに他にアイスがあるならその[枚数分]のコストを払う>
2.アドバンスする(1クリック)
計画を推進する事を示します。裏向きの計画書の上に自分の1クレジットトークン1枚を裏返して乗せます。以降これはアドバンストークンと呼びます。
<アドバンス>
1クリック消費で1回アドバンス出来ます。「1」クレジットトークンを裏返して乗せるので、1クレジットを消費する事になります。
尚、カードに但し書きが無い限りは計画書以外のカードをアドバンスすることはできません。
計画書の上のアドバンストークンーがカード右上に書かれている数に達したら、すぐに表に返して得点できます。表にするのに別途クリック消費などは不要です。カードをランナーに見せ、上に乗っているアドバンストークンを共通のバンクに戻し、計画書を自分の近くに表にして置いておきます。
この時に獲得した計画書に「〜得点した時」という効果が書かれている場合、ただちに効果を発動します。
3.カードをレゾする(クリックを消費しません!)
レゾとはコーポがカードを裏から表にする行動全般を指します。コーポのデッキには「計画書」以外に幾つかの種類のカードが含まれ、コーポはそれらのカードを裏向きにインストールしますが、置いただけでは意味がありません。「レゾ(表にする)」事でようやく効果を発動します。
「資材」「強化」と書かれたカードは自主的にレゾ出来ます。カードを表にして左上に書かれている数字分のクレジットをバンクに支払ってください。支払うのはお金だけでクリックは消費しません。
このアクションはクリックを使わないため、メインフェイズ中だけでなく、ドローフェイズ(ターン開始時処理直前)や、ランナーのターン中にも実行可能です。
<資財はコストを払いレゾして使用>
一方「アイス」はランナーがランを行ってそのアイスにエンカウントした(=ぶつかった)時のみレゾできます(コーポのターン中にレゾ出来ません)。
「計画書」は2で説明した通り、アドバンストークンが計画書カードの要求数に達した時だけレゾして得点出来ます。それ以外に計画書を自主的に表にする方法はありません。
ここで少し実際の流れを見てみましょう。
とあるターンで、コーポは遠隔サーバーに計画書カード「私設保安部隊」を裏向きにインストールしました(1クリック)。
さらにこのままではランナーに簡単に盗まれてしまうので、計画書を守るようにアイス「アイスウォール」をインストールしました。(1クリック)
最後に「私設保安部隊」を1回アドバンスします(1クリック)。
3クリック消費したので「ターンエンド」を宣言して、ターンを終了します。
・・・
ランナーターンを経て、再度自分のターンになりました。
「私設保安部隊」を3回アドバンスして(1×3クリック)、カードに合計4つのアドバンストークンを乗せました。「私設保安部隊」のアドバンス要求は4なので、これで得点可能です。カードを表にして自分の得点エリアに置きます。乗っているトークンはバンクに戻しましょう。
4.任務を使用する(1クリック)
「任務」はコーポの使い切りのカードです。インストールは出来ません。左上に書かれたコストを支払い、すぐに効果を発動します。効果を解決したら、カードはトラッシュされ表向きにアーカイブに置かれます。
5.カードを引く(1クリック)
R&Dからカードを1枚引きます。コーポはターン開始時に強制ドローがありますが、供給が追い付かないときや欲しいカードが引けないときはこのアクションでドローしましょう。もちろんクリック数が許す限りは何枚でもドローすることができます。
6.1クレジットを得る(1クリック)
バンクから1クレジットを取って自分の持ち金に加えます。もちろんクリック数が許す限りは何回でも貰えます。
ただし比較的効率の悪いアクションのため、お金が無くてどうしようも無い場合や、クリックが余ってしまった場合などに限って実行するのが良いでしょう。
7.場のカード能力を使用する(カードにより消費クリックが異なる)
カードテキストに「〇:××××××××」のようにコロン「:」を挟んで左側にコスト、右側に効果が書かれている場合があります。
これらのカードがレゾされているときは、その効果をアクションとして使うことが出来ます。必要なコストや消費するクリックはカードを参照してください。
例えば「メランジュ採掘社」というカードを見てみましょう。
このカードはコロンの左側にクリックマーク3つが書かれています。これは「3クリックを消費する」事で、「7クレジットを得る」事を示しています。
時計のような円形のマークはクリック、結晶のような細い菱形のマークはクレジットを示します。
このほかに「ウィルスカウンターを破棄(3クリック)」というアクションが存在しますが、今回のゲームでは使いません。
基本的には「1.インストール」でアイスや計画書を場に出し、「2.アドバンスする」で得点します。その補助として「資材」のカードを「3.レゾする」または「4.任務を使用する」ことで、必要な資金を集めます。ただしコーポはお金さえあれば強くなるわけではありません。あまりにお金集めに注力しすぎると手が遅れるので注意しましょう。
計画書やアイスを引かないと得点できないため、「5.カードを1枚引く」で手札を増やしましょう。「6.1クレジットを得る」はあまり積極的に実行すべきアクションではありません。お金が無くてどうしようもない事態はできるだけ事前に回避しましょう。
■ランナーのアクションについて
次にランナーが選択できるアクションについて1つずつ説明します。
1.ランをする(1クリック)
ランナーが計画書を盗むための行動です。
サーバーを指定し、そのサーバーを守るアイスがあれば対処を行います。アイスを突破してサーバー内にたどり着いたら、アクセス(カードを見る)を行い、運が良ければ計画書を盗みます。詳しい手順は後述します。
このゲームではランを制する者がランナーを制すると言っても過言ではありません。
2.インストールする(1クリック)
「イベント」以外のすべてのカードは場に出すことで効果を発揮します。インストールする際はカードの左上に書かれているコスト分のクレジットをバンクに支払って、表向きに場に出します。ランナーのカードはコーポと異なり全て表向きに置きます。
インストールするのは主に「アイスブレイカー」と呼ばれる「アイス」を突破するためのツールであったり、お金を得るカードであったりします。
「プログラム」のインストールには「MU」という値による制限があります。詳しくは後述のカード説明の「プログラム」の項を参照してください。
その他の一部のカードにもインストールの制限などありますが、今回のゲームでは気にしなくても大丈夫です。気になる方は「ビギナーズガイド」などを参照してみて下さい。
3.イベントを使用する(1クリック)
「イベント」はランナーの使い切りのカードです。左上に書かれたコストを支払い、すぐに効果を発動します。効果を解決したらトラッシュします。
4.カードを引く(1クリック)
山札からカードを1枚引きます。ランナーはターン開始時のドローが無いので、このアクションで手札を増やす必要があります。積極的にドローしましょう。尚、山札にカードが無くなったらそれ以降はカードを引けません。捨て札が勝手に山に戻ったりなどはしないので注意しましょう。
5.1クレジットを得る(1クリック)
バンクから1クレジットを取って自分の持ち金に加えます。
コーポ同様効率の悪いアクションのため、お金が無くてどうしようも無い場合や、クリックが余ってしまった場合などに限って実行するのが良いでしょう。
6.場のカード能力を使用する(カードにより消費クリックが異なる)
コーポ同様に、カードに「〇:××××××××」のようにコロン「:」を挟んで左側にコスト、右側に効果が書かれている場合はその能力をアクションとして使用できます。
例えば、「アーミテージ式コード破壊」というカードを見てみましょう。
このカードは「1クリックを消費」してこのカードの上から「2クレジットを得る」事を示しています。
能力は指定が無ければ何度でも使えるため、4クリック使えば8クレジットが手に入る事になります。「5.1クレジットを得る」を4回実行した場合に比べて2倍近い儲けになります。
このほかに「タグを取り除く(1クリック+2クレジット)」というアクションが存在しますが、今回のゲームでは使いません。
ランナーは何より「1.ランをする」ことが大事です。しかしただランを繰り返すだけでは、ほどなくアイスに阻まれて通行不可となります。その事態に備えてやるべきは「お金をためる」ことと「アイスの突破に必要なカードをそろえる」ことです。
ただし「お金をためる」を単純に1アクションで1金ずつ取り続けるととても効率が悪いので、お金の出るカードを利用して効率よく稼ぐことが求められます。そのためにはやはりカードを引くことが必要です。
つまりはランと並行して「4.カードを引く」を行って、「お金の出るカード」を引きに行きます。お金がたまってきたなら今度は「アイスブレイカー」を引きましょう。その間も出来ればランの手は緩めない方が良いでしょう。
お金が潤沢で、アイスブレイカーも揃っていればランナーは負けません。しかし、その間にコーポも得点するので時間との勝負になります。ランを行ってコーポにプレッシャーをかけたりお金を使わせながら、並行してカードを引いて、必要なものだけを盤面に並べましょう。
■ランの手順について
ここでこのゲームの肝になる「ラン」の処理について、順を追って説明します。前述のとおり「ラン」はランナーが得点するための重要な攻撃であり、コーポにとっては最も留意すべき防御ポイントです。このゲームの面白さの半分以上は「ラン」に集約されていると言っても過言ではないと思います。
これが分かればネットランナーのルールは覚えたも同然です。もう少しだけがんばりましょう。
ランの手順は一見ややこしいですが、1回やれば分かると思います。
(1).ランナーがランを宣言する
ランナーはクリックカウンターを1つ裏返し「〇〇にランをします。」と宣言します。「〇〇」は「R&D」「HQ」「アーカイブ」「遠隔サーバー」のいずれかです。
そして、以下の図のように片手をまっすぐ伸ばしてランするサーバーを示しましょう。
ランを行ったサーバーにアイスが無ければ(6)へ飛びます。アイスがあるなら(2)へ進みます。
(2).コーポが裏向きアイスをレゾするか否か選択する
ラン対象のサーバーの一番外側に裏向きのアイスが存在する場合、コーポはそれをレゾするか選択します。もしお金が足りなくてレゾできない場合でも、それをわざわざ言う必要はありません。単に「レゾしません。」と言いましょう。
レゾする場合は、カードを表向きにして左上に書かれているコスト(お金)をバンクに払います。そして(3)へ進んでください。
レゾしなかった場合、アイスは裏向きのままスルーされます。(5)へ進んでください。
以前のターンなどで既にレゾされているなら、自動的に(3)へ進みます。
(3).ランナーがサブルーチンをブレイクする
次はランナーの行動です(クリックは消費しません)。アイスを突破するために「アイスブレイカー」を使用します。
自分の盤面にある「アイスブレイカー」のカードに注目してください。ブレイクできるサブタイプ(アイスの種類:バリアorコードゲートorセントリー)がアイスと一致しているものがあるか見比べましょう(下図参照)。該当するアイスブレイカーが場に無い場合は(4)に進みます。
一致していたら、そのアイスブレイカーを使ってサブルーチンをブレイク(=効果を防ぐ)出来ます。
サブルーチンというのはアイスに書かれている矢印マーク1項目分の効果のことです。
アイスブレイカーの強度(左下の数値)と、アイスの強度(左下の数値)を見比べましょう。アイスブレイカーの数値の方が低い場合は、ランナーはお金を払って強度を同数以上になるまで上げる必要があります。何金払うと幾ら上がるかはアイスブレイカーに書かれています。尚、強度上げは何度でも行えます。
アイスブレイカーの強度がアイスの強度以上になったら、更にお金を払って「〇〇のサブルーチンをブレイクする」を実行しましょう。ブレイクとはサブルーチンの効果を一時的に防ぐことです。アイスを捨て札にしたり、今後ずっと無効化したりという事はありません。
幾ら払えば何個のサブルーチンをブレイクできるかはカードに書かれています。「2つまでブレイクする」などと書かれている場合は記述通りですが、数字が省略されている場合、1回の支払いにつき1つブレイク出来ます。またブレイクは何度でも行えます。
実際のプレイでは、まとめて「〇〇(アイスブレイカーの名前)を使って、サブルーチン2つを全てブレイクします。強度上げに〇金、ブレイクが2回で〇金を払います。」のように発言し、必要なお金を全てバンクに支払います。
ランナーがお金が払えない場合、または払いたくない場合、そもそもブレイク出来るアイスブレイカーが盤面に無い場合などは「ブレイクしない」事を選べます。またブレイクしたいサブルーチンだけを選んでブレイクする事も出来ます。
(4).ブレイクされていなければ、コーポがサブルーチンを解決する
コーポはブレイクされなかったサブルーチンを上から順番に強制的に実行します。もし途中に「ランの終了」があった場合、そこで効果はストップしてランが終了します。以降のサブルーチン、次以降のアイスなどは全て無視します。
(5).ランが終了していなければ、ランナーはそのアイスを通過
サブルーチンを全て解決するか、ブレイクされた、またはそもそもアイスがレゾされていない場合、アイスを通過します。
通過はアイスをブレイクしたかどうかは問いません。たとえ全てのサブルーチンが発動したとしても「ランの終了」が無ければその先へ進みます。
複数のアイスに守られている場合、続けて1つ内側のアイスにエンカウントします。(2)からの手順で同じ様に処理してください。このとき、アイスブレイカーの強度は元に戻ります。
ただし、ランナーはここでランをやめても構いません(2つ目以降のアイスの手前で選択します。コーポは次のアイスをレゾする前にランナーに「次のアイスに進みますか?」と聞いてください)。
アイスがもうない場合、(6)へ進みます。
(6).カードにアクセスする
アイスがを全て通過したか、そもそもアイスがなければ「ラン成功」します。そして、サーバー内にカードがある場合にアクセス(=カードを見る)を行います。
このとき、ランを行ったサーバーがどこかによって処理が異なります。
[R&Dの場合]
コーポが1番上のカードをめくってランナーにのみ見せます(インディアンポーカーの要領)。
ランナーはカードを見たら「盗む」「トラッシュする」「何もしない」のいずれかを発言します。
「盗む」は見たカードが計画書だった場合です。カードを受け取り、ランナーの得点エリア(てきとうな場所)に置きます。
「トラッシュする」はカードの右下に「移動するゴミ箱マーク」が書かれている場合です。ランナーがマークの中の数字の分のお金を払い、コーポはアーカイブに表向きに捨てます。尚、「盗む」は強制ですが、「トラッシュする」は任意です。
「何もしない」は上記の「トラッシュする」をあえてやらなかった場合、または計画書でもなく、ゴミ箱マークもなかった場合です。そのときも「何もできない」ではなく、必ず「何もしない」と言ってください。
何もしなかったカードは、デッキの1番上に戻します。(アクセス枚数が2枚以上の場合は戻さずに、2枚目を見せて同様に処理し、最後にまとめて同じ順番で戻します。)
[HQの場合]
コーポは手札を広げて提示し、そこからランナーが1枚抜き取ります(ババ抜きの要領)。
ランナーはカードを見て、「盗む」「トラッシュする」「何もしない」のいずれかを発言します。以降の処理はR&Dと同様です。
何もしなかった場合はコーポにカードを返します(手札に戻る)。
アクセス枚数が2枚以上の場合、コーポにカードを返さずに1枚目をランナーが持った状態で2枚目を抜きます。
[アーカイブの場合]
コーポは裏向きのアーカイブのカードを全て表にします。その後ランナーが1枚ずつ指定して全てに強制的にアクセスします。
アーカイブのカードは既にトラッシュ済みのため、基本的には盗むか何もしないかだけです。
尚、表にしたアーカイブのカードは裏に戻りません。
[遠隔サーバーの場合]
コーポはカードを表にして見せます。以降の「盗む」「トラッシュする」「何もしない」処理はR&Dと同様です。
今回のゲームでは発生しませんが、もしサーバー内に複数枚のカードが置かれている場合、ランナーがどれにアクセスするか決めてコーポが1枚表にして処理、次にアクセスするカードを決めて…、と1枚ずつ選択と処理を行います。すべてのカードへのアクセスは強制です。
何もしなかったカードの表裏は元の向きのままで元の場所に戻ります。(裏だった場合は裏向きのまま戻ります。)
(7).ランを終了する
アイスのサブルーチンによって、または特定のタイミングで自主的にランを中止した場合、もしくはカードへのアクセスが終わるとランは終了となります。
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尚、ランはアイスブレイカーの有無、コーポ側のアイスの有無に関わらず実行可能です。丸腰でも問題なくラン出来ますし、アイスが無いなら最大のチャンスです。
またアイスに引っかかったからと言って必ずそこでランが終了するわけではありません。お金を要求されるだけのアイスもあります。前半は何気ないランで簡単に計画書カードが盗めてしまう事さえあるのです。
またランが成功しなかった場合でも、コーポがアイスをレゾしたのであれば、コーポがお金を消費したり情報を開示させたことになるので、結果的にランナーの有利に働くケースもあります。アイスを怖がらずに積極的に仕掛けましょう。
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■各カードの説明
ネットランナーはカードゲームなので、ゲームのほとんどはカードを見ながら進めることになります。
ここではどんな種類のカードがあるのか、それらの用途や見方について簡単に確認しましょう。
カードは覚える必要はありませんが、どんな役割のものがあるか知っておくとより戦略的なプレイが可能になると思います。
・コーポのカード
コーポのカードは使い切りの「任務」と、裏向きに「インストール」して使用するそれ以外のカードがある事は前項でお話しました。
しかしここまでで「インストール」するカードは「計画書」しか説明していませんので、もう少し詳しく見てみましょう。
[アイス]
ランナーのランからサーバーの計画書などを守るための防御壁です。
このカードだけは他と異なり、サーバー上部に横向きに「守るように」置きます。またランナーがランを行いアイスにぶつかった時しかレゾ出来ない事は前述のとおりです。
あるサーバーに2枚目以降のアイスを置く際は、上に向かって伸ばして行く形になります。現在のアイスより内側に差し込むことはできません。また同じサーバーの2枚目以降のアイスはインストールするときにお金がかかる事も忘れないようしましょう。
アイスには主に「バリア」「コードゲート」「セントリー」の3種類があり、これによりランナーが突破する際に必要なアイスブレイカーの種類が変わります。
ではここで、今回のゲームのデッキに含まれるアイスをいくつか見てみます。
<アイスウォール>
「バリア」のアイスで、ランナーは「バリア」に対応したアイスブレイカーでしかブレイク出来ません。
「ランの終了」を1つだけ持つ、もっともシンプルな足止め用アイスです。
このアイスのテキストには「アドバンス出来る」とあり、1クリックと1クレジットを消費する事で、計画書の様にアドバンストークンを乗せられ、これによりアイスの強度が上がります。が、これが得策かというと微妙でしょうか。ここで1クリック使うよりは、少しでも得点を目指した方が建設的かもしれません。
最大の長所はコスト1という安価で「ランの終了」を持つことでしょう。
<エニグマ>
「コードゲート」のアイスで、ランナーは「コードゲート」に対応したアイスブレイカーでしかブレイク出来ません。
「可能なら、ランナーは[クリック]を失う」「ランの終了」の2つのサブルーチンを持ちます。
サブルーチンは上から順に効果を適用するので、ランナーがこのアイスをブレイク出来なかった場合、まずクリックを1つ失い(クリックカウンターを裏返す)、その後ランを終了します。クリックカウンターが既にすべて裏向きの場合、1つ目のサブルーチンでは何も起きません。
費用対効果が比較的高く、使いやすいアイスと言えるかと思います。
<トールブース>
エニグマと同じ「コードゲート」のアイスですが、こちらは強度が高い分コストも高価です。
また、このアイスにランナーがぶつかった際に強制的に3クレジット(バンクに)払わせる強力な効果が付いています。この効果はランナーがアイスブレイカーを使用する前に適用され、突破しようがしまいが毎回必ず3金を減らすことになります。
今回使用するデッキの最強クラスのアイスと言えるでしょう。
<ロトターレット>
「セントリー」のアイスで、ランナーは「セントリー」に対応したアイスブレイカーでしかブレイク出来ません。
1つ目のサブルーチンに「プログラムを1つトラッシュする」という効果がありますが、このようにアイスのテキストに主語が省略されている場合はコーポが主語となります。なのでランナーの盤面の「プログラム」と書かれたカード1つをコーポが選んでトラッシュします。
ランナーのカードをトラッシュする能力はネットランナーでは大変強力です。うまく使えばランナーを「詰み」に近い状態に追い込めるでしょう。強度こそ0ですが、面白い効果のアイスです。
[計画書]
コーポで最も重要なカードである事は言うまでもありません。
カード右上の数字が「要求アドバンス数」、中央左の数字が「計画ポイント(=得点)」です。
計画書の多くは、それ自体が得点である事以外になんらかの効果を持っています。
今回のゲームでは以下の2枚が効果を使える計画書に該当します。
※ほかの計画書も効果を持っていますが、今回のゲームでは全く意味がないので「効果なし」だと思って問題ありません。
<優先請求>
コーポが得点した時に、いずれかの裏向きアイスを自主的にタダでレゾ出来ます。この効果は得点時に即座に発動します。
前述のとおり、アイスはランナーがランしてそのアイスにぶつかった時しかレゾ出来ませんが、このカードでは例外的にコーポのターンにレゾが出来ます。もちろん、既に置いてあるアイスにしか使えません。高価なアイスのコストを狙ってタダに出来るかどうかには、運が大きく絡みます。
<アトラス計画>
アドバンストークン3つで得点できるカードであり、それがこの計画書の強みです。理由は話すと長くなるので、興味のある方は『2度目のネットランナー(1)「コーポは何をすればいいのか?」』をご参照ください。
4つ以上アドバンスして得点した場合は、3つを超過する分だけのアドバンストークン(ここでは「計画カウンター」と名前が変わりますが…忘れても大丈夫です。)を得点エリアへ移動後に乗せておきます。(例:4つ乗せて得点したら、1つだけ計画カウンターとして残す。)
計画カウンターを1つ消費してバンクに戻すことで、山札から好きなカードを探して手札に加える、いわゆる「サーチ」能力を発動します。なかなか強力です。しかもこの能力はクリックを消費しません。アトラス計画でアトラス計画を手札に加え…というのも面白いかもしれません。
[資財]
資財のカードは計画書の様にインストールして使用しますが、得点ではなくクレジットなどの資源をコーポにもたらします。
使うときはまずインストールして、カード右上のコストをバンクに支払って、レゾします。計画書の様に上にお金を乗せるわけではないので注意しましょう。
置ける場所は計画書と同様に、遠隔サーバーの中です。やはり裏向きで置くので、出しただけでは計画書と見分けがつきません。
(アドバンストークンを乗せることは出来ないので、トークンを乗せた瞬間に計画書バレします。)
全ての資財にはカード右下に「トラッシュコスト」が書かれています(移動するごみ箱マーク)。これは、ランナーがいずれかのサーバーにランをして資財にアクセスした際に、カードを捨てるのに必要なクレジット数です。
今回のデッキでは、資財以外にトラッシュコストの書かれたカードはありません。つまり資財以外はランナーが捨てることは出来ません。
資財は遠隔サーバー置いてレゾして使用するわけですが、トラッシュコストがあるので、無防備だとランしてきたランナーに捨てられてしまう事があります。ものによってはアイスなどで守ってあげましょう。
尚、1つの遠隔サーバー内には1枚しかカードを置けません(別の遠隔サーバーであれば何枚でも出すことが出来ます)。
厳密には2枚目を置こうとするときに、1枚目は強制トラッシュされます。逆に言えば、元々置いてあった資財を別の資財で上書きしたり、資財を計画書に置き換えるといった動きが可能です。
特に資財を計画書に置き換える動きは今回のデッキではそこそこ有用なテクニックなので、頭の隅にでも覚えておいてください。
<PADキャンペーン>
ターン開始時に1クレジットを得ます。理由は割愛しますが、インストールしたらすぐにレゾせずに、次の自分のドローフェイズ(カードを引く前)にレゾして下さい。そうすると続けて「ターン開始時」の1クレジットを貰えます。この方がお得です。
実は今回使用するデッキの資財は、この「PADキャンペーン」と「メランジュ採掘社」しかありません。
貴重な資財なのでしっかり守ってあげたいところですが、資財を守るためにそれらが供給する金額を上回るコストをかけて(=赤字)はお勧めできません。あくまで計画書の費用調達の一環です。あなたの目的は計画書である事を忘れないようにしましょう。
つまり、既にレゾされているPADキャンペーンを複数のアイスで守るのは得策ではありません。PADキャンペーンを後で計画書に置き換える予定なら良いですが、遠隔サーバーを3つも4つも作って資財を置き、そこをたくさんのアイスで守るのは単純にお金と手数の無駄になります。
[任務]
任務は使い切りのカードです。1回きりですが、インストールせずに直接使える安定感が売りです。
基本セットの任務には「移動するごみ箱マーク」が書かれていないので、R&DやHQにランしてきたランナーにトラッシュされる心配もありません。
<ヘッジファンド>
コーポの代表的な資金源です。5クレジットの支払いで9クレジット得るので、差し引き4クレジットの収入です。この4クレジットはかなり大きいです。基本的には手札に来たらすぐに使ってしまって良いと思います。
逆に言うとこのカードが来たらすぐに使えるように、5クレジット以上は常に持っておくのが得策です。
<セレブの贈り物>
お金を得るカードですが、手札をランナーに見せる必要があります。
このカードを除き見せた枚数×2クレジットが貰え、使用に3クレジット、5枚見せたとして10クレジット。使用コストを引いて最大7クレジットとなります。大金が手に入りますが、計画書を握っている時はバレてしまいます。計画書だけ見せないなどの工夫が必要かもしれません。あえて計画書を見せてランを誘うのも面白いでしょう。
このカードは使用時に1クリックではなく2クリックを消費するので注意してください。
<人造労働者>
このターンのクリックを1つ増やすカードです。使用に1クリック消費で2クリック増えるので差し引き1クリック増です。2クリック増ではないので注意してください。
増えたクリックは通常はアドバンスに使用します。他のアクションに使用した場合は大抵は割に合いません。このカードを使うことで、前述の「アトラス計画」を1ターンでインストールして得点まで実行できます。詳しく知りたい方は『2度目のネットランナー(1)「コーポは何をすればいいのか?」』をご参照ください。
・ランナーのカード
ランナーのカードは全て表向きに出します。使用時に左上に書かれているコストを払い場に出します。タイプ「イベント」のカードのみ効果を発動したらすぐにトラッシュされ、その他のタイプのカードは場に残ります。
[イベント]
ランナーの使い切りのカードです。お金やカードの補充、ランを有利にするなど様々な効果を持つものが存在します。
<確実なギャンブル>
ランナー版の「ヘッジファンド」で、差し引き4クレジットを得ます。初手で1番欲しいカードの1つです。
ランナーはお金とランのタイミングがすべてなので、とても重要です。最低5クレジット無いと使用できないので、コーポ同様常に5クレジット以上は抱えておくことを意識しましょう。
<修繕>
アイス1つに「バリア」「コードゲート」「セントリー」の3種類のサブタイプを付加してしまうカードです。アイスブレイカーはアイスの種類に対応したもので無いとブレイク出来ない事は説明しましたが、このカードを使えばアイス1つを「どのアイスブレイカーでもブレイク出来る」状態にしてしまいます。コーポが突破出来ないだろうと思って置いたアイスを易々と乗り越える事ができる、つまりは裏をかけるカードなのです。
ただしこのカードにはラン効果は無く、別アクションでランする必要がある事に注意してください。
[リソース]
「イベント」以外のカード、「リソース」「ハードウェア」「プログラム」はいずれも場にインストールして使います。
インストール時にカード左上のコストを払い、場合によっては使用する際に別途クリックやお金などを消費する事もあります。
カードに特別指定が無い限り、カードのタイプを意識する必要はありませんが、「リソース」は概ねランナーの資金源となるカードだと意識しておくと良いかと思います。
また特にカードに条件が書かれていない限り、場に出したカードの効果は(クリック数や使用コストが許す限り)何度でも使うことが出来ます。
<アーミテージ式コード破壊>
「解放済み口座」と並び、ランナーにお金を継続的に供給する重要なリソースです。基本のアクションで貰えるのは1クリックで1クレジットですが、こちらは同じ1クリックで2倍の2クレジット貰えます。
コストを払って場に出したら、バンクからカードの上に12クレジット分のトークンを積みます。6回使用して上に乗せたお金を取り切ったら、即座にトラッシュします。
[ハードウェア]
ランナーの所有する物理的なデバイスです。ランの手助けなどをしてくれるでしょう。
早くから出した方が効果的ですが、コストがそこそこ高い事に注意してください。貧乏なときに出そうとすると、かえって出遅れてしまいます。
<ドッペルゲンガー>
インストールしておくと、ランナーがラン成功した時「ただちにクリックを消費せずに好きなサーバーにランする」権利を得られます。効果は1ターンに一度だけです。
また「最大MU」という「プログラム」カードを場に出す上限を+1してくれます。テキスト1行目のアイコンがその事を示しています。
尚、ドッペルゲンガーは「コンソール」という属性を持つ特殊なハードウェアで、場に1枚しか出せないので注意しましょう。
[プログラム]
「プログラム」は大きく「アイスブレイカー」とそうでないものに分類できます。「アイスブレイカー」は前述の通りランの最中に使用するものですが、それ以外のプログラムはリソースやハードウェアと使用方法としては差はありません。
ただしプログラムに限り「最大MU」と呼ばれるインストール数の上限が決まっています。ランナーの初期の最大MUは「4」です。このことはカードのどこにも書かれていません。
今回使用するデッキでは各アイスブレイカーは1つにつきMUを「1」使用しますが、「スニークドアβ」のみ「2」使用するので注意してください。もしもMUを超過する様にインストールするときは、最大値を超えないように、今インストールされているプログラムをトラッシュする必要があります。
<スニークドアβ>
「アイスブレイカーでない」プログラムです。
このカードの効果でアーカイブにランを行い成功した場合、HQにランをしたと見なします。
HQのカードにアクセスするだけでなく、「ガブリエル・サンチャゴ」や「HQインターフェース」も発動します。
アーカイブからHQにアクセス出来るとなれば、コーポもアーカイブをHQ並みに厚く守る事を余儀なくされるでしょう。
大変強力なカードですが、コストが高くMUも2使用するので注意してください。
■ゲームをはじめよう
ルール説明は以上ですが、概ねイメージ出来たでしょうか?
それではデッキを手に取って、2人とも山札をよーくシャッフルしてください。この時IDカードを混ぜてしまわない様に気を付けましょう。
シャッフルしたら両者5枚ずつのカードを手札として引き、内容を確認します。そしてコーポ、ランナーの順に1回だけ「マリガン」と呼ばれる引き直しの機会が与えられます。
具体的には手札が気に食わないときに、5枚全てを山札へ戻してよくシャッフルし、再度引き直すことが出来ます。2度目はありません。
初手には出来るだけお金がもらえるカードを確保しましょう。加えてコーポの場合はアイスも1〜2枚は欲しいところです。
しかしたとえ初期手札がひどかったとしても、このゲームは自由にカードが引けるので何とかなります!
最後に、このゲームはコーポが先手と決まっています。必ずコーポからターンを開始してください。
ではネットランナーを楽しみましょう!!
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■このエントリーは何?
この記事は、LCG「アンドロイド:ネットランナー」日本語版を何度か遊んでおり、かつ拡張を大体揃えていて、新拡張に興味がある、または遊んでみたい方向けのエントリーです。
主に基本セット「SystemCore2019」の一部カードの日本語版プロキシの公開、および簡単な説明を行っています。
全くの初心者の方や、遊び始めたばかりでプレイングや構築について知りたいという方は、下記の過去記事をご参照下さい。
[関連記事]
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
「2度目のネットランナー(4) 実は知らなかった!?間違えやすい超基本ルール」
「2度目のネットランナー(番外編) 日本語環境の禁止・制限カード一覧」
「2度目のネットランナー(5) これからはじめる人のための、ネットランナー10の疑問」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [1] 日本語版ダウンフォールが来た!」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [1] さようならオボカタ」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太と申します。
いつも読んで下さっている方、いましたらありがとうございます。半年ぶりの更新となってしまってすみません。けれど、ネットランナーに対する情熱は失っていないのでご安心ください!
はじめましての方、もしもいましたらよろしくお願いします。
僕はボードゲームやTCGなどが大好きです。かつてはTRPGやプレイバイメール、人狼なども遊んでいました。
ネットランナーはいまだにネット対戦やリアルで友人たちと遊び続けています。理由はこのブログでは何度も申し上げていますが、面白いから、そして他のゲームでは味わえない楽しさがあるからです。
公式リリースが終了し、日本語版もメーカー在庫切れとなった今でもその独特の楽しさは変わりません。遊んでいただける方も随時募集していますので、ご興味ある方はこのブログのコメントまたはTwitter(@takabomb)までご連絡ください。
さて、ネットランナーは現在では「NISEI」という有志組織が運営している事、NISEIから新たな拡張「ダウンフォール」が(無料で!)リリースされている事は前回「[1] 日本語版ダウンフォールが来た!」でご紹介しました。
NISEIは「Standard」というプレイフォーマットを制定し、現在は原語環境のデファクトスタンダードとなっています。
「ダウンフォール」も本来はこの「Standard」でプレイされる事が前提となっています。ところが、ダウンフォールは日本語版がリリースされているのに、「Standard」で使用する基本セット「SystemCore2019」は日本語版が存在しません。
そのままだとダウンフォールが遊べなくなっちゃうので、SystemCore2019抜きでとりあえずこんな感じでやってみるのはどうですか、というところまでが前回のお話です。
今回はSystemCore2019に採用されているカードの内、日本語版に存在しないカードの日本語訳をpdfとして作成しました。元々は身内用にと進めていたものですが、せっかくなので良かったら使ってみてください。
■SystemCore2019日本語差分カード
SystemCore2019JP PDF(GoogleDrive)リンク
上記のリンクからPDFファイルをダウンロードして下さい(合計5ファイル)。
※Zipファイルのためプレビューがエラーとなる事がありますが、そのままダウンロードして下さい(約68M)。
<2019/11/24 ミスを数カ所修正しました。>
印刷、裁断、スリーブ詰めなどが必要なのは前回ご紹介した「ダウンフォール」と同様ですが、各カード1枚ずつの構成となっていますので、各ページ3枚ずつ印刷が必要になります。
使用に際しては以下の点にご注意ください。
・ごん太による私家訳です。お問い合わせやご指摘等がある場合は、このエントリーのコメントまたはTwitterにて必ずごん太あてにお願いします。
・PDFファイルは予告無く変更または削除する場合があります。
・前述の通り、アークライトからリリースされている日本語版に存在しないカードのみとなっています。全て揃えるには基本セット1版、2版の他幾つかの拡張セットが必要です。詳しくはコチラの一覧をご確認ください。
・訳出の方針、特にカード名については製品等の日本語版に比べてカタカナ語を多用しています。これには原語版と出来るだけ呼称の統一を図りたいという意図があります。
■MWL3.4について
・SystemCoreを使用したフォーマット「Standard」ではStandard MWLによって禁止・制限カードが指定されています。
2019年11月時点のMWLは3.4です。コチラにMWL3.4の日本語版での一覧を用意しましたので、併せてご確認ください。
→[2020/07/07更新:現在はMWL3.4ではなく BANList20.06に置き換えられています。]
※BANList20.06対応の禁止一覧画像は後で用意する予定です。
■Magnum Opus(ミニ拡張)について
FFG運営時代の2018年の世界大会の折に、「Magnum Opus」というミニ拡張がプリント&プレイとして公開されましたが、同拡張がNISEIからアートを一新して再リリースされました。
なんとその際に、嬉しいことに同時に日本語版もリリースされました!やったね!
翻訳は「ダウンフォール」を担当された日本人の方です。また日本に縁の深いNISEIスタッフの方もご尽力されているとの事です。
お2人には多大な感謝を述べたいと思います。ありがとうございます!
Magnum Opusの日本語版はコチラからダウンロードできます。
(※尚、MWLによる禁止カードも含まれているのでご注意下さい![2019年11月時点])
■アップライジング・ブースターパックについて
NISEIの拡張についてもう1つ。ダウンフォールに続いてリリース予定の拡張「アップライジング」から先行で7枚のカードが「ブースターパック」として公開されています。そしてコチラにも日本語版が用意されています!またまたありがたいことです。
ダウンロードして、是非デッキに加えましょう!
■SystemCore2019注目カード
ではここで、SystemCore2019で追加されたカードのいくつかのカードをピックアップしてご紹介したいと思います。
・クエストコンプリート (Quest Completed)
SystemCore2019の中でもごん太お気に入りの1枚です。
いつでも使える強カードというわけではありませんが、勝負処でピンポイントで活躍してくれる渋さが光ります。
得点勝利を目指す多くのコーポは、後半になるにつれて遠隔サーバーの守りを厚くしてくる事でしょう。特にフィニッシュとなる最後の1枚に至ってはとんでもない枚数のアイスで守ってくる事が多々あります。遠隔サーバーの上にだけ恐ろしい枚数のアイスが置かれている絶望的な盤面に見覚えは無いですか?
そんな時に逆転の一手となり得るのがこの「クエストコンプリート」です。
上記の様な状況では、中央サーバーの守りはやや手薄になっているでしょうから、そこを突いてランを通し、このカードを使って本命の遠隔サーバーの計画書に直接アクセスするのです。
これが決まって勝った時の「してやったり」感は他に代えがたいものがあります。
・リーラ・パテル (Leela Patel)
419と双璧を為すクリミナルの強IDがやってきました。
能力のトリガーがコーポかランナーの得点時のため使い難い様にも思えますが、少なくとも1ゲーム中に4、5回は勝手に発動するので嫌がらせとしてはかなりのものです。
アイスはもちろん、アドバンス済の計画書等も戻せるのが強力で、「地道な作業」などの複数アクセスでHQから計画書を盗んだ際に、遠隔サーバーの計画書をHQに戻して連続得点といった使い方も可能です。
存在するだけでコーポに大きなプレッシャーを与えられる、SystemCoreでも屈指のIDと言えるかと思います。
・R&Dインターフェース (R&D Interface)
シェイパーにとってStandardフォーマットへ移行しての最も大きな痛手と言えば、フィニッシャーである「索引付け」の削除でしょう。
代わりに追加されたのがこのカードです。単発での得点力は索引付けに敵いませんが、複数枚インストールしたり「造物主の目」「ニヤシア」などと併用する事で、継続的に複数アクセス可能な体制を作れます。
索引付けの性能が壊れていると言えば壊れていたので、上手いバランシングがされたのではないかと思います。
・マリリンキャンペーン (Marilyn Campaign)
「キャンペーン」シリーズで飛び抜けて使いやすいのがこのカードです。
何せトラッシュに3コスト掛かるのにR&Dにすぐに戻ってしまうのですから、ランナーも捨てる気が失せてしまいます。
毎ターン収入が2クレでレゾコストも同額なので、たとえトラッシュされてもコーポには何の損もありません。ほぼノーリスクで差し引き6クレの収入が得られる強力な金策と言えるでしょう。
何故か影響値が1なので、他派閥でも気軽に3積み出来ます。
・ジンテキ:完全の複製 (Jinteki: Replicating Perfection)
使い方が難しいものの、面白い能力を持つジンテキのIDです。
遠隔サーバーにランしたいランナーに対して、先に中央サーバーへのランを強制します。
パッと思い付くのがSystemCoreで同時に追加された「モウセンゴケ(Sundew)」とのシナジーですが、中央サーバーの最外殻を全てダメージ系のアイスで塞ぐなど、工夫次第で色々な嫌がらせが出来るでしょう。
ランナーからすると、遠隔サーバーの資材をトラッシュするために余計なランを課せられるだけでも嫌なものです。
尚、中央サーバーへのランは完遂する必要は無く、1つ目のアイスの「ランの終了」を受けて帰ったり、2つ目の手前でジャックアウトした場合などでも条件を満たすので注意しましょう。
・デイリー・ビジネス・ショウ (Daily Business Show)
ドローの質を上げてくれる強力な資材です。
かつてのコーポ最強のサポートカード「ジャクソン・ハワード」がローテーションによって使え無くなった際、ごん太は代替としてこのカードをほとんどのデッキに積んでいました。
尚、2枚インストールした場合「3枚引いてその内2枚を選んでR&Dの底へ置く」という動きになります。
単にドロー枚数を増やすだけだと計画書事故が発生しますが、これは戻す動作がセットのためセーフィティかつデッキを意図通りに運用出来るようになるでしょう。
トラッシュコストが高く、ランナー側に直接的な害が無いため、コストをかけて捨てるのに躊躇してしまう点もポイントが高いと思います。
何故か影響値が1なので、他派閥でも余った影響値で気軽に投入することが出来ます。
・監視AI (Oversight AI)
アイスのレゾコストをタダにする夢のカードです。ブレイクされた時にトラッシュされるマイナス要素を付加しますが、「ハドリアンズウォール」などの高コストのアイスをゲーム開始直後にレゾ出来る事を考えれば、軽すぎるくらいのデメリットではないでしょうか。
また、SystemCoreで同時に追加されたID「ブルー・サン」の能力でレゾしたアイスを回収すれば、いきなりとんでもない額のお金を手に入れる事も可能です。
プレイコストも影響値も安く、使いやすくてインパクトの大きいカードだと思います。
■おわりに
今更NISEIの基本セットの日本語訳なんか公開してもどこにも需要は無いんじゃないだろうか、必要な人は英語版で遊んでるし、日本語版プレイヤーはそこまで求めないだろう、そもそもSystemCore自体もうすぐ2020がリリースされるはず…という思いもありましたが、日本国内のネットランナーの灯を消さないためにも、地道に出来る事をやっていこうと気を取り直し、なんとか公開するに至りました。協力してくれた友人達には感謝致します。
冒頭にも書きましたが、ネットランナーは他のTCGやボードゲームに代え難い楽しさがあります。公式リリースが終了して徐々に廃れていくのは仕方ないとしても、全く遊ばないのは本当に勿体無い。
これからも是非ゴリゴリと遊んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次回は「アップライジング」関連か、WEB上の対戦ツール「jinteki net」のご紹介をしたいと思っています。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
ごん太
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■このエントリーは何?
このエントリーは、アークライト社から好評発売中のLCG「アンドロイド:ネットランナー」日本語版を既に拡張込みで何度か遊んでいて、「NISEI」という有志組織が作成した新拡張に興味がある、または遊んでみたい方向けのエントリーです。
主に新カードの入手方法や、既存の日本語版に混ぜて遊ぶ方法などをご紹介しています。
全くの初心者の方や、遊び始めたばかりでプレイングや構築について知りたいという方は、下記の過去記事をご参照下さい。
[関連記事]
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
「2度目のネットランナー(4) 実は知らなかった!?間違えやすい超基本ルール」
「2度目のネットランナー(番外編) 日本語環境の禁止・制限カード一覧」
「2度目のネットランナー(5) これからはじめる人のための、ネットランナー10の疑問」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [2] SystemCoreを使ってみよう」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [1] さようならオボカタ」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太と申します。
元TRPGプレイヤー、現ボードゲーマーでTCGも少し遊んでいます。KeyForgeもやってます。もちろんネットランナーが大好きです。
皆さんも当然、ネットランナーを週に100回くらいは遊んでますよね?
「さすがに週に100回も遊んでいると、カードも戦術も開拓し尽くして飽きてきたよ!」という全国約2億人の日本語版プレイヤーの皆さんに朗報です。
遂に日本語版の新拡張「ダウンフォール」がリリースされました!
(しかも無料ダウンロード出来ます!!)
FFG社がネットランナーのリリースをやめてから幾星霜、この日が来ることを誰が想像し得たでしょうか。
新カード嬉しい!新カードばんざい!ネットランナー世界最高!
…もちろん理想は未翻訳のFFGの日本語版拡張から発売される事でしょう。その希望もいまだにゼロとは言えません。
とは言え、新カードが日本語で遊べるだけでもどれほど嬉しいことか。2億人中1億9千万人くらいの方には気持ちをご理解頂けるかと思います。
ちなみに、今回リリースされた「ダウンフォール」を制作したNISEIは有志団体ですから、その裏には多くのファンの皆さんの努力があります。
特に日本語版については、自分の知るネットランナーのコミュニティから少なくとも2人の方が関わられ、尽力されてきました。この方々への感謝の念は絶えません。ありがとうございます。
本当に素晴らしいものだと思うので、みんなも是非遊び倒しましょう!
■NISEIって何?
NISEI(The Nextrunner International Support & Expansion Initiative)はFantasy Flight Games社がネットランナーのリリースを終了した直後に組織され、現在のネットランナーの運営を行っている有志団体です。
フォーマットや詳細ルールの更新、大会の運営、店舗や個人の大会のサポート(大会景品の販売等)、新カードの制作などを行っています。
FFG社非公認ですが、世界中の多くのネットランナーコミュニティが賛同し、NISEIの方針に則ってプレイしています。
「NetrunnerDB」や「Know the Meta」「Stimhack」「Always Be Running」「jinteki net」などのメジャーなファンサイトやデータサイト、WEB対戦サイトも、彼らのルールやフォーマットをフォローしています。
日本では例外的にFFG社の直接サポートが行われていなかった(アークライトは「販売」のみである)ため「運営」が行われているという意識があまり無く、従ってそれを引き継いだ形のNISEIの認知度は低いと思いますが、新カードやフォーマットの情報などが随時更新されているので、興味のある方は是非覗いてみましょう。
NISEIの公式サイト(英語)はこちらです。
■カードを入手するには?
「ダウンフォール」はNISEIが制作、リリースした「Ashes Cycle」の第一拡張です(第二拡張は「アップライジング」の予定)。
各国語版の通信販売が行われており、日本語版もこちらのリンク先から購入出来ます。
購入案内の説明文に「3つのショップに分かれて販売される4種類のフォーマットから選んで購入できます。」とありますが、2019年6月時点では、日本語版を購入できるのは「MakingPlayCrads」というショップのみで、フォーマット(品質)は「Standard」と「Premium」の2種類です。
カードは計195枚で「Standard」で送料込みで約6500円くらいでしょうか。「Premium」だと8000円くらいになると思います。
Premiumの方が若干厚みがある様です。実際に手元に無いのでよく分からないのですが、NISEIの触れ込みではスリーブに入れてしまえばどちらでもプレイに支障は無いそうです。
ただし、どちらの品質でもカード裏面のデザインがFFG社リリースのネットランナーと違います。
従って、既存カードと混ぜて使用するのに必ず裏面が不透明(しかも透けない濃い色)のスリーブに入れる必要があります。
ここが一番の注意点です!
非公認団体なので、FFG版そのままのカードデザインを使用することは出来なかった様ですね。
ところでNISEIでは、プレイ方法の1つとして「Print and Play」が挙げられています。これはPDFなどのカードデータをダウンロード+印刷して遊ぶことを指します。「ダウンフォール」もPDFが公開されています。そしてダウンロードは無料です。
先ほどの購入ガイドのページの下の方に、PDFのリンクが用意されている事にお気付きかと思います。
製品である事にこだわらない方は、多少手間はかかりますがPDF印刷でも十分かと思います。ごん太はそうしました。
ただしPDF印刷のカードを使う場合、裏面不透明のカラースリーブに加えて、カードの厚みを出すために同サイズのダミーカード(いわゆる背骨)が必要になると思います。
自分は他TCGで余ったいらないコモンカードなどを使用していますが、通販などでMTG等のカードをまとめて安く買う方法もある様です。「ネットランナーとほぼ同じサイズのカードを195枚も持ってないわ!わざわざそれ用に買うのもなあ。」という方は、ダウンロードではなく購入した方が、手間賃を考えると経済的かもしれません。
いずれにしてもカラースリーブの使用は必須になりますので、ホビーショップなどに走るかAmazonでポチって調達しましょう。
ここで、自分が英語版がリリースされた際に行ったPDF版の作業を簡単にご紹介しておきたいと思います。
1.NISEIのサイトからダウンフォールのPDFをダウンロードして、USBメモリに保存しました。
家にはプリンタが無いので、コンビニプリントを利用するためです。メディアはUSB以外にSDカードなどでも大丈夫です。尚、「ネットプリント」と言うWebサイトからファイルを転送する方法は、ファイルサイズが大きすぎて今回は使えませんでした。
ダウンロードしたのは「A4サイズ」の「各カード3枚ずつ」のファイルです。基本コレで良いと思います。
2.近所のセブンイレブンにUSBメモリを持って行って、カラー印刷しました。
セブンイレブンは印刷の際に勝手に縮小がかかったりしないのでお勧めです。
PDFの内、カード本体は22ページです(1枚目はタイトルとストーリーのみ)。1枚50円なので、合計で1100円でした。
お札が使えないので、小銭で1100円分無い場合はレジで「コピー機用に両替したいです」と言って崩して貰いましょう。
また印刷に意外と時間がかかった(10〜15分くらい)ので、お店がすいている時間帯の方が良いと思います。
3.カッターで裁断しました。
ここが一番手間でした。横目で映画を見ながらの作業で2時間以上かかりました。
最初はカッターで切った後に角をハサミで丸くしていたのですが、面倒なので途中からやめました。カジュアルで遊ぶ分にはそんなに気にならないかなと思います。
ちなみに我が家にはカッティングマットが無かったので、100円ショップで買っていきました。(300円しました。)
4.スリーブに詰めました。
家に「カドまるスリーブ(インナー)」が大量にあったので、ひとまずこれに「背骨」となるダミーカードと一緒に詰めました。
背骨と印刷したぺらぺらの紙をセットで1枚としてストレージで保管したかったからです。バラバラに保管しても、カラースリーブにセットで入れておくのでも構わないと思います。
背骨は、はじめは使っていないネットランナーのカードを使用していましたが、数が圧倒的に足りない事がわかったので、WIXOSのいらないカードを使う事にしました。いわゆる「スタンダード」サイズのカードなら何でもよいと思います。
(※遊戯王、ヴァンガード、バトルスピリッツなどは「ミニサイズ」なので小さすぎる様です。)
カラースリーブは「濃い寒色系」または「黒」がお勧めです。暖色系(赤など)は製品によっては透けやすいので出来るだけ避けましょう。場合によっては透け防止の二重スリーブが必要になることがあります。
これでカードの準備は完了です!ヤッタネ。
■新カードを使ってみよう!
ようやくカードが準備出来ました。
では、ここからは「ダウンフォール」日本語版を既存の日本語カードプールに混ぜて遊ぶために、まずはルールを確認しましょう。
「え、すぐにプレイ出来ないの?!」という方も、ちょっとだけお付き合い下さい。大丈夫です。もうすぐ遊べます。
まず原語環境の話をさせて下さい。
NISEIはFFGリリース終了後からフォーマットの更新を行っており、現在は「Standard」「Eternal」の2つを制定しています。これらはFFG時代と、禁止・同時使用制限や使用する基本セットが異なっています。
(FFG時代のフォーマットはNISEIでは「SnapShot」と呼ばれており、あくまでオプションとして用意されています。)
「Standard」はローテーションを採用したメインのフォーマット、「Eternal」は「なんでもあり」に近いものだと思って頂ければと思います。
「ダウンフォール」はこの2つのフォーマットで遊ぶことを前提に制作されていますので、これらの制限の中でデッキ構築を行う事になります。
一番大きなポイントは「Standard」で遊ぶ場合、「SystemCore2019」というNISEIが独自に制定した基本セットを使用する事です。基本セット第1版、第2版共に使用しません。
「SystemCore2019」は原語環境の過去の基本セット1、2版と幾つかの拡張から選ばれており、新カードは1枚もありません。
ダウンフォールを日本語環境に加えるにあたり、基本セットに「SystemCore2019」を採用する事を考えてみました。ところが「SystemCore2019」を構成するカードを現在の日本語版からピックアップしようとした場合、かなりの枚数の不足が生じます。日本語版に無いカードが「SystemCore2019」に含まれているからです。
「SystemCore2019」は権利関係の問題からか今のところNISEIのサイトでは公開されておらず、プロキシを入手するなら「Proxy Nexus」などの個人公開のPDF作成ツールに頼る事になるでしょう。当然日本語版もありません。
日本語化するなら和訳シールなどを作るか、カードそのものを日本語化する必要があります。または簡単に対訳サマリーなどでも良いでしょうか。
ネットランナーに難しい英語は多くありませんが、いざ自分で翻訳となると「ネットランナー語」と呼ばれる独特の表現などは既存の日本語版カードを参照する必要があり、かなり時間はかかると思います。ルール裁定の知識もある程度必要になるでしょう。
しかしせっかく新拡張が出たというのに、新しい基本セットまで和訳して用意するとなると益々ハードルが上がってしまいます。
結果的に「そんならいいや…」となってダウンフォールが遊ばれない事態が多発するとしたら、極めて勿体ない。
それは最も避けるべき展開です。
そこで1つの方法として、個人的にはSystemCore2019の不足分カードの日本語版を私家訳にて公開したいと思っております。ただし自分は翻訳作業はあまり得意でなく不慣れです故、そちらは少々お待ちを…。
ところで、ダウンフォールを遊ぶために「SystemCore2019」は本当に必須なのでしょうか?
NISEIのフォーマットが存在する一方で、これまでの様にあまりにフォーマットに拘っていると、なかなか新拡張を遊ぶことが出来ません。
昨今のプレイ事情を見てみると、FFGのリリース終了を境に日本ではネットランナーの多様化の波が押し寄せている様にも思われます。日本語環境の中で、各々が一番楽しいと思う遊び方を模索するような独自進化を遂げているのかもしれません。
そこへ来ての新拡張です。どうやって遊ぶべきか迷う部分もあるのではと思っています。
そこで当エントリーでは前述の「Standard」を含め、日本語版でダウンフォールを遊ぶための5つの方法をご提案したいと思います。
ご自分の可能な方法で、ぜひ気軽に新拡張で遊んでみましょう。
1.NISEIの「Standard」フォーマットで遊ぶ(「SystemCore2019」使用)
現在の原語環境のデファクトスタンダードです。
海外の大会などでフォーマットを省略した場合はこの「Standard」だと思っていただいて良いかと思います。
ただし前述のとおり、日本語環境で遊ぶには「SystemCore2019」を用意する必要があります。
一定の周期でローテーション(新拡張追加に伴い過去のカードが一部使えなくなる)が行われており、「Standard MWL」により禁止・制限カードが指定されています。
2019年6月時点のStandardでは「Standard MWL3.2」、基本セットは「SystemCore2019」が使用されています。
Standard(MWL3.2)を採用した場合の、日本語版カードの禁止・制限はコチラの一覧をご確認下さい。
また「SystemCore2019」で使用する「既存カード」「不足分のカード」についてはコチラの一覧をご確認下さい。
※不足分カードについては前述の通り、和訳を公開予定です。
→[2020/07/07更新:現在はMWL3.4ではなく BANList20.06に置き換えられています。]
※BANList20.06対応の禁止一覧画像は後で用意する予定です。
2.NISEIの「Eternal」フォーマットで遊ぶ(「基本セット第1版」+「基本セット第2版」使用)
「Eternal」では過去にリリースされた全ての基本セット、NISEIの拡張を含む全ての拡張セットを使用出来ます。従って「SystemCore2019」の事を気にする必要がありません。
「Eternal MWL」により何枚かの禁止カードが指定されている事にご注意下さい。2019年6月時点では「Eternal MWL1.2」が採用されています。
日本語版では、以下の4枚のランナーカードのみが禁止対象となります。同時使用制限はありません。コーポの方は禁止・同時使用制限共にありません。
ほとんど制限がないので、なかなかカオスな展開が期待できます。
<Eternal MWL1.2の日本語版での禁止カード>
「ファウスト」(2015チャンピョンデッキ)
「テムジンとの契約」(2016チャンピョンデッキ)
「回収済みヴァナディス武器庫」(レッドサンドサイクル)
「ブルームース」(レッドサンドサイクル)
3.FFGのフォーマットで遊ぶ(「基本セット第2版」使用)
これまで当ブログでずっと推奨してきた「日本語版スナップショット」にそのまま「ダウンフォール」を追加するハウスルールです。
基本セットは第2版を使用するため、「SystemCore2019」の事を気にする必要がありません。なんなら第1版も必要ありません。
「Standard」から見ればカードの過不足があるものの、元々の日本語版のカードプールが歪であること、ダウンフォールには強烈なパワーカードがそこまで多くないことを鑑みれば、(今のところは)あまり問題にはならないかもしれません。
これまで通り「日本語版スナップショット」の禁止・制限だけ気にすればよいことになります。(コチラです。)
当ブログの日本語版デッキなどを参考にして頂いていた方にとっては、もっとも手軽な方法かと思います。
4.ユーザーフォーマット「TheBigBoy Classic」で遊ぶ(「基本セット第1版」+「基本セット第2版」使用)
TheBigBoyという有名プレイヤーがWEB上で提唱するハウスルールです。単に「Classic」と呼ばれる事もあります。
Eternalと同様に「全てのカードが使える」事をベースに、独自の基準によりに数十枚の禁止カードを指定しています。
ローテーションやMWLは採用しておらず、「SystemCore2019」の事を気にする必要がありません。
新しい拡張が出るタイミングなどで、禁止カードは今後も更新されるのではないかと思われます。ダウンフォールもしっかり考慮されており、既に2枚ほど禁止カードがある事にご注意下さい。
日本語版プレイヤーにとっては基本セットの1版、2版を併用しながらも理不尽さが少なく、バランスとカードプールの広さを両立した優れたフォーマットだと思います。
詳しくはTheBigBoy氏の個人サイトを参照頂ければと思いますが、日本語版に適用した場合の禁止カード一覧も用意しました。(コチラです。)
5.元々フォーマットは気にしていない、または独自のハウスルールで遊ぶ
これまでもそのように遊んでいた方は、そのままダウンフォールのカードが追加されてヤッタネという事になるかと思います。
上記はあくまでも日本語環境限定の話であり、かつごん太個人の意見である事をご了承下さい。
今後ブログのデッキ紹介などでは「1」相当で話をする事が多くなるかもしれませんが、どの遊び方でも参考になるように書いていきたいと考えています。
■おわりに
PDFをダウンロードして印刷して苦労して切り抜いて、そこまでしていまさらネットランナーを遊ぶ価値があるのかね。
と問われれば、自信をもって「ありますぞ」と答えたいと思います。なんなら2、3発頭突きをかましながら「ありますぞ」「ありますぞ」と答えたいと思います。
世界にはたくさんのカードゲームが存在しますが、ネットランナーでしか味わえない唯一無二の楽しさがあると確信しているからです。
唯一の楽しさを知ってしまった方にとっては、ネットランナーは既に故郷です。多くのプレイヤーが、いつしか故郷を求めて帰ってくるのです。
運営を行っているのはNISEIですが、それは言わば無数のプレイヤーの魂の代理。意思と郷愁と歓喜の顕現であるようにも思えます。
FFG朽ちてもネットランナー滅びず。フォーエバーラヴ。
次回は詳細は未定ですが、「ダウンフォール」のカードやデッキの話が出来ればと思っています。
または、SystemCore2019の和訳なんやらをひとまずどうにかしたいですね。
今回も長文の与太話にお付き合い頂き、ありがとうございました。
ごん太
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■このエントリーは何?
このエントリーは、アークライト社から好評発売中のLCG「アンドロイド:ネットランナー」日本語版に興味を持ってはいるが、買うかどうか悩んでいる方向けの記事です。
既に何度か遊んでいる方は、過去記事で「プレイング」や「デッキ構築」「間違いやすいルール」について触れていますので、そちらもご参照頂ければと思います。
[関連記事]
「2度目のネットランナー(1) コーポは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(2) ランナーは何すればいいのか?」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [2] コーポの構築」
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [3] ランナーのデッキ構築」
「2度目のネットランナー(4) 実は知らなかった!?間違えやすい超基本ルール」
「2度目のネットランナー(番外編) 日本語環境の禁止・制限カード一覧」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [1] 日本語版ダウンフォールが来た!」
「2度目のネットランナー(6) NISEIの新拡張で遊ぼう [2] SystemCoreを使ってみよう」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [1] さようならオボカタ」
「2度目のネットランナー(7) 色々なカードを日本語で使おう [2] 遅れて来た陰謀3兄弟 」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![1] jinteki.netとは?」
「2度目のネットランナー(8) Web対戦ツールで遊ぼう![2] デッキを組もう」
「2度目のネットランナー(番外編) Standardの禁止カードが変わりました」
■こんにちは
ごん太と申します。
元TRPG、現ボードゲーマーで、TCGも時々遊んでいます。
最近はアナログゲームをプレイする機会も減ってしまいましたが、ネットランナーの事は常に考えております。
このブログの一連のシリーズではLCG「アンドロイド:ネットランナー」について、初心者/初級者の方向けの情報を個人的見解を中心にご紹介しています。
これまでの記事は全て初心者/初級者向けを謳いつつも、基本的には「既に何度かプレイした」方を対象として想定していましたが、今回はシリーズはじめてとなる「未プレイ」の方向けの記事となります。
はじめて目を留めて下さった方、ようこそ。是非一緒にネットランナーを楽しみましょう。
これまでの記事を読んで下さっていた方、いつもありがとうございます。入院を挟んでの更新のためだいぶ遅くなってしまいすみません。本エントリーではあまり目新しい情報は無いと思いますが、布教などに一役買えれば幸いです。
さて今回は「これからはじめる人のための、ネットランナー10の疑問」と題して、細かいルールや攻略はさておき、ゲームの魅力を自分なりに語って行きたいと思います。いつもより主観増し増しの記事です。
実はしばらくどんな記事を書こうか迷っていたのですが、Twitterなどの反応や記事の閲覧数を見るに、より初心者向けの内容の方が需要が高い事が分かってきました。
それもただのゲーム紹介というよりは、セールスポイントはどこか、持ってるけど時間を割く価値はあるのか、などの「自分が遊んで楽しいゲームなのか」という判断材料を求めているのではと考えるに至りました。
そこで、積みゲー化している方も含め「やったことないけど、おもしろいのか?」という漠然とした問いに対して、一度自分なりの思いを書いてみたいと思った次第です。
尚、ルールの説明等は行っていませんので、まずはざっくりでもルールを知りたいという方は、「2度目のネットランナー(0) はじめてのネットランナー(前編:ルール編)」をご参照頂ければと思います。
記事を書くにあたり、ネットランナーに触れたことのない方がどんなイメージや疑問を持つのか、Webサイトの記事やTwitterを検索して調べ、10の項目に絞ってみました。
そしてその10項目に対して、ごん太なりの考えを書き並べてみたのが以下です。
「このブログやたら長いから、全部読むのめんどいわい」という方はこの目次「10の疑問」だけでも舐めて行って下さい。
■TL;DR:10の疑問(と1行回答)
1.どんなゲーム?
⇒基本は企業とハッカーの得点レース。人間と遊んでる感が強い。物語性が強い。
2.どこがおもしろいの?
⇒ドキドキとカタルシス。デッキ構築が独特。
3.ルール難しくない?
⇒ノンリプレイ派にはやや難。ルールブックが難読なので、要点をインストしてもらう事推奨。
4.終わったゲームじゃないの?
⇒日本語版は好評発売中。英語版は公式がリリース終了したが、有志組織(NISEI)が運営中。つまり終わってない。
5.拡張多過ぎじゃない?おすすめは?いくらくらい?
⇒「キタラサイクル」がお勧め。種類が多く見えるが1セットが小分けされているだけ。価格は「〇〇サイクル」が計1万円前後。「大拡張」各3千円前後。
6.基本セットの第1版と第2版はどう違うの?
⇒カードが違う。パワーが極端な1版、バランス重視の2版。1版は絶版でFFG公式では禁止扱い(ただしサポート終了)。
7.英語版と日本語版はどう違うの?
⇒英語版はカードが多い。世界的にはほぼ有志組織(NISEI)のルールで運営中。日本語版は翻訳されている拡張が限られている。
8.どれが使えるカードでどれが使えないカード?
⇒FFG公式ルールに従った場合の日本語版の禁止・制限カードはコチラの画像をご覧ください。
9.ネットで対戦できるツールないの?
⇒「Jinteki.net」というPC等で遊べる英語のサイトがある。が、未経験者がいきなり遊ぶのはやや厳しい。
10.1回しかやってないけど、もっと楽しくなる?
⇒2回目以降遊んでいない理由が「機会が無い」「難しい」「勝ち筋がよく分からない」なら楽しくなります。「めんどう」「SFは苦手」「2行以上のテキストは寝る」という方はたぶん合わないです。
では、1つ1つおはなししていきたいと思います。
1.どんなゲーム?
・一般的には…
「非対称」と呼ばれる、プレイヤーによって勝利条件やアクション内容が異なる2人用対戦ゲームです。
プロジェクトの遂行を目論む「コーポ」と、コーポのセキュリティを突破し計画書を盗む「ランナー」に分かれて戦います。
米Fantasy Flight Games社から2012年にリリースされ、日本語版は2016年にアークライト社から発売されました。
「マジック・ザ・ギャザリング」などで有名なリチャード・ガーフィールド氏のデザインで1996年にリリースされた「Netrunner」(アンドロイド:ネットランナーとは別物)というTCGがベースとなっており、FFG社はこれに「Android」という世界観を乗せ、カード封入のランダム要素が無い「LCG(リビングカードゲーム)」として発売しました。
ゲーム内容はTCGに近いものの、カードの封入にランダム性が無いリリース形態はボードゲーム的で、両者の折中の様な存在です。
カードをたくさんいじくりたい人、長めのテキストが苦でない人、試行錯誤が好きな人、コンボやシナジーが好きな人、近未来SFが好きな人、MTGベースではないTCGを求める人などにお勧めです。
…などという情報はどこを見ても書いてあると思うので、上記以外で自分なりにコレだという特徴を挙げてみたいと思います。
・「人間と遊んでいる」感の強いシステム
「非対称」と呼ばれるゲームは、ざっくり言えば「勝利条件やプレイ内容が異なる」ものであると自分は解釈しています。
ところがネットランナーでは、プレイ内容は異なるのに「勝利条件が共通している」点がやや珍しいのではないかと考えています。
具体的には「計画書」と呼ばれる勝利点カードを7点分集めた方が勝ち、というルールが両陣営に共通しています。
それはどんな意味を持つのでしょうか。
ネットランナーのイメージを分かりやすく抽象化するため、よくランナーが「攻め」でコーポは「守り」と説明される事が多いですが、実際にプレイしてみるとコーポは守るだけでは勝てない事がすぐに分かります。
なぜならば、コーポの勝利条件が「○ターン防衛する」ではなく、ランナーと同じ「7点獲得する」だからです。
ランナーもコーポも攻める(得点する)ゲームなのです。
非対称ゲームは殴り合いの様なお互いの行動を阻害する側面が強くなりがちですが、勝利条件を共通化することでユーロゲームの様な生産的なプレイ感が生まれたのです。
そしてランナーが欲しい計画書はコーポも欲しいので、両者間で「お前を出し抜いて先に俺が頂く」という様なレースが発生します。これがこのゲームの本質では無いかと考えています。
更に面白いのが、勝利点はシステムが盤上に用意するのではなく、一方のプレイヤーであるコーポがデッキに組み込む点です。
勝利点である「計画書」の管理は全てコーポ側に任されているので、ランナーはコーポの計画を意識して動向を睨む必要がありますし、コーポはランナーに悟られない様に工夫して計画を進める必要があるでしょう。
得点集めのゲームでありながらも非常にインタラクションが強いのです。
この仕組みのおかげで、一部の重量級ゲーム等に見られる「システムに遊ばされている」感は全くありません。ボードゲーマーからすれば「システムではなく人間と遊んでいる」感覚の強いゲームとなっています。
・「物語性」の強いゲーム
ここで実際のゲーム盤面を見てましょう。
「コーポ」の側にカードが幾つも並べられ、その上に阻むように横向きのカードが置かれていますね。
これらはそのまま大企業のコンピュータ・ネットワークを示しています。
ネットランナーの背景となる社会では、多くの情報が電子データによって管理され、それらはネットワーク上のサーバー内に保管されています。
大企業であれば、なんらかのセキュリティ対策を行っている筈です。ランナーはセキュリティを突破してサーバーに侵入しなければなりませんが、初期はセキュリティが甘く、時間が経つほどに堅牢な対策が敷かれていく事でしょう。
それらがパッと見で理解出来るのです。カードゲームでありながら盤面にイメージが具体的に表現されている点は特筆すべきではないかと思います。
また雰囲気を損なわぬ様、フレーバーに沿った用語が用いられているのも特徴と言えるでしょう。
例えば山札は「R&D」、手札は「HQ」と名付けられています。それぞれ「R&D」が「企画・開発部」のサーバー、「HQ」は「本社の会議室(計画を指示する司令塔)」のサーバーを意味しています。
別に「山札」「手札」でも構わないのかもしれませんが、せっかく盤面はフレーバーが視覚的に表現されているのに、フレーバーを無視した名前を付けるのは逆に不自然では無いでしょうか。盤面や名称などが一体となって、プレイヤーを大企業の経営者になりきらせているのですから。
企画部から提出された「計画書」を本社で会議にかけ、GOを出したものは離れた支社のサーバーに保管して、開発を進めるさせる流れをイメージしてみて下さい。どこぞのCEOになった気になりませんか?
「ランナー」についても同様にイメージが大事にされています。
彼らはハッキングのために様々な「プログラム」を操ります。強力なプログラムをインストールするには、それなりのお金を出してその受け皿となる「ハードウェア」を用意しなければなりません。
ところがどちらもお金が結構掛かります。ギャンブルで稼いだり「コネ」を駆使して仲間を呼ぶ事で、なんとかして資金などを工面するのです。ゲーム内では、それらがカードの効果で示されます。
ハッカー達の影の苦労が、そのままプレイヤーのやり繰りの悩ましさとして表現されているのです。そして、そのやり繰りがとても楽しいのです。
多くのボードゲームと比べて見ても、アンドロイド:ネットランナーはルールとフレーバーの親和性が非常に強いと感じています。
ネットランナーは「専門用語が多い」と揶揄される事も多いですが、それはフレーバーを大事にするが故なのです。
もし、あなたが「人型コマを資源マスに置いて、黄色資源コマを1つ取るよ」と言うゲームより、「農夫を畑で仕事させて、小麦を1つ収穫するよ」と言うゲームを愛するなら、その辺りをご理解頂けるのではないかと思います。
そして、ネットランナーのカード1枚1枚にはそれぞれストーリーがあります。手元に実物をお持ちの方は、是非フレーバ−テキストも読んでみて下さい。
カード同士に強い関連があったり、もっと言えば複数のカードによって1つの大きな設定や物語が浮かび上がって来ると思います。
何よりカードの効果がフレーバーを体現している事が、プレイヤーのカードの理解の助けともなっているのです。
これらの「物語性」こそ、元TRPGゲーマーの自分が惚れた大きな要素の1つです。
FFG社のリリースするLCGシリーズは「アーカムホラー」「スターウォーズ」「ゲーム・オブ・スローンズ」など原作を持つものが多く、世界観を重視したゲーム作りは同社の得意分野と言えるのかもしれません。
・プレイング重視で個性の出やすいゲーム(TCGとして)
補足として、TCGと比較したネットランナーの特徴を考えてみたいと思います。
それぞれのプレイヤーがデッキを構築し、カードをドローして手札を使ってゲームを進める点はTCGと同様です。TCG経験者の方はすぐに馴染めると思います。
個人的に一番大きなポイントとなるのは「基本アクション」の存在ではないかと思っています。
ネットランナーは1ターンの間に「カードを使用する」以外に「ドローする」「ラン(サーバーへハッキング)を行う」「お金を得る」などの幾つかの基本アクションを行えます。
一般的なTCGの多くは「カードを使う」以外にとれる行動がありません。カードの効果に依存しているのです。
対してネットランナーの場合、カードよりも基本アクションが勝敗の鍵となる事も多いです。何故ならば、得点に結びつく行動は全て基本アクションに含まれているからです。
つまりカードの効果がゲームの全てを支配しているわけではありません。自由度が高く、プレイヤーの意思決定により比重が置かれているのです。
言い換えれば、自分のスタイルを貫いた「ファンデッキ」「ネタデッキ」でもプレイング次第で勝つ事が出来ますし、めちゃくちゃ強いカードやデッキを使ったからと言って勝てるとは限りません。
安易なカードパワーによるゴリ押しを認めない奥深さを持っているとも言えるでしょう。
基本アクションの存在には、他にも革命的な利点があります。
基本アクションに「ドロー」があるため、カードの引き運に勝敗が左右されにくいのです。
例えばランナーは基本アクションでターン中に通常4枚までカードを引くことが出来ます。一般的なTCGではターン最初のドローによって行動が決まる事が多いですが、ネットランナーでは欲しいカードが来なければ引けばいいのです。事故よさようなら!(※)
(※注:コーポに限り、得点カードである「計画書」が手札に溢れてしまう別の事故が存在します。)
好きなようにドロー出来る感覚は、ある意味でカードゲームをストレスから解放し、同時に麻薬の様な楽しさを与えてくれます。カードゲームが好きな人に「ドローが嫌いな人」は居ないでしょうから。
想定通りデッキが回らないのであれば、それはあなたのプレイングかデッキ構築に問題があるのです。
もうデッキのドロー運に操られて一喜一憂する必要はありません。今度こそ我々プレイヤーがデッキを操ってやる番です。
また一般的な対戦では各プレイヤーがコーポとランナーの両方デッキを用意して、入れ換えで計2戦を1セットとして行うことが多いと思います。全く異なる2種類のデッキを構築する事になるので、より個性が出やすいのではないかと思います。
2.どこがおもしろいの?
さて、理屈はこの辺にしておいて、続いて実際に自分がこれまでプレイしてきて感覚的に「楽しい」と思ったポイントを挙げてみたいと思います。
ネットランナーは小難しいゲームだと思われがちですが、もっとエモーショナルなゲームである事が伝わればいいなあと思います。
・ドキドキする!
盤面を見てなんとなく気付かれている方も居るかと思いますが、このゲームでは基本的にコーポはカードを裏向きで置くのです。
置かれたカードは自身が得点するための計画書(得点カード)かもしれませんし、罠かもしれません。
カードを守る様に横向きに置かれたアイス(防壁)はランナーに致命傷を与えるものかもしれませんし、ブラフで置いた安アイスかもしれません。
コーポは計画書を手札にたくさん握っていたとしても、絶対にそれを悟られてはいけません。ランナーはそこを見抜いて得点をかっさらおうとしているからです。
このように伏せカードや不明な手札を巡って常に腹の探り合いとなり、独特の緊張感やドキドキ感が発生します。
腹の探り合いと言えば、人狼などの正体隠匿や目的隠匿のゲームを想像する方もいるかと思います。
正体隠匿などではコミュニケーションによるブラフや誘導が重要となる事も多いですが、ネットランナーでは余計な会話は不要です。盤面が全てを物語るからです。
コミュニケーションゲームは苦手だがドキドキを求めたいという方にも是非体験して頂きたいです。
・すごいカタルシス!
ネットランナーは緻密なゲームだと誤解されがちですが、実は得点に関わる部分は結構ユルめに作られています。
ランナーが計画書を盗もうとする時、山札だと坊主めくり、手札だとババ抜きが発生するからです。つまりランダム要素が大きいのです。
「ランダム」と聞くとアレルギーが発症するカードゲーマー諸氏もいるかもしれませんが、どちらかというと得点カードを盗める確率の方が低く、ランナーからすると「取れたらラッキー」くらいの感覚です。更に確率をコントロールする手段や、得点を取りに行く際のコストを下げる手段も豊富に用意されているので「納得の上でのランダム」なのです。
少なくとも「ネットランナーは得点部分が運ゲーなのが良くない」という批判は聞いたことがありません。「スタイリッシュ坊主めくり」と呼ばれる事がありますが、そう呼ぶ方の多くはむしろネットランナーを愛するプレイヤーなのです。
そんな中、うまく行って得点を取れた時のカタルシスがハンパ無いのです。先に挙げた様な緊張感の果ての成功でもあるので、喜びもひとしおなのかもしれません。
もちろん、コーポがうまくランナーを出し抜いて得点した時も同じように激しい達成感を覚える事でしょう。
ずっとネットランナーをプレイし続けてしまうヘビーなファンというのは、得点の高揚感に溺れた重度の中毒患者なのです。
・独特のデッキ構築が楽しい!
ネットランナーはTCGの様にプレイヤーが事前にデッキを組んで臨むゲームなのですが、構築方法にかなりクセがあります。
デッキ構築の際は「ID」と呼ばれるランナー/コーポのカードを決め、基本的にはその「ID」が属する「派閥」のカードだけをデッキに入れる事が出来ます。
IDはプレイヤーキャラクター、派閥は属性みたいなものだと思っていただければと思います。
[ランナーの例] ID:ガブリエルサンチャゴ 派閥:クリミナル
[コーポの例] ID:アズマリ・エドテック 派閥:NBN
ところがある基準に従って、別の派閥のカードをデッキに入れる事が出来ます。
その基準というのが、カード1枚1枚に設定されている「影響値」と呼ばれる評価値です。
基本的にはIDが持つ影響値は「15」と決まっており、この枠内で他の派閥のカードを入れるのです。強力なカードは「影響値」が高いですし、どのIDが使ってもあまり影響が無い様なカードは影響値が低く設定されています。
ある意味、公式でカード1枚1枚に点数が付けられている様なものです。
デッキ構築の際は影響値を出来るだけ限界の「15」まで使いたいため、うまく枠に収める様、パズル的な工夫が必要になります。
更にコーポの場合はデッキに投入する計画書の合計点によって、デッキ枚数が決まっています。
カードを足したり引いたり調整する作業はデッキ構築の醍醐味だと思いますが、そこがよりもどかしくも楽しいのがネットランナーなのです。
3.ルール難しくない?
ネットのどのレビューを見ても「ネットランナーは面白いがルールが難解」「敷居が高い」という断り書きが掲げられていると思います。
これについては否定しません。なぜならば多くのレビューは「ノンリプレイ派」のボードゲーマーを視野に入れて書かれているからです。
ネットランナーが所謂やり込みゲーという点は共通認識だと思いますが、重要な点はそれだけではありません。ネットランナーは他のボードゲームで培った「面白さや勝ち筋を掴む感覚」があまり役に立たないのです。
それだけ独自性が強いからです。
ゲームを面白いと思うには、ある程度勝ち筋を理解する必要があるでしょう。タイトル数をこなしているゲーマーは、経験を頼りに初回プレイでも面白さやコツをかぎ分ける事が出来ます。大抵のゲームのプレイ後は納得顔で「これイイネ」「自分は苦手だ」などと言うでしょう。
ところがネットランナーでは頼りになる手がかりがあまりに少ないのです。
従ってヘビーゲーマーであっても1、2回のプレイで辿り着ける面白さのレベルが低いのではないかと考えています。1回プレイしただけで「スゲー面白い!」という人は、ネットランナーの才能の持ち主だと思います。ネットランナーと結婚すべきです。
初回プレイで残るのは「難解な用語が多い」という印象と、「これから面白くなるかもしれない」というあいまいな感覚です。
仮にレビュワーがある程度やり込んで面白さが分かっていたとしても、現在のボードゲームの遊ばれ方や消費のされ方を考えれば、「1回しか遊ばない人」に対しても忖度が発生する事でしょう。結果この様な表現になったのではと考えております。
「ルールが難解」「敷居が高い」と言われる原因は他にもあると思っています。ルールブックが分かり難いのです。
特に重要な情報があちこちに散らばっている点が厄介です。まとまりが悪く、大抵は数回読んでようやく何かが見えてくると言った具合だと思います。
そして、ルールブックがわかりにくいからと言って「とりあえずやって慣れよう…」と思うとやはり撃沈します。
「は?これどうするんだっけ?ルールブックのどこに書いてあったっけ?」とページを行ったり来たりするばかりで、初プレイヤー同士だとまともにゲームにならない事もあります。
時間的にも説明と解釈に1時間以上、プレイは2時間以上かかることもざらでしょう。
ところがそれなりの経験者が要点を絞って説明した場合、インスト15〜30分程度で初プレイでもほぼ淀みなくプレイ出来ます。
プレイ時間も1時間程度みておけば問題無いと思います。疑問点もほとんどがその場の簡単なやり取りで解決するため、ゲームに集中できるのです。
極端な話、ルールブックを読みながらプレイしてはいけない類のゲームです。出来る限り経験者からインストを受ける事をお勧め致します。
4.終わったゲームじゃないの?
何をもって「終わった」とするかは考え方次第ですが、ネット上では曖昧な情報が幾つか流れている様ですので、まずは分かっていることと分かっていない事を挙げてみたいと思います。
■わかっていること
・英語版「Andorid:Netrunner」は2018年10月でメーカーリリースを終了した。以降の運営や開発はFFG社では行われず、各ショップへの追加の出荷は停止された。
・英語版「Andorid:Netrunner」はFFG社のサポート終了以降、「NISEI」と呼ばれる有志組織によって運営や開発が行われている。この団体はFFG社非公認であるが、世界中の多くのネットランナーコミュニティはNISEIの運営方針に賛同し、NISEIの定めた規定に沿って大会などを行っている。また大手ファンサイト「NetrunnerDB」やWeb上の対戦ツール「Jinteki.net」もNISEIのフォーマットや新拡張をフォローしている。
・日本語版「アンドロイド:ネットランナー」は現在も販売されている。アークライト社による市場からの撤退や出荷停止などは無く、メーカーには在庫が存在している(2019年4月時点)。また、小売店の発注次第では再生産の可能性もあり得る。
(上記はごん太がアークライト社のサポートに問い合わせした際の返信内容に基づいています。)
■わかっていないこと
・日本語版「アンドロイド:ネットランナー」の未翻訳の拡張が発売される可能性は?
⇒わかりません。(アークライト的にはリリースする意思はあるが、どこに許可を取れば良いのか分からず困っている、という情報を耳にしたことがあります。)
・日本語版「アンドロイド:ネットランナー」が突然店頭やネットショップから消える可能性は?
⇒わかりません。(ただし現状で問題無く販売されているので、恐らくその様な事は無いと思われます。)
5.拡張多過ぎじゃない?おすすめは?いくらくらい?
商品として販売されているアイテム数はかなり多いです。
拡張がこんなに多いボードゲームはなかなか無いでしょう。ただしFFG社の「LCG」は毎月拡張を小さなパックに分けてリリースするシステムなので、その様に見えるだけです。
ネットランナーの場合は「○○サイクル」と呼ばれるひとまとまりの拡張が、「データパック」として6分割されてリリースされています。それらを1つとカウントした場合、日本語版でリリースされている拡張は(基本を除き)は「創造と支配」「名誉と利潤」「レッドサンドサイクル」「キタラサイクル」の4つです。
その他に「チャンピョンデッキ」と呼ばれる過去の世界大会の優勝者のデッキ(所謂「構築済みデッキ」のようなもの)が2つリリースされています。
まずは基本セットから買う事は分かると思いますが、それ以降どこから手を付けて良いのか分かりにくいというのは確かです。
そこで、以下に個人的主観も交えつつ、超ざっくりと基本セットと各拡張セットについて説明したいと思います。
・基本セット(「基本セット第2版」「旧基本セット(絶版)」)
最初に買うセットです。カードの他、トークン類などが付属します。実売¥3000〜¥5000というところでしょうか。
はじめは出来る限り第2版を買いましょう。(第1版は日本語版も絶版)
これだけでコーポが4デッキ、ランナーが3デッキ分入っていますのでしばらく遊ぶ分には十分です。
こう書くと「これらは買わない方がいいのか…」と思わせてしまいますが、逆にカードが特定の派閥に寄っていた方が最初は構築がやりやすいという側面もありますので、まずはこれらを買って楽しむというのも十分にアリかと思います。
ただし、拡張を活かした場合は多くが「シェイパー」VS「ジンテキ」という構図になると思います。使われるカードが偏るので、似たようなデッキになりがちです。
データパックと呼ばれる小さなパッケージに小分けして販売されています。拡張の数がめちゃくちゃ多く見えるのはこのデータパックのせいです。1パックが20種×3枚で60枚。1サイクルは6パックなので、60枚×6パックで360枚増えます。
1つのパックに特定の派閥が集中しているわけではなく、均等に分けられています。(内容はもちろんランダムではなく固定で3枚ずつ入っています。)
1パックが実売¥1000〜¥1900程度で、6種とも集めると1万円前後になるので買う時はそれなりのカクゴが必要です。(ショップによっては¥1000以下で特売されている事もあります…!)
が、重めのボドゲを拡張含めて揃えたり、TCGでブースターを箱買いする事を考えると大した事は無いと思っています。(⇒沼)
「レッドサンドサイクル」は「オボカタ・プロトコル」「アウマクア」などの特定のカードが強い印象があります。
日本語版のカード内容が公開されているサイトがあるので、ググって調べてからちょっとずつ買い足して行くのも良いでしょう。
ただし、構築を色々やる内に結局は全てのカードが欲しくなるので、個人的にはまとめて全部買いがお勧めです。
「キタラサイクル」は基本セットの次に買うのにお勧めの拡張です。出来ればまとめて6パックとも買いましょう。
特にコーポについて、基本セットで感じるもの足りなさが大きく解消されます。TCGの様な「たのしい構築」をやるのに必要なカードが揃っています。
・チャンピョンデッキ
(「WC2015ランナーデッキ「バレンシア」」
「WC2015コーポデッキ「未来工学」」
「WC2016ランナーデッキ「フィザード」」
「WC2016コーポデッキ「メッセージの支配」」)
2015年、2016年の世界大会のチャンピョンが使用していたデッキがそのままセットとして販売されています。実売¥1000〜¥2000程度です。
日本語版にフォーマットの規定などありませんが、FFG社の公式ルール上は禁止カードだらけです。個人的には「そのまま使ったらヤバイ」やつです。
理不尽なカードだらけで構成されているので、基本セットに毛が生えた様なデッキでは相手にならず、明らかにバランスを崩します。
特にWC2015ランナーはコーポの山札をひたすら削るソリティアデッキなので、基本のゲームとは似ても似つかない代物になります。お友達を失いたくないならお勧めしません。
…と言いたいところですが、自分はこのランナーデッキの派手さでネットランナーを見る目が変わったので、かつての世界レベルのネットランナーがどんなものだったか体感する分には、面白いツールかなと思います。
また「アナーク」という派閥はこれらのデッキに含まれるカードが無いとかなり厳しいので、パーツ取りとして重宝すると思います。
★まとめると…
・「基本セット」は第2版を買う。(そもそも第1版は絶版で中古以外の入手が困難です。)
・拡張は「キタラサイクル」がオススメ。基本セットとコレで本格的な構築が出来る。「レッドサンドサイクル」はお好みで。ただしそれぞれ1万円前後かかる。
・「大拡張」2種は費用は安め。キタラサイクルに次いで「創造と支配」がお勧め。ただし大拡張だけだと偏った構築にはなる。
・「チャンピョンデッキ」はパーツ取りと歴史の体感用。
6.第1版と第2版はどう違うの?
収録されているカードが違います。共通するものもあれば、入れ替わっているものも多数あります。
では、何故再販の際に収録カードを変えたのでしょうか?前述の項目にて「第2版」を買う事をお勧めしましたが、「第1版」が入手難である以外に理由はあるのでしょうか。
FFG社ではネットランナーは「ローテーション」する事を表明していました。「ローテーション」とは一定の拡張がリリースされた段階で、新しい拡張が増える度に古い方から順に拡張を使用禁止として「落として」行く事を指します。
これは新規ユーザーの参入を促す事が主な目的とされています。MTG等をプレイされている方には「スタン落ち」と言えばご理解頂けるでしょうか。
当初は「○○サイクル(データパック)」のみがローテーションの対象とされていましたが、第1、第2のサイクルと併せてなんと対象外であったはずの「基本セット」がローテーション落ちしてしまいました。
これにはかなり驚きましたが、第1版のコアセットにはゲームバランスを崩す様な強すぎるカードが収録されていた事も確かなので、環境の健全化が行われるなら仕方ないか…と渋々納得したものです。
このローテーションにより新たな基本セットとして発売されたのが「Revised Core Set」(日本語版では「第2版」)なのです。
第2版はローテーションした第1版と2つのサイクルからカードが選定されたものなので、全くの新カードというわけではありません。第1版から変わらず収録されているカードも多数存在します。
またローテーション時にリリースされた「キタラサイクル」及びそれ以降の拡張は第2版の基本セットが前提となっていますから、それらは本来は第1版と混ぜて遊ぶ事は出来ません。
もちろんこれはFFG社の意図であって、日本語版リリースの際にアークライトはその様な周知をしていませんので、好きな様に混ぜて遊んでいるという方もいるかと思います。
日本語版は未翻訳の拡張が多いという事もあり、本来の環境とは乖離した状態となっています。
そこでFFGのルールに従うか、あえてそこは気にせず独自のルールを用いるかは、プレイヤー当事者間の合意によるものだと思っています。
※ごん太個人としては、本来のゲームバランスにより近いルールを採用し、このブログでは全てFFG社のフォーマットに従う事にしています。リアルの対戦でも同様の制限を設けています。
★まとめると…
・第1版と第2版は収録されているカードが違う。ただし、一部重複しているものもある。
・第2版は「ローテーション」により廃止となった第1版に代わり、バランスを重視してリリースされた。
・FFG公式のルール通りに遊ぶ場合、第1版は使用しない。
・ただし日本語版では経緯などは周知されておらず、拡張も一部しかリリースされていないため、それらのルールに従うかは遊ぶ側の判断による。
7.英語版と日本語版はどう違うの?
所謂カードプールが大きく異なっています。日本語版が大拡張2つ、〇〇サイクル(データパック)2つに対して、
英語版は一部のフォーマットで使用できないカードも含めると、大拡張5つ、〇〇サイクル(データパック)8つ、キャンペーン拡張1つ、大会記念のミニ拡張1つとなっており、更にNISEIからは新しいサイクルが既にリリースされています。
ただし「全く別のゲーム」という程かけ離れてはいません。英語版で有効なデッキや戦術の幾つかは日本語版にも応用できますし、日本語版のカードプールだけでも簡単には遊びつくせないほどのボリュームがあります。
ただし英語版の豊富な情報に対して、日本語版の攻略情報やデッキレシピなどはあまり見かけません。WEB上に「情報量が少ない」という欠点はあるかと思います。
(その分、本ブログで今後も出来るだけ日本語版の情報を書いて行ければと思っています。)
これからネットランナーをはじめる方で、いきなり英語版を集めるという方は少ないと思いますが、それでも欲しい!という方は茨の道となる事はお覚悟下さい。(英語版のメーカーリリースが終了している関係上、海外でも入手困難な拡張が存在します。)
尚、英語版に限っては、NISEIの方針に従う場合プロキシ(印刷したカード)で遊ぶことも可能です。欲しいカードを印刷用のPDFにレイアウトする個人開発のWebツールも存在します。
※ただしFFG公式の許諾では無いため、個人の責任範囲での利用を推奨します。
8.どれが使えるカードでどれが使えないカード?
日本語版ではアークライトからアナウンスされた規定はありません。
ただし、本ブログではFFG社の公式フォーマットで遊ぶ事を推奨しています。その場合、「基本セット第1版」とチャンピョンデッキを中心とした一部のカードが使用できません。ご興味のある方は下記のリンクを参照ください。
「2度目のネットランナー(3) デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」
手っ取り早く知りたい方はコチラの画像をお持ち帰り下さい。
9.ネットで対戦できるツールないの?
「Jinteki.net」という対戦用のWebツールが存在し、ごん太自身もよく利用しています。
FFG社提供のツールでは無いため現在も使用でき、利用料金なども掛かりません。
ブラウザ上で動作するので、PC以外での利用も可能です。(ただしスマホの小さい画面ではかなり厳しいです)
英語版に存在する全てのカードを使用して、デッキ構築が可能です。とても便利でとても楽しいです。
ただし、以下に挙げる2点が大きな障壁として立ちはだかるため、一度もプレイしたことがない方がいきなり飛び込むのは少々厳しいかもしれません。
・英語
海外のツールのため、インターフェースやカード表記を含め全て英語となります。
さほど難しい表現は無いものの、英語版のカードにも多少慣れていた方が良いかもしれません。出来ればカード名やイラストから効果がピンと来るレベルで頭に入っている方が無難です。
また参加者は基本的には英語で会話するため、野良対戦を行う場合は、対戦時に英語で簡単なコミュニケーションをとる必要があります。
(日本語表示は可能なので、お友達と待ち合わせて鍵部屋で対戦する分には問題ありません。)
・全自動のツールではなく、一部手動で処理する必要がある。
ネットランナーは例外処理の多いゲームなので、ツールは一部しか自動化されていません。
あらゆる事態に対応できるように、ツール的にはルール上本来出来ない事でも出来る仕様になっているのです。
(例:捨て札から自分の手札へ戻せる、お金を任意の数増やせる等。)
従って、操作ミス等によってルール知らずの内にルール違反を犯してしまう事があり得ます。
出来ればリアルでの対戦経験が何度かあった方が無難です。
尚、jinteki netについては今後当ブログで細かく解説したいと思っています。お楽しみにどうぞ。
10.1回しかやってないけど、もっと楽しくなる?
前述のとおり、ネットランナーはかなりのやり込みゲーです。基本的には1回目より2回目、2回目より3回目、10回目より100回目の方が楽しくなることは間違いありません。
もちろんネットランナーが向いていない方というのも存在すると思いますので、無理してやり続ける必要はありません。
ところで、あなたが初回プレイ後に2回目をプレイしていないのはなぜでしょうか?
単に「機会が無い」のであれば何の問題もありません。あと10回は遊んでみてください。お相手の反応があまり芳しくなかったのであれば、根気よく相手を探しましょう。SF好きやTCGゲーマーなら割と簡単に釣れます。
宗教上の問題で長いテキストのゲームが出来ないとか、カードゲームをすると全身に湿疹ができる方はお勧めできませんが、単に「ルールがむずかしくて付いていけるかコレ…」という方はどうぞそのまま10回続けてください。難しくありません。枝葉のルールや例外処理が多いだけです。何故「専門用語が多い」とか「ルールが難しい」と悩んでいたのか不思議なほど自然に楽しく遊べるようになります。
そしてその辺りからこのゲームの奥深さに気づいてくると思います。楽しさレベル2です。
僕自身だいたい10回目くらいから世界が開けたように面白くなりました。それまでもそこそこ楽しかったですが、急に楽しくなりました。
残念ながら、ネットランナーは難解で小難しいマニア向けカードゲームという認識が広まっていますが、入り口さえ間違えなければそこらの重量級ゲームよりよほどサクサク遊べ、そして時間あたりの読み合いや駆け引きの濃度は2時間級のゲームに全く負けていません。
そしてとてもエモーショナルなゲームなのです。
興味が湧いた方は是非に。1度遊んで積んでる方は棚から引っ張り出さないと人生の大きな損失ですよ!
今回はこれにて終了です。
長文になりましたが、読んで下さってありがとうございました。
次回は今回とは打って変わって経験者向けの記事「NISEIの新拡張で遊ぶには?」をお送りする予定です。
ごん太
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□日本語環境のFFG禁止/制限対象カード 一覧
以下はアンドロイド:ネットランナー完全日本語版にFFG社公式ルール(Rotation, NAPD MWL2.2)を適用した場合の、禁止/同時使用制限カードの一覧です。詳細については「デッキをどう組むか? [1] 日本語拡張と構築ルール」をご覧ください。
コチラに画像も用意しました。
================= 禁止カード =================
※以下のカードは使用できません
■基本セット第1版
<コーポ>
「ハースバイオロイド:未来を設計」
「促進βテスト」
「企業のトラブルシューター」
「経験的データ」
「セル・ポータル」
「データ・マイン」
「財閥の忠誠」
「チャム」
「アキタロー・ワタナベ」
「予知」
「臨時ニュース」
「衛星広告の試行」
「サンサン・シティーグリッド」
「マトリクス・アナライザー」
「賞金の提示」
「焦土」
「保安下請け」
「強引な交渉」
「研究本部」
<ランナー>
「ノイズ:非凡なるハッカー」
「既視感」
「パラサイト」
「ヨグ.0」
「グリモア」
「コローダー」
「ワーム」
「メディウム」
「ワイルドサイド」
「ジン」
「デスペラード」
「ニンジャ」
「口座の吸い上げ」
「データ売人」
「レムリア・コードクラッカー」
「囮」
「ケイト・"マック"・マキャフリー:デジタル修繕屋」
「ザ・ツールボックス」
「ネット・シールド」
「アカマツ・メモリーチップ」
「グローバルセックへのアクセス」
■基本セット第2版
<コーポ>
なし
<ランナー>
なし
■創造と支配
<コーポ>
「セレブラル・イメージング: 無限の開拓地」
<ランナー>
なし
■名誉と利潤
<コーポ>
なし
<ランナー>
なし
■レッドサンド・サイクル
<コーポ>
なし
<ランナー>
「火星は火星人の手に」
「回収済みヴァナディス武器庫」
「ブルー・ムース」
■キタラ・サイクル
<コーポ>
なし
<ランナー>
「ゼロ」
■2015ワールドチャンピョン コーポデッキ「未来工学」
<コーポ>
「促進βテスト」
「ニューアンゼルス警察との契約」
「イブキャンペーン」
「ジャクソン・ハワード」
「カプリース・ニセイ」
「イーライ 1.0」
■2015ワールドチャンピョン ランナーデッキ「バレンシア」
<ランナー>
「口座の吸い上げ」
「脅迫状」
「クイーンズ・ギャンビット」
「データ漏洩逆流」
「ジョシュア B」
「ファウスト」
■2016ワールドチャンピョン コーポデッキ 「メッセージの支配」
<コーポ>
「臨時ニュース」
「衛星広告の試行」
「ジャクソン・ハワード」
「感応放画俳優協会」
「サンサン・シティーグリッド」
「視聴率調査週間」
■2016ワールドチャンピョン ランナーデッキ「フィザード」
<ランナー>
「フィザード:マスターゲーマー」
「既視感」
「テムジンとの契約」
「プラスクレート外殻」
「メディウム」
「パラサイト」
================= 同時使用制限カード =================
※以下のカードは同時に使用することが出来ません。
(コーポ・ランナーから各1種類だけを使用する事が出来ます。1種類であれば通常通り3枚まで使用可能です。)
<コーポ>
「オボカタ・プロトコル」
「世界食糧構想」
「黄埔開拓」
「サーベイヤー」
<ランナー>
「猛突進」
「レヴィAR研究所へのアクセス」
「従業員のストライキ」
「イソップ質店」
「マグナム・オプス」
「インバーシフィケイター」
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